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PN悠祐希
PN悠祐希
novelistID. 37045
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より水夏な、DCPS霧羽・香澄ストーリー(ネタバレ注意)

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…チリン…

 その時、頭の上からかすかな鈴の音が聞こえてきました。
「あたし……そろそろ行かなきゃ…」
「香澄!!」
 足を踏み出すお姉ちゃんに、朝倉さんは駆け出して…
 でも、抱きしめようと伸ばした腕は、お姉ちゃんの身体を通り抜けてしまいました。
 お姉ちゃんは…確かにそこにいるのに…
 いくら、その髪に、その頬に触れようとしても…朝倉さんの手は空しく虚空を泳いでしまいます。
 もう、見ていられませんでした。
(朝倉さん…ごめんなさい…ごめんなさい…)
 私は、その朝倉さんの様子に、心の中で、ただ謝ることしかできませんでした。
「あたしも………朝倉と、ちゃんとキスしたかったよ」

…チリン…

 かすかに迷いの表情を見せるお姉ちゃんを促すように、もう一度鈴が鳴りました。
(…………?)
 頭上の月輪に、おぼろげな影が浮かんで見えました。
(あ、あれは!?)
 間違いありません。そこにいるのは、先ほど桜並木で会った、あの不思議な女の子でした。
 そうか…あの子は…そして、おそらく千(チ)夏(ナツ)さんも…
 死者の魂を導く者………『死神』だったんだ…
 この時になって、ようやく私は、あの子が去り際に見せた、悲しげな笑顔の意味を理解しました。
 あの時すでに、あの子には解かっていたのでしょう。事情はどうであれ、自分が、私から、大切な者を…お姉ちゃんを、永遠に奪ってしまうことになると…
 ゆるく纏ったマントと、月光を浴びて光る銀色の髪の毛が風に翻ります。