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こらぼでほすと ニート9

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 メロンパンをオーブンに並べて、歌姫様が種明かしをする。めったくそ甘いメロンパンに、さらにハチミツをトッピングした鬼甘いブツも作ったらしい。甘党でないと、呻くほどの甘さだ。悟空は、大喜びしているが、シンやアスラン辺りは苦しむかもしれない。
「レイ、うすあげの真ん中開いて餅入れてかんぴょう。」
「了解。」
「悟空、悪いけど、この鍋の中身、こっちの鍋に分けてくれないか? 」
「オッケー。」
 おおよその下準備が終わったので、やれやれとニールも手を休める。ジャガイモ、ニンジン、タマネギだけをブイヨンで煮たものを、カレーうどん用、カレー用、アイリッシュシチュー用の三つの鍋に分けてもらう。後は、具材を馴染ませたら味付けして完成だ。カレーうどん用は、あまり具材は放り込まないで、うすあげや白ネギなんかを投入する予定だ。
「ママ、少し休んでくださいな。後は煮込みですから。」
「ああ、そうだな。・・・・じゃあ、俺、風呂掃除してくるから任せていいか? レイ。」
「だ・か・らあー、休めってラクスは言ってんのっっ。風呂掃除なら、後で俺がするってっっ。」
 ちょいと他の家事を、と、ニールが台所から出ようとしたら、悟空に捕まった。朝から、この調子で動いているので休憩させないと、午後からダウンしてしまう。ずるずると、そのまま居間のほうへ引き摺り、卓袱台の前に座っているリジェネに引き渡す。
「リジェネ、ママが動かないように見張ってろ。ヘルベルトさん、マーズさん、フォローよろしく。」
 え? と、ニールは無理矢理座らされてしまった。その右腕はリジェネが掴んでいる。悟空は大鍋の中身を移動させる仕事に台所に戻る。
「まあまあ、ママニャン。ちょっと座れ。」
「そうだそうだ。座って、俺らの相手もしてくれ。」
 あまり家事能力のない護衛二人は、居間で新聞を読んだりテレビを観たりと、のんびりしていた。
「ああ、そうだ。ヘルベルトさん、マーズさん、こっちがリジェネ。ティエリアの兄です。しばらく、うちに居候しますから。」
 そういや紹介してなかったな、と、ニールがリジェネを紹介する。そして、リジェネに、そこいらにいる人間のことも紹介しておいた。
「おう、その話は聞いた。よろしくな、リジェネ・レジェッタ。」
「それほど接触することもねぇーだろうけどなあ。」
 護衛陣が片手を上げて挨拶する。リジェネは視線で返したのだが、ニールに後ろ頭を掴れて下げさせられた。
「まだ、挨拶とか知らないみたいなんで、お願いします。・・・リジェネ、挨拶されたら、ちゃんと言葉で挨拶を返せ。さもなければ、お辞儀をしろ。それは生活マナーだ。」
 こういうところはニールも容赦ない。しっかりと、社交ルールは身につけさせるつもりでしつける。リジェネのほうは唖然とする。まさか頭を下げさせられるなんて思いもしなかった。
「どうして、僕だけ頭を下げるの? この人たちは下げてない。」
「ふたりとも片手を上げて挨拶したぜ? それに、おまえさんのほうが年下なんだから、丁寧に返すのが礼儀だ。」
「僕、イノベイドだから見た目の年齢通りじゃない。」
「それでも初めての相手には挨拶をするもんだ。・・・・それから、もう手は離していい。」
 まだ、リジェネはニールの腕を掴んだままだ。なんとなく、この体温が珍しくて離したくない。頭ごなしに注意されてムカついたのだが、それでもニールの腕を投げ捨てるような気分にはならない。
「ヤダッッ。ママの監視は、ティエリアからも言われた。ここに座ってる間は持ってる。」
「・・・ティエリアのヤツ。そんなことを言ったのか? あいつ・・・俺は、そこまで信用ないのかよ。」
「ねぇーだろ? ちょこまか動いてダウンすんのは、おまえだ。」
「まったくだぜ。リジェネ、しばらく座らせておけ。」
 嘆いたニールに、容赦ないツッコミを護衛ふたりが入れる。さらに、台所から追い討ちのツッコミだ。
「そりゃ心配するさ。ティエリアも刹那も、ママがダウンすんのが一番怖いって言ってたぜ。」
「そうですよ、ママ。午後から、俺たちの華麗な戦いを見せるんですから体力は温存してください。」
「ママ、私も参加いたしますので楽しんでくださいね。リジェネ、ママの監視をお願いいたします。」
「おまえらまで五月蝿いっっ。余計なこと言ってるとヤケドするぞっっ。」
 ニールがツッコミ返すと、もうしょーがないねぇーとヒルダが台所からやってきて、ごろりとニールを畳に転がした。座布団を二人折りにして、頭のところへ入れると、「このまま監視しておくれ。」 と、リジェネに命じる。ニールの両手首をリジェネに掴ませて、ヒルダは台所へ戻る。
「ちょっちょっと、ヒルダさん。」
「ごちゃごちゃ言ってないで身体を休めな、ママ。今日は盛りだくさんなんだからね。」
 両腕の自由を束縛されてしまうと起き上がれない。それに、リジェネも流れについてけずに茫然としつつ、ニールの両腕を掴んでいる。
「リジェネ、片手だけでいい。そうでないと、おまえさんも身動きできないぞ? 」
「ねぇ、ママ。これも労働? 寺で滞在する対価になる? 」
「はあ? 」
「おう、リジェネ、それは労働だ。ママの監視は一番大切な労働だ。」
 ニールの代わりに悟空が豪快に笑いつつ返事する。
「そう、それなら僕、労働するよ。これなら、ティエリアにも頼まれていたしできそうだ。」
「いや、リジェネ? たぶん、これ、労働じゃないと思うんだけどなあ。」
「ほほほほ・・・確かに、ママの監視が寺での一番重要な仕事かもしれませんわ。一番、大変ですもの。」
「ラクス、おまえも余計なことを言わない。」
「ですが、あなたの体調の管理が、私たちにとっても一番の関心事です。それに否やはございませんでしょ? ママ。」
 確かに、今のところ、あまり体調は万全ではないから、こうやって誰かがストッパーでいるのは重要なことだ。ここに常時居るものしかできないから、リジェネが適役ではある。
「それなら、僕、毎日、ママの監視をする。後で、ティエリアからの取り扱い説明書も確認しておくね。」
「おう、あとさ、クスリとか飲ませる仕事もあるから、後から教えるぞ。他に漢方薬も飲ませないといけないんだ。」
 日中、留守になる悟空が、必要な用件を説明する。レイやハイネがいれば、そこいらもやってくれるが、ずっと常時滞在しているわけではないから、暇なリジェネに担当させておけばいい。


作品名:こらぼでほすと ニート9 作家名:篠義