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東方 宝涙仙 <壱(1)~玖(9)>総集編

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入力ミスなどがある場合があります。初心者の書く小説なんでその辺は目つむって頂ければ嬉しいです。

東方〜宝涙仙〜

「変わったわね、紅魔館・・・。」


 
Touhou Houruisen -壱(1)

紅魔異変が解決し随分と長い時が経った。紅魔館の主レミリア・スカーレットも568歳ほどを向かえようとしてた。
 メイド長も変わっていた。レミリアはあの日悲しんだのだろう。心から愛していたメイド長十六夜咲夜との死という別れ。
 その死も、寿命での死ではなかった。



ー紅魔館ー
「風香ー。紅茶ー。」
 主の声が今日も館で聞える。少し声が低くなったかもしれないが相変わらず少し幼女風の声だった。
「かしこまりやしたー。」
 ※雨霧風香(あまぎり ふうか)
  二つ名:幻想郷の空気嫁
  能力:空気の状態を操る程度の能力

「いい加減そのだらしない口調を直しなさい。」
「直したいんですけどねー。もう癖なので。」
「いかに咲夜が優れてたかがわかるわ・・・。」
「ふへへー。咲夜さんにはかないませんよぉ。」
 生意気な感じの新メイド長雨霧風香がヘラヘラと笑う。レミリアもなんだかんだで風香を気に入っているのであまり怒ったりはしない。
 咲夜も風香を気に入っていた。もしかしたら咲夜が気に入ってたからレミリアも風香を気に入っているのかもしれない。

「なんで私がメイド長に指名されたんでしょうか。」
 能天気な風香がレミリアに問う。
「もしも事件が起きたときアナタなら裏切らず主を守りぬけるだろう、と思ったから。」
「おー。すなわち私はお嬢様に信頼されてるわけですな。」
「まぁそういうことね・・・。てか紅茶。」
「あ、今すぐ用意します!」
 新メイド長は紅茶を注ぎにキッチンへ走り去った。

「咲夜・・・。アナタがいなくなっても、こうして紅魔館は平和を保ててるわ。それはアナタが部下のメイドをしっかりとしつけてくれたおかげね・・・。」
 レミリアの独り言は部屋に響くことなく空気に消える。
咲夜がいなくなってからレミリアの独り言は多くなった。散歩も傘を差してくれる咲夜がいなくなってからはしなくなった。

「お待たせましたー。」
「"お待たせしました"。やり直し。」
「お待たせしやしたー。」
「はぁ・・・。まぁいいわ。紅茶をちょうだい。」
「今日の紅茶はチェリーのフレーバードティーに動物の血液を混ぜた紅茶です。」
 説明には反応しないのがレミリアのこだわり、多分。ティーカップに口をつけ紅茶をそっとそそる。
「紅茶作るのうまくなったわね。いや、本当に。」
「ありがとうございます。」
「咲夜の紅茶を思い出すわ。彼女も最初はひどかったのよ。」
「そういや私咲夜さんの注いだ紅茶飲んだことないです・・・。」
 レミリアは何も言えなかった。紅茶を飲みながら呆れ笑みに近い笑みを浮かべていた。
会話が途切れると静寂になって音が消える。風香は静かなとこが好きだがレミリアを前に沈黙が続くのは嫌いだった。
「平和ですねぇ。」
 無理矢理話題を作った。
「そういうのを別世界では"フラグ"っていうらしいわよ。」
「なんですか、それ。」
「クラゲみたいなもんよ。」
「平和=クラゲ ってことですか?」
「・・・うるさい。」
「カリスマブレイクですかー。」
「うるさい!!」
「アッハッハッハッ。失礼しまーす。」
 風香は嬉しそうに、かつ逃げるように部屋を出て行った。

そして部屋でまた声がする。
「・・・テキトーな事言い過ぎたわね・・・。」

   ▼弐(2)に続く

Touhou Houruisen -弐(2)

 昔レミリアは何か不吉を感じていた。なんかこう、悪夢に追われるような感覚に陥る。
これも運命が読める者の宿命か と思っていた。しかし、紅魔館での生活が始まり、仲間ができてからはあまり不吉を感じなくなっていた。
というよりも不吉を感じることを忘れていた。
 紅魔異変の時もさほど不吉を感じなかった。

そして、今回も・・・

レミリアは窓の外を眺めていた。随分と外に出ていない。
「少し外を歩くべきかしら。」
 散歩を懐かしんだ。昔の紅魔館を思い出す。咲夜よりも前の初代メイド長の時代から記憶が蘇る。
どのメイド長の時も散歩はしていた。なぜ今回は散歩をしないのだろうか。やはり咲夜がいないからだろうか。
 そんな考えがレミリアの頭を駆け巡る。
「んー。そうねぇ・・・。散歩行こうかしら。風香ー。」
 返事がない、ただの空気嫁のようだ。
「風香ぁぁぁぁぁ!!」

「んぁぁぁぁぁぁぁぁい。」
 返事がきた、やはり空気嫁のようだ。

レミリアの耳に階段をタッタカ登ってくる音が聞えてくる。

「うぃすっすー、お待たせましたー。」
「アンタいつになったら"お待たせしました"って言えるようになるの?」
 ハッハッハッと風香が笑ってごまかす。

「用件はなんでしょう。」
「散歩に行くわ。」
「どうぞいってらっしゃいませ。」
「傘持ち役としてアンタも・・・やっぱいいわ。」
「へ?」
「今日は久々に一人で歩いてみたい気分だわ。」
「じゃぁ私はご飯の支度と掃除しておきます。」
「頼んだわ。」
「それじゃ、気をつけてください。」
 風香はそう言って部屋を後にした。服従感が足りない。
メイドならお嬢様を見送るのが当たり前なんじゃないのか。
レミリアはそう思ったが口にはしなかった。別にそこまでして欲しいとも思っていない。むしろ無駄に気を使われたくないのだろう。
レミリアだって一人で出かけることくらいできる。というか500歳超えても見送り無しで出かけれないならば異常だ。人間からしたら500歳生きるのも異常なんだけど。

「着替えるのってめんどくさいのよね・・・。」
 クローゼットに手を伸ばしながら気だるそうにするお嬢。クローゼットの中にはピンク色のフリル満載のお嬢様服しかないのは秘密だ。
どの服にしようかしら、私オシャレさんだから困っちゃう、という表情を何気なく浮かべるレミリア。
今日はこの服にしましょう、私ったらオシャレさんね、という表情を浮かべれないが為にため息をつく。

「うー。」
 人間も妖怪もやはり"着替える"という行為はやはりめんどくさいらしい。うーうー言いながらゆっくりと着替える。お嬢様服の袖からニュッととがった爪のついた腕が生えてくる。
武威破壊をすると"鋭利な爪"とかが報酬でもらえそうだ。とある珍獣狩りの桃毛獣のように服もピンクだし。どーでもいいけど。
パンチラ防止の為なのか、そういう着こなしなのか、スカートの下には短パンのようなものを履いている。

「準備完了ー。さぁ行こうかしら。」
 しかしやはり紅魔館。めんどくさいのはここから。部屋から玄関に向かうまでに軽く15分はかかるだろう。紅魔館を歩き回れば十分散歩になりそうだ。
この館の主(レミリア)も、階段を作りすぎたのは失敗だ、とか思ってるらしい。