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届かない君へ

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グランコクマ。
マルクト帝国の首都である。
そこにはマルクト帝国軍の基地がある。

そこの第三師団所属、ユーマ・レイルは城でピオニーの前で眉をよせてイライラしていた。

彼女が怒るのは無理もない。

今、自分の師団の師団長であるジェイド・カーティス大佐は任務に出ている。
ジェイドがいてもいなくてもユーマはいつも仕事に追われていた。

ジェイドのいない間の仕事は彼女が受け持つ。
副師団長すら、ジェイドと一緒に任務に出ていた。


今も早く片付けないといけないものが自分の机にどっさり。
なのに、この自由奔放なピオニーは呼び出すなり、任務だという。

任務は仕方ない。
だが、任務の内容が内容なのだ。


「失礼ですが陛下。私が大佐の部下だからと言って良い様に使ってませんか?」
「失敬な。融通が効くから使ってるんだ」

それは意味は一緒なのではないのだろうか。

「しかし、私も仕事が・・・」

「ほう。俺の命令にそむくんだな?」
「・・・御意・・・」

「じゃ、これがリストな」


紙を渡されるとそこには無数の武器の名前。
ユーマはいわば、おつかいを頼まれた。

遠い道のりになるお使い。

武器の収集がピオニーの趣味。
ほしい武器がキムラスカにあるのだとか。

今、ジェイドがキムラスカへと向かっている。
ついでに頼めばいい話なのだろうか、ジェイドのことだから断るに決まっている。

しかも各地を回らなければならない。
私用の任務だ。

マルクトの軍服では警戒される。
そのため私服へと着替えて、ユーマはグランコクマを旅立った。


作品名:届かない君へ 作家名:鳴滝