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こらぼでほすと ニート6

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リジェネとティエリアは、どちらもヴェーダに意識の一部を残している。だから、日に何度かはヴェーダにある意識へ戻り、日々の蓄積されているデータを閲覧する。リジェネが客間の布団に転がって、ヴェーダへ意識を戻したら、ティエリアが待っていた。あちらは移動中のはずだ。
「どうかしたの? 」
「おまえに注意しておかなければならないことがある。」
 ニールは組織を外れた身だ。絶対に先の戦闘のことは聞かせるわけにはいかない。少しバレてしまったこともあるが、できるだけ生々しい話は避けたいのが、みんなの考えだ。ティリエアが、どうして素体を失くしてしまうほどの傷を負ったか、刹那の肩の銃創とか、どんな戦闘だったか、なんてことは聞かせたくない。それらを説明するために、待っていた。
「つまり、イノベイドの僕たちが世界を歪ませた原因だと知られてはいけないってことかい? 」
「当たり前だ。そんなことは知らなくていい。あの人は、あそこで普通に暮らしてくれていれば、それで十分なんだ。それ以上のことは知らせる必要はない。それに体調の問題もある。ショックを受けさせると、体調を崩す。刹那がダブルオーを再生したら、それも解消できる。それまでは体調は維持させておかなければならないんだ。」
 切々とティエリアが話すことは、リジェネには想像もしていなかったことだ。まあ、あれだけ負のGN粒子を浴びた身体だ。細胞異常は広がっているだろう。詳しいことは知らなくても、リジェネにだって、それは理解できる。
「・・・・この間のことは、何も喋らなければいいんだね? わかった。善処するよ。別に、僕は、ママを壊したいわけじゃないからね。」
「当たり前だ。・・・それから、俺たちの代わりに傍に居てやってくれ。あの人は寂しがり屋だから、それだけは頼む。傍に居てくれれば、あの人は落ち着いているはずだ。」
 ティエリアだってリジェネの感情は、それとなくは把握している。温かい感情に触れているティエリアを羨ましいと興味を持っていた。だから、ニールの傍に居たいというなら、それは構わない。なんせ、あのおかんは世話好きで、誰であろうと甘えられたら嬉しいという人だ。
「ティエリア。」
「あの人は、本当は寂しがり屋で、俺たちがいないとダメなんだ。・・・だから、頼む、リジェネ。」
「・・うん・・・わかった。」
「それから、まだ体調が完全ではないから、あまり働きすぎているようなら止めてくれ。昼寝もさせて欲しいんだ。できたら昼食の後で二時間。クスリも食後に必ず飲ませて欲しい。他に漢方薬のクスリがあるはずだから、それも頼む。体力を回復させるのには、漢方薬のほうが早い。・・・・それから毎日、天気予報のチェックをして、翌日、雨が降る予報だったら気をつけろ。気圧変化が激しいと、身体が適応しなくて動きが鈍くなる。その場合は、悟空と相談して、ドクターのところへ連れて行くか、寺で寝かせておくかを決めなければならない・・・他に・・・。」
 どんどんとティエリアが、ニールの取り扱いについて説明をする。ひとつひとつは些細なことだが、量は膨大だ。これは覚えられないな、と、ヴェーダに録音させる。そうしておけば、ひとつずつを整理して記憶できる。だが、まあ、ティエリアの必死さには笑みが零れてしまった。本当に、大切だから、あんなふうに管理をしているのだ。何年もティエリアが大切にしていたおかんだと実感する。ティエリアが、そんなふうに世話をしている裏返しが、ママからの世話だ。ティエリア自身が、大切に世話をされているから、相手がしてくれることと同じものを返そうとしているのだから。
「わかった、わかったよ、ティエリア。僕が、きみの代わりにママの管理はしておくからさ。」
「頼んだぞ、リジェネ。」
「ああ。」
 どちらも、それでヴェーダに残している意識から離脱した。なんとも用事が多いことだ。だが、その裏返しのものは、たぶん自分にも与えられるのだろうと思うと、ちょっと楽しい気分にはなった。



 ヴェーダから素体に意識を戻したら、視線を感じた。飛行機のビジネスクラスだから席はふたつずつに分離されている。そのとなりに座っているのは馴染みの男のはずだ。横を向いたら、案の定、アレルヤだった。そしてティエリアの身体には、毛布がかかっていた。飛行機は夜の時間で照明が落とされていて周囲も静かだ。だから、頬を寄せるようにしてティエリアが話しかける。
「どうした? 」
「おかえり、ティエリア。・・・・大丈夫だよ。リジェネは、本当にニールに甘えてみたかっただけだ。きっと、リジェネも温かいものって感じてくれると思う。」 
 アレルヤたちは脳量子波が感知できるから、ティエリアがヴェーダと完全にリンクした時は判る。リジェネにダメだしをしているのだろうことも予測済みだった。
「わかっている。ただ、あいつが無茶をしないようにニールの取り扱いについて説明していただけだ。いろいろと気をつけておかないと、あの人は危ないからな。」
 ショックを受けると、大変なことになる。それを知っているのはティエリアだけだ。なんせ、この隣りのバカがやらかしてくれたことで、ニールは三ヶ月もダウンしてしまったからだ。歌姫様からの緊急呼び出しを受けて看病に出向いたものの、かなり回復しているとは言われたが、それでもティエリアには怖かった。刹那が世界放浪の旅に出ていて、世話を出来るのがティエリアだけだったから踏ん張ったが、かなり途方に暮れたのも事実だ。でも、ティエリアが看病するようになってから、ニールは精神的に安定して体調も順調に回復した。『吉祥富貴』の年少組では、そういう変化はなかったそうだから、やはり親猫は子猫が精神安定剤なのだ、と、周囲からも認められた。
「そうなの? 」
「きみは知らないことだ。・・・きみが行方不明になった時、あの人は壊れたんだ。たかだか、きみのことで、だぞ? それも三ヶ月も・・・」
 三ヶ月だけではない。その後、完全に回復するまでは半年以上かかったと聞かされた。だから、ショックは与えたくない。リジェネが面白半分に、この間の状況などを事細かに喋ったら、確実にダウンするだろう。
「僕、それを教えてもらって・・・実は、とても嬉しかった。そんなにニールに心配してもらえるとは思わなかったんだ。」
 再始動の後で奪還されてから、行方不明の後のことは大まかに教えてもらっていた。世界からの贖罪を受けるのたと思ったから、覚悟を決めた。だが、実際は死ぬこともなく、また組織に戻ってこられた。親猫がダウンするほどにショックを受けたと、ティエリアに教えられて、とても嬉しかった。そんなふうに心配してくれる想いを向けてくれる相手がいるのだと気付いたからだ。
「ブレイクピラーの後で、ニールに逢ったら、『もし、世界から咎を受ける時がきたら、マイスター全員で受けるから勝手に先走るな。』って叱られた。ニールも一緒に受けるって宣言してさ・・・僕、本当、嬉しくて泣いちゃったよ。」
「そんな問題じゃないっっ。おまえは知らないから、そんなことが言えるんだ。どれだけ、俺が怖かったと思っているんだ? 」
作品名:こらぼでほすと ニート6 作家名:篠義