思うにこれは恋
同じ王という立場にありながら、一体奴とオレでは何が違うというのか！？
瞬時に羨望と憎しみが心の中に増幅し、
立場というものが、自分自身の絶望を支配した。
「俺は、奴に興味を持った。」
そして、持ったと同時にギャンレルはクロムの傍らに、常に控えている銀髪の娘に目が行った。
２年前にイーリス軍と戦ったときにもクロムの傍らにいた娘。
柔らかい雰囲気に優しい瞳が印象的だった。
その娘が、クロム王子が進む道を支えるように進撃していく様。
誰も何も言わずとも、二人は信じあっている様子がそこにはあった。
イーリス軍に入ってから、分かった。
名前をルフレといった。
イーリス軍の正式な軍師。
そして、クロムの妻。
このイーリスの城にルキアという娘がいる。
クロム似の娘だ。
３人でいると仲睦まじく、ギャンレルはその後姿を見て舌を鳴らしてその場を立ち去った。
ギャンレルは自分とクロムが全く違う王であることをまざまざと気づかされた瞬間だった。