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こらぼでほすと ニート3

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温かい感情というものに触れると、ふわっと自分の心も温かくなる。リンクした相手が感じているものを、リジェネも感じてヴェーダでまどろんでいる。そろそろ、自分の素体も完成する。ティエリアが帰る時に入れ替わるように予定を考えている。ヴェーダを独占すると危惧されているのなら、それを逆手に取って地上でティエリアのおかんと過ごす。これなら、ティエリアのほうがヴェーダに居座る形になるから独占できないから、いい理由になるし、ティエリアに自分を紹介させて滞在させて貰えるはずだ。

・・・・でも、よく生きてるよね? あれだけ負の粒子を浴びてたら、もう全身に細胞異常が起こってるはずなのに・・・・・


 さすがに、ここからでは電子カルテまではチェックできないのだが、他の同様に細胞異常を起こしていた人間の結末はついている。刹那のダブルオートランザムバーストを浴びた人間は治療されたが、それ以外は亡くなっているのだ。それが生きているのだから、かなり厳重な管理をされているのだろう。ティエリアとリンクしているといっても、全てが共有できるわけではない。特に感情なんてものは、漠然としたものだけだ。だからこそ、それに直接に触れてみたいと思った。





 ティエリアはキラとの打ち合わせで、毎日、ラボに出勤する形になった。アレルヤのほうは、ニールの看病を担当する。二日ほどすると、ニールの発熱も治まって、体力回復に移行する。それも、漢方薬を時間ごとに飲むというものだから、忙しいこともない。ようやく、話が出来そうだ、と、アレルヤが話を切り出す。刹那と同じように世界を旅してみたいという話だ。それには、ニールも頷いた。世界に関心が向けられるのは良いことだ。
「ただね、僕としてはティエリアと一緒に行きたいと思っているんだけど、ティエリアがウンと言わないんだ。僕に関しては許可が出ているんだけど、ティエリアはヴェーダから離れられないし、組織の復興を優先するって・・・ねぇ、ニール。ティエリアを連れて行ってはいけないのかな? 」
「・・・・連れて行けばいいだろう。ティエリアだって、少しは変革された世界を、その目で見ればいい。」
 もちろん、ニールも肯定する。刹那が、あれだけ勝手なことをしたのだ。ティエリアだってやればいいことだ。それで、実際の世界を知れば、もっとティエリアの感情も豊かになる。これから、組織は再生されて、さらなる武力介入を行なうことになるのかもしれない。それならば、刹那が変革された世界を実際に体験して経験を積んだように、ティエリアも世界を知るべきだろう。
「でも、ティエリアは、自分はイノベイドで人類に奉仕するのが役目だ、って言うんだ。だから、世界を見なくて良いって。」
 今回の再始動でアレルヤもティエリアが普通の人間ではないという事実を知った。だからといって、それで気持ちが変わったということはない。ティエリアはティエリアであって、イノベイドとか人類とかいうカテゴリーで区別するものだとは思わない。
「・・・・イノベイドね・・・・そりゃそうだろうが・・・俺にとってはティエリアは人間だし、ずっと、そう言い続けて来た。俺も、それはおまえさんと同じだよ、アレルヤ。そんなもんで区別する必要はないと思う。」
 ニールがロックオンであった時から、ずっとニールはティエリアを人間として扱ってきた。元々、その情報は知っていたが、それでも、そんな区別はするつもりもなかったし、年下の同僚として、普通の生活を知らない箱入りテロリストとして扱ってきたつもりだ。人類に奉仕するためだけにティエリアは存在しているわけではない。ちゃんと自分の感情を持って、自分で自分の行動を考えられるティエリアは人間だ。ロボットやアンドロイドではないのだから、役目だけに生きる必要なんてない。時には休暇を取ればいい。
「ありがとう、ニール。そう言ってもらえると、僕たちも嬉しい。そんなこと言ったら、僕たちだって戦うために改造されている人間だ。役目は戦うだけってことになっちゃうよ。」
 アレルヤたちも普通ではない。脳を弄られているし、いろいろなナノマシンを体内に叩き込まれている。人革連は、アレルヤたちを戦う道具として開発した。ティエリアの言い分を肯定すれば、アレルヤたちも人類に奉仕するだけの存在になってしまう。そんなものは、ニールも全否定だ。おまえたちは人間なんだから、と、言い続けた意味が無くなる。
「刹那に相談して、ティエリアに休暇を取らせる算段をすればいい。今は、刹那がマイスター組のリーダーだ。あいつから命じてもらえば、ティエリアも頷くんじゃねぇーか? 」
「それと、ニールからも説得してくれる? 」
「ああ、お安い御用だ。・・・・ったく、そんなバカ正直に考えなくていいんだってぇーの。前と同じようにしてりゃあ、いいんだ。」
 イノベイドだと知らなかった頃と今とで、何も状況は変わっていない。人間ではないから、と、自分で自分を差別するなんていうのが、おかしいとニールも思う。
「ニールは、ティエリアのことを知っていたから、ずっと言い続けてたんだよね? 」
 ロックオンであった頃には、すでにニールは、ティエリアや自分たちに、「人間なんだから。」 と、言い続けていた。それは、それ以前から知っていたということだ。
「俺のコードネームで閲覧できる範囲には、その情報はなかったんだけど、ちよっといろいろと調べていて知っちまったんだ。だから・・・」
 おまえたちのことも知ってた、と、ニールは苦笑する。闇社会で生きていたニールは、いろいろと裏技も知っていて、自分の閲覧可能領域よりも広い範囲のことを把握していた。それも、組織を信用していなかったから、調べていた結果、偶然に見つけたものだったと教えた。
「おまえたちから聞き出したこともあったけどな。だから、なるべく普通の人間がやることも体験させてやりたかったんだ。俺ができることなんて、たかだか知れていたけどさ。そういうものがあるってことは・・・大切だと思ってた。」
 失くしてしまったが、ニールは家庭の温かさというものを知っていた。それがあるから戦えたし、憎悪もした。そんなものが皆無なマイスターたちに、心が動いた。自分だけが知っている温かいものを少しでも教えてやりたかった。戦うだけではない生活というものが、気持ちを豊かにすることを知って欲しかったからだ。
「・・うん・・・僕ら、ニールに感謝してるよ。たぶん、ニールのお陰で愛するってことを知ったんだと思うから。」
 アレルヤも微笑んで頷く。殺伐とした世界しか知らなかったアレルヤたちも、おいしいものやいい匂いのもの、綺麗なもの、楽しいものという心地良いものを教えてもらった。そして、それが好きという感情を育てて、大切なものを感じることができるようになった。人間であるというのは、そういうものだ、と、教えてくれたのはニールだ。最初は、抵抗も反発もしたが、理解してしまえば、それが大切だと心から思えた。その先にあったのがティエリアへの想いだ。
「ティエリアは携帯端末で繋がれば、同じものが見られるからって言うんだ。でも、僕はティエリアと並んで、同じものを見て感じたいと思う。その場で握手したり抱き締めたり肩を抱いたりしたい。」
作品名:こらぼでほすと ニート3 作家名:篠義