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マヨネーズ生卵β
マヨネーズ生卵β
novelistID. 38947
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愛し子2

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アメリカが消えた。

馬鹿な。そんなはずはない。国の常識で考えて有り得ないことだ。
国は終るとき静かに消える。だけれど米国は、国の化身が消える程に傾いてはいなかった。国の容姿は国家が持つ可能性の現れだ。国家の可能性がそのまま若さとなって化身の姿に出る。だから大抵の後進国は例外なく若いし、先進国でさえ国民が全員高齢者にでもならない限り老いない。アメリカは今だ20代に届かない若い姿で、国家の可能性(未来)を存分に示していた。

国家より先に国の化身が消えるなど、聞いたことがない。

『あの、イギリスさん?』
「ああ、聞いている。国よりも先に国の化身が消えるなんて有り得ないことだ」
『はい。ですからこれはイギリスさんに相談するしかないと思いまして』
(見えない物が見えるイギリスさんなら)言外の言葉が伝わってくるようだ。
「確かに、日本が俺に相談した判断は正しい」

内密に対処しようとしたこともな。

「ここ最近、俺達の詳細な体調はトップシークレットだ」
『はい』
「俺達の風邪は国家の経済状態を表すバロメーターだから、それで株式が左右されることもある」
『そう、ですね』
「アメリカが風邪通り越して消えたとなれば、株式も何もかも滅茶苦茶だ。皆が元気な時ならばいい。先進国全員で捜索にもあたれただろうが、今は最悪なんだ。特にこっちはな」
『ええ、存じております』
「2ヵ月前にギリシャが高熱で倒れて、まだ起き上がっていない。スペインも先日、その次はイタリアが短期休養に入った。バカンスが名目の治療と隠蔽だ。フランスは気丈にしているが、先日うちの部下が見た時には足取りが重かったそうだし、ドイツでさえ解熱剤と鎮痛剤を服用している。かくいう俺も、当然本調子じゃない」
『イタリア君・・・ドイツさんまで・・・』
「もし、アメリカが消えたことを世界中が知ったら、下手するとこっちの国が一つか二つ、本当に消えかねない」
『そんなこと、絶対にいけません!』
「だから日本が、事件を解決出来る可能性の一番高い俺だけに相談をしたのは正しい」
『イギリスさん、』
「アーサーでいい。この問題は二人で解決するしかない。だから、解決するまで菊は俺の相棒だ」
『!』
菊の驚くような息遣いが聞こえる。数ある国の中で、俺に出来た唯一の友達。
遠い昔、決別を余儀なくされた頃、もう一度ファーストネームを呼んで相棒と名乗る日が来ることを願った。
その願いと引き換えに弟が消えたんじゃ、皮肉にもならない。
『あの、アーサーさん』
「それでいい。で?誰かの魔術にしろ超常現象にしろ、原因を探るには詳細な状況が必要だ。話してくれるか?」
『あの、』
「大丈夫だ。俺達は必ず解決の緒を見つけられる。ついでに甘ったれたハッピーエンドもな」
『はい!あれは』

隻を切ったように話し出す日本の声を聞きながら、イギリスは目を閉じた。
雷が轟いて、窓ガラスを揺らす。霧雨は雷雨となったようだ。

どこにいっちまったんだよアメリカ。

作品名:愛し子2 作家名:マヨネーズ生卵β