絶対に笑ってはいけない宇宙警備隊24時 帰還編
あざ笑う罠
地獄の鬼ごっこを終え、再び笑ってはいけないに戻った五人の新人隊員。
ところが、鬼ごっこの最後の最後にまさかの鬼畜軍団の襲来によって、五人の心は憔悴しきっていたのだった………
そして現在、事務室兼休憩室で席に座って待機する五人。
しかしそんな五人の心情のことなどどーでもいいとばかりに、仕掛けや刺客達が襲い掛かる!
ゼロ「鬼ごっこ…終わったな…」
グレンファイヤー「そーだな…」
ミラーナイト「…あ、今何時?」
ジャンボット「…知らん」
ナイス「はぁ…」
五人に机にもたり掛かり、会話にならない会話を繰り返していた。
ゼロ「…あ、もしかしたら引き出しの中身が変わってるかもな…」
グレンファイヤー「…じゃねぇの?」
ジャンボット「…ナイス、開けろ」
ナイス「…え?何で僕?」
ミラーナイト「…実験台」
ナイス「えー」
振った方も振られた方も、リアクションがかなり乏しい。
ナイス「…じゃあ、開けますよ?」
グレンファイヤー「とっとと開けろ」
とはいえ、振られたからにはやるしかない。ナイスは気だるそうに上半身を起こし、引き出しをそっと開けた。
その時だった。
プシュー!!
ナイス「ぶっ!」
引き出しが開いた途端、ナイスの顔面に向かって勢いよく冷却ガスが噴射されたのだ。
四人「ハッハハハッ!!」
四人は顔が見えなくなるまで冷却ガスをくらっているナイスを見て、さっきのネガティブオーラは何処へやら、腹を抱えて大爆笑した。
デデーン
『ゼロ ミラーナイト グレンファイヤー ジャンボット OUT』
スパン!
ゼロ「イッテッ!」
スパン!
ミラーナイト「ぐぅぅ!」
スパン!
グレンファイヤー「ギャッ!」
ドガシャ!!
ジャンボット「ぐぉ!」
※お仕置き要員のダークロプス達が復帰したので、今までやっていた罰も復活です。
ゼロ「ったく戻って来たからか……尻叩きが強くなってねぇか?」
グレンファイヤー「まぁたコレをくらう羽目になるのかよ…」
ミラーナイト「でも怪獣達から罰を受けるよりはマシじゃないかい?」
ゼロ「…だな」
ジャンボット「三人とも…ナイスを見てみろ…」
不意にジャンボットがナイスのいる方向を指差し、思わず其処へ目をやる三人。
ナイス「………」
三人が見たのは、顔のあちこちにまだ冷却ガスの後が残って変な顔になってしまったナイスだった。
三人「フッフフフ…www」
ジワジワ来る笑いの衝動に、三人は耐えることが出来なかった。
デデーン
『ゼロ ミラーナイト グレンファイヤー OUT』
スパン!×3
ナイス「何でこうなるの………」
ナイスは納得がいかないだろうが、彼の犠牲のおかげで四人はいつものノリを取り戻したのである。ありがとうナイス!
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ゼロ「よし、他の引き出しも何か入っていないか調べるぞ!?」
ミラーナイト「結局そうなるんだね…」
ジャンボット「このまま待つのもかなり酷だぞ?」
※仕掛け人の思うツボです。
グレンファイヤー「よぉし…まずは俺からだ!」
グレンファイヤーはこう宣言すると、引き出しをサッと開けた。
グレンファイヤー「…………」
だがグレンファイヤーは、引き出しの中を見ると、急に数秒間黙ってしまい、やがてそっと引き出しを閉めてしまった。
ゼロ「ん?どうしたんだ?」
この一部始終は当然ゼロ達の視界に入っている。
グレンファイヤー「い、いや…何も入ってなかったぜ?」
ジャンボット「怪しいな…そんなに隠したいモノだったのか?」
グレンファイヤーが顔に汗を垂らしながら言い訳をするので、四人(特にゼロとジャンボット)が益々食い下がる結果となった。
ゼロ「おい見せろ。別にいいだろ?」
ジャンボット「ヒーローが隠し事など…万死に値する!」
ナイス「そうッスよ〜」
ミラーナイト「やれやれ…」
グレンファイヤー「いやいや!?だから何も──」
尚も冷や汗を垂らして言い訳するグレンファイヤーだったが、ジャンボットとナイスが飛び掛かって羽交い締めにされてしまった。
一方ミラーナイトは、頭を抱えているものの結局は傍観を決め込んでいる。
ジャンボット「今だゼロ!開けろ!」
ゼロ「ウルトラマンゼロ…引き出しを切り開く!」
グレンファイヤー「やめろぉ!!」
グレンファイヤーは引き出しに手をかけたゼロに向かって、手を伸ばして最後の抵抗を試みようとしたが、ジャンボットとナイスに無理矢理座席から引き離された。
その隙を逃さず、ゼロはグレンファイヤーの引き出しを思い切り開けた。その中に入っていたのは………
ゼロ「んな…何だコレは…?」
グレンファイヤー「あぁぁぁ…」
ゼロが見たのは、おそらくグレンファイヤーが幼少期に書いたと思われる作文だった。
気になる内容は、『しょうらいのゆめ ぼくは大きくなったらエリマキトカゲになりたいです』などと汚い字で書いてあり、律儀に“夢”であるエリマキトカゲのイラストが載っていた。
ゼロ「………お前将来動物だったのか?」
グレンファイヤー「あぁ…」
ジャンボット「…それで、コレを見た親はどんな反応だったんだ?」
グレンファイヤー「嘆き悲しんでいた…」
ナイス「なんか、スミマセン…」
予想を飛び抜けたモノに、三人はグレンファイヤーに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
ガラッ…
ミラーナイト「フフフwww」
デデーン
ミラーナイトが自分の引き出しの中身を見て自滅するまでは……
『ミラーナイト OUT』
この空気を読まないミラーナイトの行動に、四人はブチ切れてミラーナイトはボコボコにされたのだが、それはまた別の話。
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ゼロ「何だよ?この安いヤツは…」
ミラーナイトの引き出しに入っていたのは、水着美女の顔が自分の顔に差し換えられているという、安い合成写真だった。
ミラーナイト「ごめん…つい笑っちゃった…」
顔がパンパンに腫れているミラーナイトが、虫の息のような声で謝罪した。
ジャンボット「わかればいい」
ナイス「コレもまたジワジワ来るヤツですね…」
グレンファイヤー「おい、次は二人だぞ?まさかどさくさに紛れて開けないなんてさせないぞ?」
先ほど自らの黒歴史を解放されたグレンファイヤーが、まだ引き出しを開けていないゼロとジャンボットを指差した。
ジャンボット「わかった…では私から開けよう」
それを見たジャンボットが、ゼロより先に自分の引き出しをおそるおそる開けた。
ガラ…
ジャンボット「ん?何だコレは…」
ジャンボットの引き出しに入っていたのは、五人の隊員証だった(今更である)。
ゼロ「おいおい、今頃になって隊員証かよ…」
ジャンボット「私にそんなこと聞くな」
ナイス「…でも、とりあえず持っておきましょうよ〜」
ナイスの言うのもごもっともなので、ジャンボットは隊員証を名前が彫ってある各人にそれぞれ配り始めた。
しかし!実はこの隊員証にはある仕掛けが……
作品名:絶対に笑ってはいけない宇宙警備隊24時 帰還編 作家名:バルタン星の人