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こらぼでほすと ニート7

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おやつの時間に、キラとアスランが顔を出した。境内の片隅で、麦藁帽子を被ったリジェネが、ぶへーと座り込んでいる。ティエリアと体格的に変わらないから、ティエリアの普段着を着ている。ママの前でできない話もあるから、そちらへ足を進める。

 お昼を食べたら、ママは昼寝だとハイネが脇部屋に連行してしまった。残ったリジェネは、周辺の散歩でもしようと思っていたが、ハイネが戻ってきて、境内の草むしりをしろ、と、命じる。
「どうして? 滞在費なら振り込む。」
「ここの滞在費っていうのは、そういうもんじゃ埒が明かない。ティにゃんたちも、ここに滞在している時は草むしりとか掃除をしている。対価は労働で払え。」
 スーパーニート様にしたら、草むしりって何? な状態だ。働いたことなんて、ほとんどないのだから、しょうがない。ハイネが、こういうもんだ、と、説明して麦藁帽子を渡された。ぶちぶちと境内に生えている草を抜いていると、すぐに飽きてきた。座り込んで周辺の草をブチブチやっているのも退屈なものだ。なぜ、貨幣で滞在費を支払えないのか、それすらリジェネには理解不能だ。こんなに広い場所なのだから、人でも雇って働かせればいいと思う。何も自分がやることではない。そう提案しようと居間に戻ったら、坊主に再びの空手チョップだ。
「その金というのは、おまえが稼いだもんじゃねぇーだろ? 」
「僕らの活動資金として用意されているものだから、自由に使っていいんだ。」
 イノベイドたちが活動するための資金は、ヴェーダが用意している。ある程度の資産を運用することで生み出されているものだから尽きるものではない。たかだか、寺の清掃を依頼するぐらいのことなら容易いものだ。坊主は、それを聞くと、鼻でせせら笑った。
「金の大切さもわからんバカなんだな? おまえ。」
「はあ? 」
「おまえ自身で稼いだわけでもないアブク銭なんぞで支払いは許可しない。稼げないなら、労働で払うのが、うちのルールだ。草むしりもできねぇーってんなら、どうする? 」
「それなら、僕、ホテルにでも滞在して、こっちに遊びに来る。それでもいいでしょ? 」
「別に、俺は構わないが、それだと、うちのと一緒に居る時間は極端に減る。それでもいいなら、そうしろ。まあ、うちの女房が、そんなことを許可するとは思えないがな。」
 わざわざお金を使う必要はないだろう、ここに滞在していればいい、と、女房は言うだろう。草むしりしたくない、と、言えば、他の労働を考えて用意するだろうが、結局のところ、何かしらの労働は提供させられることになる。ニールにとっても、それは当たり前のことだ。坊主も、その女房も金のない辛さは知っているからだ。
「僕らは、そんなもの知らなくても、もっと高等な仕事をしている。」
「それは、うちでは通用しない。イノベイドだろうと人間だろうと働くのは基本だろう。とりあえず、うちのが起きるまで草でもむしってろ。勝手なことをしたら叩き出すからな。」
 どうあっても、クリーンサービスは入れられないらしい。今夜にでも、ティエリアに、そこのところは確認してみようと考えて、境内で座り込んでいた。そこへキラたちが現れた。


「きみがリジェネ・レジェッタ? 」
「そうだ、キラ・ヤマト。そっちは、アスラン・ザラだね。はじめまして。」
 歩み寄ってきたキラたちに挨拶すると立ち上がる。ティエリアと瓜二つだが、雰囲気は違う。ティエリアよりは社交性があるらしい。どちらも社交辞令なんて使うタイプではないから、キラも、早速、本題に入る。
「今回の目的は? 」
「ティエリアのママに逢いたくなっただけだ。別に、きみたち『吉祥富貴』にちょっかいをかけるつもりはないよ? 」
「そうなの? それならいいんだけど。僕らのほうも、きみにちょっかいはかけたくないから。ママは? 」
「昼寝だそうだ。僕は強制労働。」
「労働? どこが? 」
 リジェネの周辺に、少し引き抜かれた草はあるが、労働というほどのことではない。キラたちも、たまに草むしりをさせられているが、こんなもんじゃない。ちゃんと山になるくらいの草は抜いている。
「こんな暑い時間に、バカバカしいことをしているのが労働っていうんじゃないの? 」
「あははは・・・リジェネ、そのぐらいで働いているっていうのはおかしいよ。この労働ができないんなら、僕らと店で働いてみる? 」
「どうして、僕が、そんなことしなきゃいけないのさ。」
「だって、ここんちはオールセルフサービスだし、ママにお世話になりっぱなしなんておかしいだろ? 」
 キラだって、そのことは理解している。もちろん、アスランもだ。お金がない辛さなんてものではなくて、物で受け取ってくれないママに返せるのが、そういう類のものしかないからのことだ。
「ママって、そういうものなんでしょ? 」
 リジェネは返して返されての意味がわからないから、こう尋ねる。それで、キラも、リジェネが、そういうものとは無縁のイノベイドだと理解した。それなら、理解してもらおうとは思わないから、スルーする。
「リジェネって、ティエリアとは違うんだね。それはわかった。・・・それなら、それでいいけどね。とりあえず、ママには内緒の話だけさせてもらう。うちのマザーにアクセスできる場所の出入りは禁止。あと、うちの情報を横流しするのも禁止。ママに、この前の大戦のことを喋るのも禁止。そんなとこかな? アスラン。」
「ママニールを連れ出すのも、今の所は禁止だな。まだ、あんまり動き回っていい体調じゃない。」
 アスランも、キラとリジェネの会話で、そこいらを理解する。与えられて与えるという関係は、とても大切なものだ。ティエリアやレイは、ニールが与え続けたから、今は、その関係を作っているが、そういうものがなければ、そうはならないのだから仕方がない。今更、そんなことを理解してもらうのは難しいだろう。それに、仲間ではないのだから、それほど親身になる気分でもない。
「それはティエリアからも聞いてるよ。いろいろとママの取り扱いも説明されたから、徐々にさせてもらう。それから、僕は、今のところ、何もするつもりはないから、きみたちのマザーと接触するつもりもないから。」
「それなら、それで結構だ。まあ、退屈するなら店でバイトでもすればいい。」
「退屈はしないと思う。」
「そう? わかった。」
 そういうことなら、何もするつもりはない。もし、リジェネが悪戯をしたら、即座に素体とのリンクを断ち切ってヴェーダ本体へ返せばいいし、悪戯の程度によっては、キラがチェックしているリジェネの核を破壊すればいい。たとえ、それでティエリアが激怒しようと、キラたちにとって、マザーは『吉祥富貴』の要だ。内部に侵入される危険は回避しなければならない。これから世界が一つに纏まっていく過程で、こちらからのアプローチをするには、マザーは必要だからだ。


 そんな話をしていたら、脇部屋の障子が開いた。ふぁーと背伸びしつつニールが顔を出す。背後からハイネも顔を覗かせて、キラたちを発見して、ニールに声をかけている。
「ママっっ。」
 キラは、とてとてと境内を横切って、そちらに走っていく。釣られるようにリジェネも追い駆ける。
「よお、キラ。」
作品名:こらぼでほすと ニート7 作家名:篠義