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Plam5

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有料転倒。





ドジをしたら罰金。そんな法律があったら、オレは産声をあげた瞬間から、きっとしにたい気分だったに違いない。そんな世界で老衰できる自信はない。
もちろんそんな法律はないからどうにか、ため息で済んでいる。それもたまれば、やっぱりしにたい気分になるけれども。それはなるけれども。言えない。迂闊にしにたいなんて冗談でも言えない立ち位置にいる。
試しに今、しにたいと言ったとしよう。すると、側にいる獄寺くんの抜群に高性能な耳に直行する。ダイナマイトの導火線に着火するのと同義。多分祈祷し始めるかな。で、そこに出張から帰ってきた山本が現れて獄寺くんの写メを撮る。あとは、そうだね最終的に屋敷半壊かな。うんだってドミノ倒しだもん。オレがしにたいって言っちゃう。イコール。ドミノの牌を倒すってこと。ドミノってなんで倒れるんだろうって考えたことある。あれ多分、道連れにしてやる!って思って倒れるからじゃないかな。
話がそれた。つまり、オレの立ち位置は、オレが転んでしまえば周りすべて倒して仕舞うというもの。嫌だ責任重すぎ。忘れたい。忘れない。忘れたことなんかない。オレが忘れたらきっと誰かの命が血の海に倒れる。それはきっと。「しにたいくらい辛い」


あれ?
いま、最後のもしかして。
音に、出しちゃった?


うつ向けていた顔をあげる。アッシュグレイの睫毛に縁取られ、見開かれつつある深緑の瞳とがっちり、視線がリンクしてしまう。
獄寺くんの表情が張りつめたものへと激変していく。決壊寸前のダムかもしくは。破裂する寸前の、ゴム風船。
















非常に気まずい結果となった。屋敷は壊れていないし被害は獄寺くんひとりに収まった。だがこのひとりの反応が、大変まずかった。

大号泣。

しかも、男泣きじゃあない。
ほとほとと涙をこぼす様は、まるで女神。色気6割り増し。美しいとしか言えない。あれが美しく思えないやつは異星人だ。その威力はすさまじく、もう本当に。オレの妄想通り出張から帰ってきた山本。彼が獄寺くんを見てしたことは顎を落とすことと頬を染めることだった。…オレはもしかしたら、山本の人生にまたしても波紋を生じさせたのだろうかそのまま収まってくれないかな山本頑張って負けないで!
そして泣いたまま獄寺くんはふらっと執務室を出ていってしまった。(山本も操られるようについていってしまった、山本っ!しっかり!まだ間に合う!)



獄寺くんがいったい何をしたのか、答えを知ったのは半日後。
風紀財団イタリア支部、右腕の着ぐるみ男と板前の男とチャオッスと力なく言う禿げたカツラ男による、急襲の一報。



獄寺くん、オレは君がどういう思考の末、その行動をとったのか、理解したくないよ。
けれどもはやサイは振られた。いや倒された。ぱたぱたと倒れていくドミノは、いっそ道だろう。最後のドミノが倒れた瞬間、そのドミノどもを踏みつけてあの男がやってくる。


それをオレが、望んでいると、思ったんだろうなあ。
ベッドに倒れ込む前に、バトるの確定。ああ。



「ほんと、ただじゃあ、済まねえなあ…」


作品名:Plam5 作家名:夕凪