衝動SSまとめ②(鋼錬)
ロイエド
2012/4/5更新
前回の続きです。
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「・・・・・・おいっ!!!!!!」
後ろから声がした。
振り返るとそこにはマスタングが居た。
「なに・・?」
「まったく、仕事を増やすなと言っただろう。」
「・・・ごめん。」
「適当に謝るんじゃない。」
「・・・・?」
「司令部へ向かうぞ。」
「分かった。」
罰を受けるならそれも構わない。
罰を受ける場所があるなら、そこが俺の居場所なんだろう。
司令部に初めて入った。
軍服を着た人が通るたびに敬礼していく。
この人は凄い。
こんなにも大勢に慕われて。
俺とは世界が違う人なんだ・・・。
「見つけたぞ。」
「あっ見つかったんすか!!!」
「・・・怪我してるじゃない。」
「救急箱取ってきます。」
「一旦、洗おう。」
俺達が入った瞬間、部屋に居た人達が一斉に動き出す。
俺はシャワー室に連れて行かれ、全身洗った。
あがると大きなシャツを渡された。
ぶかぶかのそれを着て出て行くと大きなタオルで髪を拭かれる。
そして優しく傷口を消毒された。
「大丈夫?」
「何が?」
「・・・・・・・。」
俺は困らせることを言っただろうか。
その後、色々質問をされた。
自分が答えられることはだいたい話した。
すると、話は先ほどのことになる。
「大佐を殺そうとしたのは何故かしら。」
「殺そうとは・・してなかった。」
「本気のように思えたが?」
「俺は本気だった。」
「どういうことだ?」
「俺が殺されるのが本当の作戦。」
「・・・・!!?」
「俺があなたに殺されてれば成功だった。
俺は知らなかったけど、そしたら訴える予定だったらしい。」
「・・君は怒らないのか?」
「俺の居場所じゃなかった。自惚れてた。
作戦を知らずに成功してれば良かったと思う。」
「・・死んでも良かったと?」
「うん。」
「そのアジトは何処だい?」
「親切にしてくれた事、嬉しかった。
でもそれは答えるつもりはないから、早く罰を与えて。」
「・・・罰?」
「罰を受けるために此処へ来たんでしょう?」
「罰を受ける必要は無い。
ただ、彼等の居る場所は教えてほしい。」
「勝手に捕まるなら構わない。
見つけ出して捕まえるのも構わない。でも、俺が言うことは出来ない。」
「・・・・裏切られたのにかい?」
「裏切られたと少しでも思ってたら・・嬉しいかな。」
「・・・・・・。」
裏切られたと感じてくれるなら・・・
少しでも裏切ってしまったと思ってくれているとしたら・・・
それは凄く嬉しいなと思ってしまう。
一瞬でも仲間と思ってくれていたって事だから・・・
でも、罰を受けないなら・・俺はこの後どうなる?
また一人で道を歩き続けないといけないのか。
せっかく足の裏の傷も治療してもらったのに・・・勿体無い。
「君は居場所が欲しいのか?」
軍人というものは心が読めるのか・・とぼんやりと思ってしまった。
「そうだよ。」
「ならば、軍人になるか?」
「・・・大佐っ!!?」
「私の駒とならないか?」
「俺で駒になるのか?」
「君なら問題無い。」
居場所を与えてくれるなら、
それがどんな場所でも俺は受け入れる。
「なる。」
それが俺の一生の居場所との出会いだった―――
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「エルリック少佐おはようございます。」
「おはようございます。」
「少佐、おはようございます。」
「おはよ。」
ノックをし、扉を開け、敬礼をする。
「マスタング准将おはようございます。」
「あぁ、おはようエドワード。」
ここが俺の居場所。
end
作品名:衝動SSまとめ②(鋼錬) 作家名:おこた