【忍FESサンプル】万年桜の木の下で【くく勘】
忍術学園の敷地内には、最初から今まで全ての忍たまたちの入学と卒業を見守り祝福してきた、立派な桜の木が立っている。樹齢云千年とも言われるその木は、いつからか「万年桜」と呼ばれるようになっていた。
万年桜――百年、千年、一万年と、どれほどの年月を重ねても永遠に枯れず、大きく広げた枝という枝に美しい花が咲き誇る、幻の桜。
「この木は、ずっと変わらないなあ」
満開の万年桜の下で、ねえ兵助、と勘右衛門は呼びかけた。
「そうだな。入学式を思い出すよ」
木を見上げる勘右衛門の視線を追って、兵助も頷く。話しかけると必ず返事が返ってくる。これもおそらく、今日限りだ。
兵助がそっと勘右衛門の髪へ手をのばした。
「兵助?」
「花びらが」
髪に付いていたらしい花びらを払った兵助と、ぱちりと目が合う。
「勘右衛門」
「兵助……」
どちらともなく惜しむように口付けたあと、勘右衛門は泣き腫らした目を細めて無理矢理に笑った。
――――さよなら、兵助。
万年桜――百年、千年、一万年と、どれほどの年月を重ねても永遠に枯れず、大きく広げた枝という枝に美しい花が咲き誇る、幻の桜。
「この木は、ずっと変わらないなあ」
満開の万年桜の下で、ねえ兵助、と勘右衛門は呼びかけた。
「そうだな。入学式を思い出すよ」
木を見上げる勘右衛門の視線を追って、兵助も頷く。話しかけると必ず返事が返ってくる。これもおそらく、今日限りだ。
兵助がそっと勘右衛門の髪へ手をのばした。
「兵助?」
「花びらが」
髪に付いていたらしい花びらを払った兵助と、ぱちりと目が合う。
「勘右衛門」
「兵助……」
どちらともなく惜しむように口付けたあと、勘右衛門は泣き腫らした目を細めて無理矢理に笑った。
――――さよなら、兵助。
作品名:【忍FESサンプル】万年桜の木の下で【くく勘】 作家名:たつき紗斗