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PN悠祐希
PN悠祐希
novelistID. 37045
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より水夏な、DCPS霧羽・香澄ストーリー(ネタバレ注意)

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 ところが…
「フフ……音夢さんは、いい感をしていますね」
 萌先輩の口から出た、その音夢の考えを肯定するかのような言葉。
「でも、私は幽霊ではありません。私は、香澄さんの魂を導く為にこの島にやってきた死神…その『心の一部』です」
「死神?…って、じゃあもしかして、さっきの銀髪の少女は?」
 萌先輩…いや『千夏』は、その俺の言葉に、こくりと頷いた。
「自分の死を受け入れられなかったり、自分が死んだことを知らなかったりして、あまりにも長い時間、同じ場所にい続けてしまうと、例え『その気』はなくても、その霊は『地縛霊』になってしまい、成仏できなくなってしまうのです…
 そういう霊を生み出さないよう、魂を正しく死後の世界に導くのが、『死神』と呼ばれる者達の役目なんです…」
 俺達は何も言えず、ただ黙って千夏の話を聞いていた。
「香澄さんは、死んでしまった後、自分のことよりも、ただひたすら、妹の明日美さんのことを本当に心配していました。その想いの強さが、この島の桜の樹の力を得ることによって、結果的に、香澄さんの魂を、強くこの世に結び付けてしまっていたんです」
「桜の樹の…力?」
「そうです……その力は本当に強くて、私達の力だけでは、香澄さんの魂を導くどころか、コンタクトをはかることすらできずにいました…
 そうして、風見学園にい続けて三年……今日を過ぎてしまったら、香澄さんの霊は、間違いなく地縛霊になってしまう…
 そこで私は、元気になった明日美さんに会ってもらって、彼女の魂をこの世に結び付けている『心残り』を解消しようと思ったのです」
「つまり…明日美が、今日ここに来たのは、偶然ではなかったということか?」
「はい。そして、あの姉妹を引き合わせる為に、香澄さんと行動を共にしていたあなたを、利用させて頂きました」
 そう言って、千夏は、手に握っている、おそらく萌先輩の物と思われる携帯に軽く視線を向けた。
 なるほど…あの時のメールは、千夏の仕業だったんだな。
 と、千夏が、おもむろに俺に対して頭を下げた。
「ですが……そのせいで……偶然そこに居合わせただけの……なんの関係もないはずだった純一さんにまで、大変悲しい思いをさせてしまいました。本当に、ごめんなさい。許してなんて言えないけど、ただ謝りたかった」
 そして、いっそう深く頭を下げる。長い髪が、ふわりと揺れた。
「よ、よしてくれ。俺は明日美と違って、俺の都合で夜の風見学園に来て、俺の勝手で香澄と一緒に幽霊を探したんだ。それに、短い時間だったけど、色々あって、なんだか俺も楽しかったし……だから、あんたに謝られなければならないようなことは、なにもないよ」
「……ありがとうございます」
 そして、千夏は面を上げて…
「香澄さんが最後に出会えた人が、純一さんで、本当によかった」
 本当に安心したような笑みを浮かべていた。
「それじゃあ、私はこれで。恐れ入りますが、萌さんのこと、よろしくお願いしますね」
「え?」
 その瞬間、萌先輩の身体が、まるで糸を切られたマリオネットのように崩れ落ちた。
「あ、あぶねっ!」
 なんとか、倒れてしまう前に、その身体を抱きかかえた。
「兄さん……」
 音夢も、心配そうな表情で、俺に抱きかかえられている萌先輩を覗き込んできた。