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メア@這いよる篝ちゃん
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魔法少女リリカルほむら、1枚目

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そういって、ほむらちゃんは持っていたソウルジェムに優雅に口づけを交わします。その、あまりにも綺麗な所作に目を奪われる私を置いて、次の瞬間、ほむらちゃんの身体が眩く白い光に包まれ、その中からどこか学制服に似た、白地に紫を基調とする、シックな衣装に身を包んだほむらちゃんが現れます。
ですが、様子が少し変でした。

「?どうかしたの、ほむらちゃん?」
「い、いえ。なんでもないわ。」
「――いや、何でもない訳がないだろう、暁美ほむら。」
「!?」

後ろから声がして、驚いた私が振り返ると、そこには愛らしいマシュマロのような肌をした、紅い目の小さな生き物が、可愛らしく尻尾を振りながらほむらちゃんを見上げていました。 
……違う、私はこの動物を知っている。確か名前は、きゅう、べえ…?

「初めまして鹿目まどか。僕の名前はきゅうべえ。そして説明するよ。彼女にとってソウルジェムというのは本体に近い存在で、いわば核と呼べるものだ。当然、そこにはほむら自身の身体の感覚が、深いところでリンクしている。そんな物体に口づけをするなんて、そんなのただの自慰行為――きゅぷい」
「きゃぁ!!口からいきなり変な液体が!?」
「暁美ほむら、時間を止めていきなり蹴るなんてひどいじゃな――きゅぷぃきゅぷ;ぃぃぃぃ」

一秒ごとに、ありえない形状へと顔が凹んでいく、かつて動物だったものに恐怖を覚えつつ、私はなんとかほむらちゃんをなだめることに成功します。その間に、何故かきゅうべえのが元に戻っていたのは気にしないことにしました。



因みに。
何であんなことしたの?と、質問した私にほむらちゃんは、

「か、格好良く変身したかったのよ。」

なんて、恥ずかしがりながら答えたのは、また別のおはなし。



「さて、そろそろ片付けましょうか。」

そういって私は、物陰に隠れたまどかに軽く目線を送った後、中央の木と対峙した。
もうすぐ魔女の卵が孵化する。その前に一瞬で決着をつけよう。

「止まれ。」

私の声が、魔法を起こす鍵となる。停止した世界の中では、私が望む者、触れた者以外が動くことを許さない。
凍った時間。止まった空間。
私の支配する世界で、私は、同じ魔法を用いて保存しておいた重火器を、躊躇いなく目標の卵に向けて、幾つも発射した。
私の手から、火器を通して間接的に動いていた銃弾が、離れたところで停滞する。
そんな中、私は異常な事態に気がついた。

「この魔女、停止していない……!?」

自分以外動けるものの居ない筈の世界で、魔女を包む巨大な卵が、まるで心臓の様に鼓動する。

「周囲の銃弾及びまどかの停止は確認できる。ならば魔法事態に問題はないわね?」

あり得ない事態だった。私が今までに闘ってきたどんな魔女でも、私の止めた時間の中を動くことは出来なかった筈だ。それがたとえ、最凶と評されたワルプルギスの夜でさえも。

「……そう、遂にこの魔法を試す時が来たようね。」

時間の停止を終えて動き出した直後、火器による爆発を受けて吹き飛びながら、その最中も少しずつ再生を続ける卵を置いて、私はQBに話しかけた。

「きゅうべえ。」
「なんだい、ほむら。やけに嬉しそうじゃないか。」
「あの使い魔、止まった時間の中で動いていたわ。」
「!? ついに現れたのかい?」

そう言って震えるQBに、心配そうな目を向けるまどか。そんな彼女に気付かず、私は応えた。

「さあ、きゅうべえ。出番よ。」

天へと掲げた右手で、おもむろに指を鳴らした私と、殻を破り孵化し終えたものの、形の定まらぬ黒い影の様な魔女が起き上がるのは、ほぼ同時だった。

「な、何をしたの、ほむらちゃん!?」

突如として、無数の白い動物、きゅうべえと呼ばれた存在が、ホールの一面を埋め尽くす程に現れ、その総てが孵化した魔女に向けて突っ込んでいく。届かぬものは、先の一匹を踏み台にしつつ距離を詰め、やがて届いたものから使い魔にまとわりつき、使い魔が見えなくなるほどに埋め尽くしていく。そこで私は合図を送った。

「私の名前は何かしら?」







「「「明美ほむら万歳!!!」」」





瞬間、無数のきゅうべえ達が寸分違わずそう唱え、同時に大爆発を起こして爆ぜていった。勿論、魔女を巻き込んで。



「ほ、ほむら…ちゃん?」
「大丈夫よ。ねぇ、きゅうべえ?」
「確かに大丈夫だよ、鹿目まどか。」

何事もなかったかのように、ひょっこりとほむらの足元から身体をのぞかせたQB。

「それにしても、酷いことをするね、ほむらは。いくら僕達の身体に魔法を組み込んで、爆発の瞬間にそれ以前の時間へと戻していると言っても、同族の個体が一瞬にして吹き飛ぶ様は、僕としても怖いものがあるよ。生存本能があるからね。」
「けれど、約束は約束でしょう?私のスペックでは、動く的に向けて発射したところで命中が覚束ない。だから今回のような敵が現れた時に、きゅうべえ達がその身をもって爆弾を運ぶ。けれど、それでQBの個体数が減らないように予め魔法を掛けておく。……完璧(エコ)でしょう?」
「……?」

理解が追いつかない、といった表情のまどかに近づき、頭を撫でる私。
そして、振り返った先には、消えかかった魔女の姿が映る。
その姿を見た私は、魔女の纏う気配に驚愕した。そして、それはまどかも同じだった。驚きつつも、まどかが口を開く。

「嘘、なんで……、さやかちゃん……?」

その気配は、かつて私が廻った世界で対峙した、魔女になった『美樹さやか』と同じものだった。

Q.B.Continue ~続く。~