こらぼでほすと ニート12
その夜も、リジェネは客間だった。ママの両隣に、レイとラクスが陣取ってしまったからだ。ぶーたれ顔をしていたら、「明日から、おまえが隣りに寝ればいいだろ? 」 と、言われた。
「悟空はいいの? 」
「俺は寝相が悪くて、ママに怪我させるからダメなんだ。明日には、レイも歌姫さんも帰っちまうから、一緒がいいなら、そうしろよ。俺も、そのほうが安心だし。」
たぶん、ハイネが戻って来る予定ではあるだろうが、ニールの両側に寝るというなら、どうにかなる。なるべく、ママは傍に他人の体温を置いておきたい。リジェネなら、ティエリアの代わりになるだろうからの悟空の言葉だ。
そう宥められて、まあ、いいか、と、客間に引き取った。他には、護衛陣が、もう一方の脇部屋に居座っている。ヒルダは本堂に布団を敷いていた。さすがに、むさくるしい野郎二人と同じ部屋は勘弁願いたいらしい。
翌日は、日曜日で、みんな、少し寝坊する。坊主だけは朝のお勤めなんぞはしているが、それ以外は、のんびりモードだ。昨日の夕食が大量に残っているので、食事には事欠かない。坊主は一人で適当に、そこいらのものを摘みつつ、新聞を読んでいる。次に起き出すのが悟空で、ばくばくと残り物を消費する。そして、ようやくレイが現れたが、寺の住人二人を見て苦笑した。
「やっぱ、出たか? 」
「高くはないんだが、出てる。」
「じゃあ、食べやすいのをピックアップする。」
二人して、口当たりのよさそうなものを、ちまちまと器に移すと、白湯とインスタントスープも準備して脇部屋へと戻って行った。坊主は、そのまんまスルーで新聞に目を通している。
疲れて発熱するのは、珍しいことではない。いつもなら体調を整えて寺へ戻るのに、今回は本宅から直接、寺に戻った。アレルヤとティエリアが休暇を過ごすのに、ニールの食事が食べたいとねだったからだ。帰してしまったら、トダカが里へ引き取るつもりをしていたのに、リジェネが降りて来たので、そのまま寺で生活することになった。で、昨日のバトミントン大会だ。
回復してないところに動き回っていたから、疲れたのだろうと、みんな、解っている。一日、寝ていれば治まる程度のものだから、誰も慌てていない。悟空もレイもラクスも、予想はしていたから、さっさと動いている。なるべく動き回らないように、みな、気をつけてはいたのだが、一緒にバトミントンをしたのが、まずかったらしい。
リジェネが起きた頃に、歌姫様は消えていた。お腹が空いたから、食事しようと思ったら、ママがいない。居間では、坊主が書類仕事をしているだけだ。
「三蔵、さん。ママは? 」
「女房ならダウンだ。」
「はい? ダウンって? 」
「熱出して寝てる。今日は、うちのは使い物にならないからな。自分で、どうにかしろ。」
そう言われても、何をしていいんだかわからない。とりあえず、ママの様子を見に、脇部屋へと上がった。障子を開いたら、レイが傍についている。部屋に入って、布団に近付いたら、冷えピタを額に貼られたママが寝ていた。
「疲れて発熱しているんだ。起こさないでくれ。」
レイが小さな声で、そう言う。ダウンというのは寝込むということらしい。高熱ではないので、静かに寝ていればいいレベルだから、レイが傍に張り付いているだけだ。悟空のほうは、洗濯やらの家事を片付けに外へ出ている。誰もいないと寂しがるから、レイは居る。目を覚ましたら、水分補給だけはさせるつもりだ。
「医者に診せないの? 」
「それほどのことじゃない。もし、発熱が高くなったら、ドクターに連絡する。」
「でも、発熱ってことは病気でしょう? 」
「病気というよりも過労だ。昨日、俺たちと騒ぎすぎたんだ。」
それだけではないが、直近の原因は、それだ。あれだけで? と、リジェネには納得がいかない。
「僕、お腹空いたんだ。」
「台所に、昨日の残り物があるから適当に食べてくればいい。」
もう、みんな、慣れっこで、こういう場合は適当にすることに決まっている。レイも、ニールの食事を用意する時に、適当に摘んできた。悟空が戻ってきたら、ここを交代して製作しておいたおじやを運んでおこうかな、と、考えている。明日からは、またアカデミーへ通学しなければならないので、今夜は家に帰らなければならない。それまでの時間は、ここに居座って看病するつもりだ。シンにもメールで連絡しておいたから、もしかしたらトダカが引き取りに来るかもしれない。静養するなら、トダカ家のほうがしやすいからだ。
リジェネも布団の傍で、ニールの様子を観察していたが、ぐぅーとお腹が鳴った。午後に近い時間だ。誰もしてくれないなら、自分でするしかない。お腹を擦りながら立ち上がろうとしたら、「起きたのか? 」 と、下から声がした。
「ママ? 」
「おはようーさん、リジェネ。今、腹の虫鳴らしたのは、おまえだろ? 」
「・・うん・・・」
ちょっと気怠るげに息を吐いて起き上がろうとするので、慌ててレイが止めた。
「ママ、起きちゃダメです。」
「いや、ちょっと、こいつのメシの支度だけしてくるよ。大したことはないから、心配すんな、レイ。」
「それなら、ママが召し上がってください。クスリしか飲まなかったでしょう? 胃に負担がかかります。おじやを作ってあります。」
「それなら、リジェネにメシを食わせてくれないか? こいつ、自分で用意とかできないんだ。」
「それを俺がしたら、おじやを召し上がってくれますか? 」
「・・・まあ、一口くらいなら・・・」
「わかりました。とりあえず、水分だけでも。」
用意していたポカリのペットボトルにストローを差し込んで、口元に寄せる。そこまでしなくても・・・と、ニールは笑っているが、ここで怯んではいけない。さあ、と、無理に飲ませる。少し吸い上げてくれたら、枕元に置いて、レイは立ち上がる。すぐに戻りますから、と、言い置いて、脇部屋から出て行った。
「おまえさんもついていって、メシを食って来い。」
「・・・うん・・・」
「どうした? 腹減ってんだろ? リジェネ。」
「・・うん・・・ティエリアが。」
「ん? 」
「ティエリアが、ママは、すぐに体調を崩すから気をつけてくれって言ってたんだけど・・・・何が悪かったのか、僕にはわからない。」
そりゃそうだろう、と、ニールは苦笑する。普通、前日に少し騒いだぐらいで発熱するなんてのは有り得ないからだ。漢方薬治療の後だから、ニールも気をつけていたのだが、これぐらいで発熱するとは思わなかった。やはり、以前よりは弱っている気がする。
ヴェーダは地球のデータを集積して処理しているシステムだ。だから、あらゆる情報が蓄積されている。それを掌握しているということは、地球にある細胞異常の症例なんかもあるはずだ。
「なあ、リジェネ。負のGN粒子から引き起こされる細胞異常についてのデータというのはあるか? 」
「悟空はいいの? 」
「俺は寝相が悪くて、ママに怪我させるからダメなんだ。明日には、レイも歌姫さんも帰っちまうから、一緒がいいなら、そうしろよ。俺も、そのほうが安心だし。」
たぶん、ハイネが戻って来る予定ではあるだろうが、ニールの両側に寝るというなら、どうにかなる。なるべく、ママは傍に他人の体温を置いておきたい。リジェネなら、ティエリアの代わりになるだろうからの悟空の言葉だ。
そう宥められて、まあ、いいか、と、客間に引き取った。他には、護衛陣が、もう一方の脇部屋に居座っている。ヒルダは本堂に布団を敷いていた。さすがに、むさくるしい野郎二人と同じ部屋は勘弁願いたいらしい。
翌日は、日曜日で、みんな、少し寝坊する。坊主だけは朝のお勤めなんぞはしているが、それ以外は、のんびりモードだ。昨日の夕食が大量に残っているので、食事には事欠かない。坊主は一人で適当に、そこいらのものを摘みつつ、新聞を読んでいる。次に起き出すのが悟空で、ばくばくと残り物を消費する。そして、ようやくレイが現れたが、寺の住人二人を見て苦笑した。
「やっぱ、出たか? 」
「高くはないんだが、出てる。」
「じゃあ、食べやすいのをピックアップする。」
二人して、口当たりのよさそうなものを、ちまちまと器に移すと、白湯とインスタントスープも準備して脇部屋へと戻って行った。坊主は、そのまんまスルーで新聞に目を通している。
疲れて発熱するのは、珍しいことではない。いつもなら体調を整えて寺へ戻るのに、今回は本宅から直接、寺に戻った。アレルヤとティエリアが休暇を過ごすのに、ニールの食事が食べたいとねだったからだ。帰してしまったら、トダカが里へ引き取るつもりをしていたのに、リジェネが降りて来たので、そのまま寺で生活することになった。で、昨日のバトミントン大会だ。
回復してないところに動き回っていたから、疲れたのだろうと、みんな、解っている。一日、寝ていれば治まる程度のものだから、誰も慌てていない。悟空もレイもラクスも、予想はしていたから、さっさと動いている。なるべく動き回らないように、みな、気をつけてはいたのだが、一緒にバトミントンをしたのが、まずかったらしい。
リジェネが起きた頃に、歌姫様は消えていた。お腹が空いたから、食事しようと思ったら、ママがいない。居間では、坊主が書類仕事をしているだけだ。
「三蔵、さん。ママは? 」
「女房ならダウンだ。」
「はい? ダウンって? 」
「熱出して寝てる。今日は、うちのは使い物にならないからな。自分で、どうにかしろ。」
そう言われても、何をしていいんだかわからない。とりあえず、ママの様子を見に、脇部屋へと上がった。障子を開いたら、レイが傍についている。部屋に入って、布団に近付いたら、冷えピタを額に貼られたママが寝ていた。
「疲れて発熱しているんだ。起こさないでくれ。」
レイが小さな声で、そう言う。ダウンというのは寝込むということらしい。高熱ではないので、静かに寝ていればいいレベルだから、レイが傍に張り付いているだけだ。悟空のほうは、洗濯やらの家事を片付けに外へ出ている。誰もいないと寂しがるから、レイは居る。目を覚ましたら、水分補給だけはさせるつもりだ。
「医者に診せないの? 」
「それほどのことじゃない。もし、発熱が高くなったら、ドクターに連絡する。」
「でも、発熱ってことは病気でしょう? 」
「病気というよりも過労だ。昨日、俺たちと騒ぎすぎたんだ。」
それだけではないが、直近の原因は、それだ。あれだけで? と、リジェネには納得がいかない。
「僕、お腹空いたんだ。」
「台所に、昨日の残り物があるから適当に食べてくればいい。」
もう、みんな、慣れっこで、こういう場合は適当にすることに決まっている。レイも、ニールの食事を用意する時に、適当に摘んできた。悟空が戻ってきたら、ここを交代して製作しておいたおじやを運んでおこうかな、と、考えている。明日からは、またアカデミーへ通学しなければならないので、今夜は家に帰らなければならない。それまでの時間は、ここに居座って看病するつもりだ。シンにもメールで連絡しておいたから、もしかしたらトダカが引き取りに来るかもしれない。静養するなら、トダカ家のほうがしやすいからだ。
リジェネも布団の傍で、ニールの様子を観察していたが、ぐぅーとお腹が鳴った。午後に近い時間だ。誰もしてくれないなら、自分でするしかない。お腹を擦りながら立ち上がろうとしたら、「起きたのか? 」 と、下から声がした。
「ママ? 」
「おはようーさん、リジェネ。今、腹の虫鳴らしたのは、おまえだろ? 」
「・・うん・・・」
ちょっと気怠るげに息を吐いて起き上がろうとするので、慌ててレイが止めた。
「ママ、起きちゃダメです。」
「いや、ちょっと、こいつのメシの支度だけしてくるよ。大したことはないから、心配すんな、レイ。」
「それなら、ママが召し上がってください。クスリしか飲まなかったでしょう? 胃に負担がかかります。おじやを作ってあります。」
「それなら、リジェネにメシを食わせてくれないか? こいつ、自分で用意とかできないんだ。」
「それを俺がしたら、おじやを召し上がってくれますか? 」
「・・・まあ、一口くらいなら・・・」
「わかりました。とりあえず、水分だけでも。」
用意していたポカリのペットボトルにストローを差し込んで、口元に寄せる。そこまでしなくても・・・と、ニールは笑っているが、ここで怯んではいけない。さあ、と、無理に飲ませる。少し吸い上げてくれたら、枕元に置いて、レイは立ち上がる。すぐに戻りますから、と、言い置いて、脇部屋から出て行った。
「おまえさんもついていって、メシを食って来い。」
「・・・うん・・・」
「どうした? 腹減ってんだろ? リジェネ。」
「・・うん・・・ティエリアが。」
「ん? 」
「ティエリアが、ママは、すぐに体調を崩すから気をつけてくれって言ってたんだけど・・・・何が悪かったのか、僕にはわからない。」
そりゃそうだろう、と、ニールは苦笑する。普通、前日に少し騒いだぐらいで発熱するなんてのは有り得ないからだ。漢方薬治療の後だから、ニールも気をつけていたのだが、これぐらいで発熱するとは思わなかった。やはり、以前よりは弱っている気がする。
ヴェーダは地球のデータを集積して処理しているシステムだ。だから、あらゆる情報が蓄積されている。それを掌握しているということは、地球にある細胞異常の症例なんかもあるはずだ。
「なあ、リジェネ。負のGN粒子から引き起こされる細胞異常についてのデータというのはあるか? 」
作品名:こらぼでほすと ニート12 作家名:篠義