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こらぼでほすと ニート12

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 そして、それを把握していて取り出せるのが、ここにいる。何気ない風を装って、ニールは尋ねる。ティエリアは事実を知らせたくないのか、それを教えてくれない。ニール自身も調べてはみたが、一般に公開されているデータというのは僅かで、本宅のドクターから教えられる範囲のことしか調べられない。どうも、リジェネはニールに、どこまでの情報公開をして良いのかの判断が曖昧で口を開くかもしれないと思った。だふん、その曖昧な境界線が怖いから、誰かがリジェネの監視をしているらしい。誰もいないなら、チャンスだとニールも口にした。
「データはあるよ。でも、ママ個人のデータはティエリアが隠してるから、どれと適合するかはわかんない。」
「細胞異常って致死に至るまで広がるのに、どのくらいの時間なんだ? 」
「え? うーん、と、ちょっと待って。」
 キィーンと金目になってヴェーダとリンクすると、すぐに元に戻る。それぐらいのデータなら、僅かの時間で取り出せるらしい。
「フォーリンエンジェル作戦時に細胞異常を引き起こしている人間で、刹那のダブルオートランザムバーストで治療されなかった人間で生存しているのは、データ上にはいない。ほとんどが、刹那のGN粒子で治療されてしまったみたいだけど、それ以外は死亡してる。」
 ほとんどが軍関係者だったから、ヴェーダ奪還作戦の時も参加していたので、そういうことになっているらしい。民間人だった場合は、細胞異常を引き起こしていること自体を、当人が知らなくて突然に亡くなっている場合もあるだろう。その場合は、このデータには反映していない。
「俺は? 」
「だから、ママは、僕らのデータ上では把握されてないんだ。キラが持ってるマザーにしかデータは存在しないからね。・・・・でも、よく生きてるなって、僕も不思議に思ってた。同じように細胞異常を引き起こしていたラッセ・アイオンは、ほとんど全身に広がっていて瀕死の状態だったんだよ? 刹那が、トランザムバーストしなかったら、あのまま死んでたはずだ。」
「ラッセが? 」
「うん、ママの後で、かなり被弾して浴びてる。今は、正常な状態。・・・たぶん、漢方薬ってものが作用しているからなんだと思う。すごい抑止力があるってことだね。」
「そういや、あれを始めてもらってから身体は楽になった。」
「もうちょっとだ。刹那は、今、ダブルオーの再生をやってる。ダブルオー本体と、オーライザーの製作は順調に進んでいて、冬には調整まで終わるはずだ。それまでは、僕が管理する。もう少し、ティエリアにデータを貰わないと詳しいことがわからないな。でも、これからは気をつける。」
 そこへ回廊の階段を昇る足音が聞こえた。この話が漏れたら、またぞろ五月蝿いのだろうから、リジェネに口止めする。ありがとさん、と、ニールはリジェネに頭を撫でる。頭なんて撫でられたこともないリジェネは、びっくりして固まっているが、手の温かさは感じて頬は緩める。
「ありがとさん、リジェネ。今の話は、みんなに内緒な? 」
「うん。」
「今日は、世話してやれないけど勘弁な。明日からは、なんとんなると思うから。」
「うん。」
 よしよし、と、頭を撫でていたら、障子が開いた。レイがおじやを持って来た。背後にはトダカとシンだ。そちらも食べられそうなものを持っていた。
「娘さん、里帰りだよ? 」
「んな、大袈裟な、トダカさん。」
「婿は連れて行けって許可をくれたけどね。」
「いいじゃん、本当なら、うちにいる時期なんだから、里帰りしろよ、ねーさん。今日なら俺がおぶっていけるから、楽々移動だぜ? 」
 トダカとシンが、そう言って入ってきた。リジェネの食事らしいものも用意してある。
「でも、一日寝てれば回復するだろうし。」
「そこじゃねぇーの。たまには、とうさんの相手もしてやってくれよ。・・・リジェネ、おまえのは、そこにあるから適当に食え。」
 シンが、ニールを起こして背後から自分の身体で支えてくれる。人間座椅子と化して、リジェネにも指示を出す。レイが冷ましたおじやを用意して、それをスプーンで口元に運んでくれる。そこまでされるほどに弱っていないのだが、ニールには拒否権はない。食欲が湧かないからと、自力だと食べないからだ。
「こら、レイ。」
「今朝も召し上がってないんだから、この三分の一は消費してもらいますよ、ママ。俺の作ったのがお口に合わないなら、違うものを用意します。」
 レイも看病は慣れたものだ。こういう時は容赦なく食べさせてくる。そして、痛いところもついてくる。レイが作ったものがマズイなんて絶対にないからだ。
「おまえの作ってくれる料理は、どれも美味いって。」
「じゃあ、お願いします。」
 スプーンで差し出されるおじやを口にする。柔らかく米が潰れるほどに煮てあるから胃にも優しいし、味付けも薄味で食べやすい。
「レイの味付けって、ねーさんとそっくりだよな? さっき、おじやもツマミ食いしたけど美味かった。」
「そりゃ、俺はママから教わったんだから、そうなるさ、シン。」
 それまでのレイには料理なんて技術は皆無だった。『吉祥富貴』に参加して、こちらの大学に入ってからも、ほとんどが外食で済ましていたからだ。ニールがやってきて、家庭料理を食べさせてもらって、自分でも作りたいと思った。それから手伝って覚えたから、そっくりニールのコピーの状態だ。ある意味、レイにとってのおふくろの味ということになる。
「今なら、おまえのほうが上手かもしんないよ、レイ。」
「いえ、まだ、そこまでは上達していません。それに、俺が作るのはママの介護食が多いので。」
「そう言われるとそうだな。」
 レイが一人で作るのは、そういう時が多い。食事を受け付けてくれなくて、病人の食べられるものを八戒から教えてもらったのが始まりだ。三分の一ほど器が空いたので、レイも、そこで手を止める。無理させてもしょうがない。クスリを飲ませていると、今度は沙・猪家夫夫が顔を出した。悟浄が大きな紙袋を持参している。
「ママニャン、里帰りすんだって? ちょうどよかった。見舞いに持って行け。」
 ほら、と、袋を広げて見せてくれたのは、おどろおどろしい液体の詰まった大きなペットボトルが三本だ。
「冷蔵庫のものをチェックしてきたんですが・・・・ニール、一週間で三本減るはずが、どういうわけか、一本半しか減ってませんね? 」
 爽やかな笑顔で背後に冷気を纏っている八戒が、ニールの前に陣取る。定期的に、こうやって漢方薬は用意されているのだが、消費量でサボりもバレる。その度に、八戒に、こうやって叱られる。
「あ、いや、ほら・・・あはははははは。・・・すいません。」
「自己管理は、きちんとしてください。そうでないなら、もっと煮詰めて濃度を引き上げたのにしますよ? 」
「げっっ。」
 朝晩はいいのだ。悟空が、きちんと飲ませている。問題なのは日中の食間の分で、坊主は、それほどきっちり飲ませるような人間ではないから、自己管理になる。ついつい忘れて過ごしてしまうのだ。
「トダカさん、管理のほうは、しっかりお願いします。・・・ニール、これを飲んでください。解熱効果のあるクスリです。」