より水夏な、DCPS霧羽・香澄ストーリー(ネタバレ注意)
と、頃なくして、あの人が出てきた同じ扉から、今度は風見学園付属の制服を着た女生徒が、飛び出してきました。
そして、私を見つけたのでしょう…真っ直ぐ、ここに向かってきました。
その姿を見て、身体が震えました。
間違いありません…この人は…
「明日美…………ここにいたの…」
「お姉ちゃん……」
三年前と変わらないお姉ちゃんの姿…
もう二度と会うことは出来ないと思っていたお姉ちゃんが、今、すぐ目の前にいます…
なのに…言いたい事、話したい事はたくさんあるのに、いざとなると、こんな言葉しか出ませんでした…
「ごめん……ごめんね、お姉ちゃん……お姉ちゃんのこと、ひとりにして…」
「よしよし、泣かないの。三年で随分背が伸びたわりに、泣き虫なのは治ってないわね」
そんな私を、優しい笑顔で慰めてくれる……お姉ちゃん。
それは、昔と何も変わらない…病気で苦しむ私を、いつも慰めてくれた、『お姉ちゃん』の表情でした。
「お姉ちゃん……ごめんね…」
でも、その笑顔は、今の私には、とてもとてもつらくて…
私は、泣きながら、ただ何度も何度も謝ることしかできませんでした。
「もうっ、やめなさいよ。あなたが謝ることなんて、なにもないでしょう?」
「だって……お姉ちゃんは……お姉ちゃんは、私のせいで…」
続く私の言葉は、今ある『現実』に流されぬよう、『真実』を自分自身に認識させようとして発した言葉でした…
作品名:より水夏な、DCPS霧羽・香澄ストーリー(ネタバレ注意) 作家名:PN悠祐希