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メア@這いよる篝ちゃん
メア@這いよる篝ちゃん
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魔法少女リリカルほむら、1枚目

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まだ寝ぼけているのか、普段の芯の通った声ではなく、甘い猫の様な声で無邪気に答えてくれたほむらちゃんに、私の胸はドキリとさせられました。本当に答えてくれるとは思わなかったから。

「ぽむ――」
――噛んでしまいました。思った以上に動揺してます。

「ぽむ……の木?」
「その発想はなかったよほむらちゃん。」

ファミリーレストランのチェーン店、ポムの木って、全国チェーンなのかな?などと考えている私に構わず、ほむらちゃんは続けます。

「おかぁさん、お腹すいた?」
「え、だ、大丈夫だよ?」

とても自然な声色に、またしてもドキッとしました。お母さんという響き、恐るべしです。

「今度ね、食べに行こう?……さやかのおごりで。」

酷いよほむらちゃん!?それに、さやかちゃんがおごってくれるわけないよ!!

なんて失礼なことを考えながら、ひざに乗せたほむらちゃんの頭をなでていると、唐突に部屋の扉が勢いよく開かれました。

「ついに本性を現したな、この変態!転校生、私はアンタを殴らなアカン!」

窓からの光に後光を差されつつ、颯爽登場した青い娘、さやかちゃん。
そこから室内へと進み、ほむらの方へ右手の人差し指を向ける。ビシィっという音が聞こえた気がしました。

「ビシィ!」

というか、本当に言ってました。

「あの、どうしたの、さやかちゃん?」
「そんなの、私の財布の危機……ではなくて、まどかの低層うの危機を感じて飛んできたんだぜ。」

……何から突っ込めばいいのかな?

「さぁ、大人しく縛に付きなよ転校生!ネタは今まさに挙がって――」
「……おかぁさん?」

甘えたほむらちゃんの声に、さやかちゃんの言葉が遮られます。
どうしよう、なにこの状況、こんなの絶対おかしいよ。

「さ、さやかちゃん、えっと、」

凍りつく空気に耐え切れず、何か話そうとする私を置いて、確かコイツ、とさやかちゃんは呟きました。

「思い出した!確かこの転校生、一人暮らしって言ってたハズ。それに両親もいないって……。」
「あの、さやかちゃ」
「はっ、そうか!転校初日にまどかの顔を見て泣きだしたのは、まどかがほむらの母親の生き写し見たく見えたからで、普段は表に出さない感情が、眠っている今だけは出てしまっているという訳で……。」
「あの、さや」
「ああ、私ってホント馬鹿!どうして気づかなかった、あまつさえ、まどかの貞操の危機だなて……!」
「あの」

こちらに近付いて、膝を折って私と向かい合ったさやかちゃんに両手を取られ、今にも泣き出しそうな表情でさやかは続けます。

「今度、ポムの木行こうな。大丈夫、絶対おごってやるからさ。約束するよ。」

それだけ言って、すごく爽やかに扉に向けて歩いていき、背を向けたまま最後のセリフ。まだも窓から後光が差し、さやかちゃんが影絵のようになって、ムダにかっこいい。

「じゃあ、また後で。」

華麗に扉を閉め、去っていくさやかちゃんを、茫然としながら見送った私は、

「良い子、ではあるんだよね……。」

悪徳商法に気をつけるんだよ、さやかちゃん?と、素直な友達に届けばいいな、なんて考えながら呟きました。



――――ぞくり。
瞬間、異様な冷たさが背筋を凍らせた。
不気味で、真黒な液体が全身をめぐるような、不快で得体のしれない感覚。
日常において絶対に感じられないだろう、異質な気配。けれども。

「私、知ってる……?」

自分の感覚に戸惑いながらも、私は眠っているほむらちゃんを揺らし、起こしました。

「おはよう、まどか。どうしたの、怖い顔をしているわ。」
「あの、いきなり変な感じがして、そのえっと、」
「――私としては、もう少しこの柔らかい枕を堪能したいから、あまり動かないでくれると嬉しいわ。そして、まずは深呼吸してみましょう?」

そう言って優しく微笑みかけてくれたほむらちゃんのおがげで、私は落ち着きを取り戻します。私の様子に安心したほむらちゃんは、首から提げていたネックレスのようなものを外すと、金色のランプのようなオブジェの中に、青い光が灯っていました。

「それは?」
「ソウルジェム。つまり魔法少女の変身アイテム、といえばわかるかしら?」
「あ、うん。確か、ほむらちゃん達は魔法少女になって、魔女っていう敵と戦うんだよね?」
「……ええ、今はその認識で大丈夫よ。」

少し考えた後、そう答えたほむらちゃん。

実際、私の記憶はまだ曖昧なものが多い。断片的すぎて、繋がらない記憶がほとんどだから、今現在私の知っている知識が、ほむらちゃんの知っている知識とは違っているのかも。
そう考えつつ、私は質問しました。

「これから、どうするの?」
「今からここが、魔女の作り出した空間へとシフトする。だから、私はその魔女を倒しに行くわ。」

けれど、とほむらちゃんは呟きます。

「普通はこのペンダント、ソウルジェムに魔女、または魔女の使い魔の反応があるのよ。けど、魔女の反応がおかしい。……今までに見たことのない反応。」

数瞬考え込んだほむらちゃんは、迷った風に私に質問しました。

「今から戦いになるけれど、相手の存在が分からない以上、貴女にも危険が及ぶことになる。勿論、私の命に代えてでも貴女を守るけれど、まどかが望むなら、一度撤退してもいい。どうする?」

真剣な眼差しに、私は応えるように返しました。

「ううん、ほむらちゃん、どうか私も連れて行ってほしい。ほむらちゃんのこと、見守らせてほしいんだ。」

私の答えに目を細めつつ、そう、と肯く。その表情の意味するところは正確には分からなかったけれど、私を心配してくれていることは伝わって、とても嬉しかった。そう、だからこそ。

「けどね、ほむらちゃん。私も、ほむらちゃんが、えっと、大切だから。だから、自分のことも大切にしてほしいな。命に代えてもって、そんなこと言っちゃだめだよ。」
「……そうね。」

そう言って、ほむらちゃんは立ち上がります。

「来るわよ。」

その言葉と同時に、今まで保健室の壁であった場所が、得体のしれない気配に塗りつぶされるように無くなります。代わりに、巨大なホールのような空間の中で、夥しいほどの色が犇めき合い、空間を彩っています。まるで何かを描こうとしながら、重ねすぎた色のせいでなにも映しだせない、そんなキャンパスの様な空間でした。
その真中で、巨大な木の上にある木製のベッドの様なものの上には、クモの巣状に張り巡らされた糸の中心に、黄色い、卵型をした物体が胎動していて…。

「あれは、使い魔の卵……?けれど、何かおかしいわ。」

訝しみ、その様子から何かを探るほむらちゃん。けれどすぐにそれをやめ、ソウルジェムを右の手に取りました。

「大丈夫、ほむらちゃん?」
「ええ。どうやら保健室がちょうどこの空間の中心に位置していたようね。幸い相手はまだ生まれていない。好都合よ。」
「そうなんだ。」
「ふふ、さくっとやってしまいましょう。」