より水夏な、DCPS霧羽・香澄ストーリー(ネタバレ注意)
「私は、島の外の大きな病院で移植手術を受けたんです…」
私は、朝倉さんに、今日に至るまでの経緯を話していました。
朝倉さんは、遠慮する私に、少し強引に上着を貸してくれました。
「快復してからも、そのままその土地の学園に通って…
でも、ある時ネットで風見学園のことを検索したら幽霊の話が載っていて…」
「それが姉さんのことじゃないか、って思ったんだな」
私は、こくりと頷きました。
「本当なら、お姉ちゃんは、あの日ここを卒業するはずだったんです。なのに私が心臓発作を起こしたから……お姉ちゃんは卒業式に出たかったんじゃないかと思って…」
「でも、そうじゃなかった。あいつは、元気になった君と……約束した卒パに行きたかったんだよな」
「・・・・・・」
私は、黙って頷きました。
でも…もしも、千夏さんが、あのメールをくれなければ、私はきっと風見学園のことをネットで検索したりしなかったでしょう。
そうなれば、今日、この場に来ることもなかったはずです。
お姉ちゃんを心置きなく旅立たせてくれる為に…そして、私が、この先、ちゃんと生きていける為に、千夏さんは、私がここに来るよう導いてくれたのです。
今なら、それがハッキリと解かります。
千夏さん…本当に…ありがとうございました…
作品名:より水夏な、DCPS霧羽・香澄ストーリー(ネタバレ注意) 作家名:PN悠祐希