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望んだ先には

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始まりの章


オスマン帝国―――
数々の戦火を征し その名を世界に轟かせた大国




「アルム・・・・」
敗戦―――この結果に多くの兵士達がなすすべもなく座り込んでいた
多くが頭を垂れ 涙を流し 地を見つめていた
「・・・・くそ・・っ」
俺達二人も同じように座りこみ 歯を食いしばり敗戦したことを今でも信じられずにいた
親友のデルタと共に今回の悪夢のような戦いを必死に戦った
けれども負けてしまった 死んでいった仲間達の仇がとれずに
七日間の激戦の末俺達の国は食料不足に陥り 降伏する事となった
勝利した相手の軍の兵達が大通りを闊歩している
その姿を見て俺達は拳を強く握り締め唇を噛んだ
やがて兵士達の中に馬に乗った派手な奴が見えてきた
全体的に白と赤という目立つ色だ
オスマン帝国・・・・俺達の街を奪った国・・!
俺は懐に隠した短剣を握り締めた
多くの武器は取り上げられてしまっていたがこれだけは懐に隠していたのだ
どうやらデルタも同じように隠し持っていたらしい
俺達二人は顔を見合わせタイミングを待つ
真ん前を奴が通った時が最後のチャンスだ
オスマン帝国・・・奴は肌を一切見せない服装をしている
兵士達の壁を乗り越えられたとしてもこんな短剣では奴にかすり傷すら付けられないのではないか?
そう 不安がよぎった


作品名:望んだ先には 作家名:raidou