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こらぼでほすと ニート13

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 いや、ニールの場合は強制的に頭を下げさせて、延々と説教される。シンはやられたことはないが、刹那のしつけ風景とか、歌姫様の例の事件とか、いろいろと逸話は残っている。
「なぜ、シン・アスカが僕に暴力を奮うわけ? 」
「おまえがお礼を言わないからだろ? 自分のために他人がしてくれたことに、お礼を言うのは当たり前のことだ。この場合、着替えがなくて困るのは、おまえで、それを見越して届けてくれたのは、アスランだ。理由ははっきりしてる。」
「こら、シン。殴るのは、よくない。」
 カァーと頭に血が上ったシンに、トダカが声をかける。やっていることは正しいのだか、やり方が乱暴すぎる。
「でも、とーさん。」
「おまえの言うのは正しい。でも、それを教えるのに暴力を使うのは、よくない。」
「ねーさんだって、刹那は拳骨してんじゃんっ。」
「あれは、信頼関係があるからのことだ。まだ、リジェネくんと、それほど親しいわけじゃないんだから、口で注意するほうがいい。・・・リジェネくん、こういう場合は、お礼を言うのが人間としての礼儀なんだ。」
 スーパーニートには、礼儀とか社交ルールなんてものはないのだろう。だから、トダカのほうは丁寧に、そう説明した。それで、リジェネも、しばらく沈黙した。
「頼んだのは、ニールですけどね。・・・リジェネ、とりあえず、『ありがとう。』と、俺に言ってくれ。それで、シンは殴らない。」
 アスランも苦笑しつつ、そう促す。そうすると、リジェネも、ぽつりと、「ありがとう。」 と、返した。



 ちょっと騒々しい声が、居間の方から聞こえて、レイは眉間に皺を寄せる。キラがくると、どうしても騒がしくなる。だが、少しは静かに出来ないものだろうか、とは思う。熟睡していて聞こえていないから、ニールは目を覚まさないが、あれ以上になると、さすがに起きるだろう。
 気分的には、ずっと付き添っていたいのだが、学業優先の今は、それも難しい。久しぶりに楽しくて、ついつい、レイもママの動きをセーブしなかった。『吉祥富貴』の面々で、バカ騒ぎするのは、アカデミーの友人たちと騒ぐのとは、一味違う。同じ仲間として活動しているから、本気で戦えるからだ。自分たちが持ち得なかった日常というのが、そこにあって、その中でなら子供じみたバカ騒ぎをしても恥ずかしくない。
 後少しすれば、ママの身体も治療が出来る。それが終わったら、どこへでも行けるようになるし、移動にも支障がないから遠くまで行ける。いつか、プラントも案内してみたいと思っている。レイが育った世界というのが、どういうものだったか見せたい。
 そんなことを、つらつらと考えていたら、ちっとも資料の読み込みはできなかった。時間になるとハイネがやってきて、点滴針を外す。いつもなら、それで目を覚ますはずのママは、本気で熟睡しているらしく眠ったままだった。
「八戒の漢方薬が効いてるんだろうな。・・・・レイ、おまえ、この間にママニャンのお粥かおじやを作ってくれないか? 」
「わかった。」
「俺らのは、デリバリーを頼んだ。なんでもいいだろ? 」
「ああ、俺は腹さえ満たせばいい。」
 少し照明を落として、部屋から出る。この調子だと、しばらく寝たままだろうから付き添いもいらない。

 キラは、ママは起きないというハイネの報告に、ぶぅーたれはしたものの、アスランと帰って行った。一応、レイが説明しておくと言ったが、あの調子だと、明日もやってくるかもしれない。
 そして、レイが出てきたのを見て、今度はリジェネがニールの部屋に行ってしまったが、誰もスルーだ。寝ているニールに、何か告げることはできない。
 冷蔵庫の中を確認して、お粥を作ることにした。おじやよりは日持ちもするし、後でアレンジもできるからだ。
「トダカさん、俺、明日からも時間のある時に、顔を出しましょうか? 」
 やっぱり、気になる。アカデミーからの帰りや、空き時間に顔を出すくらいなら支障はない。さすがに、バイトするほどの時間は空きがないから、休んでいる。
「無理しないで、できる空き時間ならいいよ、レイ。ここは、きみの里なんだから、一々許可はいらない。」
「ありがとうございます。なんだか、気になるので。」
「とーさん、俺も。ちょこっと顔出ししたりはするよ。」
 やっぱり二人とも、このまま逢わないのは気になる。帰りに立ち寄るぐらいなら、どうにかなるので、そういうことにした。
「くくくく・・・そんなに心配性にならなくても大丈夫だ。ハイネが居座るらしいし、リジェネくんがいるから、娘さんもさっさと回復するだろう。」
「わかっちゃいるけどさ。やっぱ、ねーさんには元気に大声張り上げてて欲しいじゃん。」
 シンが代表するように言うと、レイも同意して、こくんと頷く。ここんところ、顔を見ていなかったから、余計に気になるのだから、しょうがない。
「うちの娘さん、そんなに大声で叫んでるかな? 」
「うちじゃ叫ぶ必要はないけど、寺だと叫んでるぜ。」
 寺だと家と本堂と境内と墓と範囲が広いので、呼び出す場合は叫ぶしかない。それに、年少組が押しかけていると、普通に喋っていたら聞こえないから、大声で指示を出すなんてことになっている。それが基本だから、寝込まれていると気になる。
「ありゃ、おまえらの所為だろ? 五月蝿いから叫ばないと聞こえないんだ。」
「だから、そういうのを見ないと気になるんだよ。・・・あ、レイ、俺、買出ししてくるけど、なんかいる? 」
「そうだなあ。これといってはないんだが、ママに果物を調達してきてくれ。バナナとかリンゴとか、そういうもの。あと、レモン。」
「うん、それは予定に入ってる。おまえは? 飲むんならビールとか? 」
「俺は、トダカさんのお相伴をするから、ビールはいい。」
 じゃあ、そんなとこだな、と、シンはひとっ走りと出かけた。トダカ家の側には大きなショッピングモールがあるから、買出しは楽だ。レイも、それを見送ってお粥の製作に入る。これも、ママから教わったものだ。水から炊いて、米粒が潰れるぐらいに煮るので、少し時間がかかる。焦がさないように、時たま混ぜて、他にも何かあれば、と、冷蔵庫を漁ってみる。
「レイ、そこまでしなくてもいい。明日には、娘さんが起き出して、いろいろと作るだろうから。」
「ああ、そうだ。トダカさん、ママが俺たちの差し入れを作るのは止めてください。しばらくは、カレーとシチューを貰ったので食事には事欠きません。」
「わかった。止めておく。でも、私の分のついでに作るのは止められないと思うよ。」
 トダカ家で療養している時も、ニールは何かしらストックを作っている。トダカも一人だから、疲れた時は、それをチンすればいいだろうというところらしい。具合が良くなってくると、これに店の軽食まで作り出すので、トダカも止められない。みんな、それを楽しみにしているからだ。