衝動SSまとめ②(鋼錬)
ロイエド
2012/4/2更新
前回の続きです。
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自宅へ戻るマスタングを狙う。
車から降りた所へ突っ込む。
武器は無い。拳銃一つない。
あったところで使い方を知らないのだから無意味だが、
俺に渡されたのはただの果物ナイフだった。
これを成功させたら・・・もっと皆に近づけるのだろうか。
目の前を黒い車が通り過ぎる。
マスタングの乗った車。
俺はその車に近づいていく。
車が止まり、人が降りる。
一言二言会話をすると、一人が車に乗り込み、発車する。
「なぁ軍人さん。」
「・・・・ん?」
振り向くより早く俺はその背中に突撃した。
つもりだった―――
「何の真似だ。」
「・・・っ・・」
手くびを掴まれる。
その力に指から力が抜け、ナイフが地面へ落ちた。
「まったく、仕事を増やしてくれるな。」
「・・・・・このっ・・」
自由な片手で殴ろうとするが、全部動きが見えているのだろう。
いともたやすく止められた。
もう駄目だ――――
そう思った。
力が抜けたのを感じたのか、マスタングは俺の手を離した。
そうして家の中に入っていった。
殺そうとした奴が家の前に居るにもかかわらず・・・。
結局帰ってきてしまった。
仲間達の居る場所へ。
扉を開ける手が震えた。
失敗したと言ったら・・・何が待つのだろう。
何かが待っていればいい、だけど、何も無くなったら・・・
躊躇して扉の前に留まっていると、中から声が聞こえた。
あいつ巧くやってるんすかね
巧くやってるんじゃねぇか
それどういう意味ですか
決まってんだろ
そうそう
あいつが殺されること
「・・・・・・・・・っ・・・・!!!!!??」
あいつが殺されることがこの作戦の第一だ
失敗は成功の元
それ使い方違ぇーよ
俺らは無実の少年を殺したと訴えればいい
簡単だろう
ひでぇーっ
お前顔笑ってるぞ
「・・・・・・っ・・っ・・・っ・・」
俺は自惚れてたんだ。
俺が認められたと。
これがうまくいけば・・・って。
ははっ馬鹿だよ俺・・・・・。
俺の居場所なんか無かったんだ。
俺はフラフラと夜道を歩いた。
行く場所なんか無い。
ただ道を歩くだけ。
作品名:衝動SSまとめ②(鋼錬) 作家名:おこた