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WJネタバレ黒バス感想集

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「実は……」をふまえた上で、試合後の妄想話



試合の残り時間を示す電光掲示板にゼロが並んだ。
「試合終了ーーー!」

結果は、海常の勝利。
そして、福田総合学園の敗北。

海常の選手たちと向かいあう形で福田総合学園の選手達は並び、礼をする。
終わるとすぐに、灰崎は歩きだした。
不機嫌そのものの表情で。
海常の選手たちが喜び合っているのを背中に感じる。
その中心には、きっと、黄瀬がいるのだろう。
灰崎はにらみつけるような鋭さで観客席をザッと見渡した。
かつて帝光中学校バスケ部でともに戦った者の姿をいくつか見つける。
キセキの世代と呼ばれる彼ら。
彼らの視線は灰崎に向けられていない。
海常の選手たちがいるほうに向けられている。
そして、彼らはホッとしたような、満足しているような表情をしている。

黄瀬の勝利を喜んでいるのだろう。

クソッ。

胸のうちで、灰崎は吐き捨てる。

彼らの視線の先に自分はいない。

彼らは自分を認めていない。

かつて彼らの中で五人目だったとき、自分は彼らに対して嫌がられるようなことをわざとした。

子供が好きな子に対して嫌がられるようなことをするのと同じだ。

気を引きたかった。
でも、素直にそれをあらわすことができなかった。

そして、黄瀬がバスケ部に入部してきて一軍にスピード昇格した。
黄瀬の能力は灰崎と似ていた。
けれども、その性格は灰崎とは真逆だった。
黄瀬は入部のきっかけとなった青峰に1対1をしてほしいと無邪気に頼んだ。
明るくて、人なつっこくて、モデルもしているぐらいの二枚目なのに彼らの中では三枚目の役割になるのも厭わなかった。
いつのまにか、黄瀬は彼らの中でなじんでいた。

自分はああいうふうにはできない。
嫌がられるようなことをして、少しのあいだ注意をひくことしかできなかった。

黄瀬が彼らの中にとけ込んでいく一方で、彼らが自分から遠ざかっていくように感じた。

あせった。

ひそかに練習していた量を増やした。
自分がもっと強くなれば彼らの眼は自分のほうに向けられると思った。
だが、「伸び」という意味では黄瀬のほうがすごかった。
どんどん伸びていく黄瀬のほうに、彼らの眼は向けられていた。

いっそう、あせった。
イラだった。

暴力沙汰を起こした。
何度も、起こした。

そして、赤司に強制退部させられた。

オレは。

灰崎は思う。

オレはアイツらに認められたかった。

一緒にバスケをしていたかった。

それだけなのに、な。

うまくそれを伝えることができなかった。
今もできない。
今はもっとできない。
こんなに遠くに離れてしまったのだから。



「灰崎」
呼びかけられた。
そちらのほうをチラッと見る。
話しかけてきたのは福田総合学園バスケ部主将の石田だ。
灰崎をバスケ部に勧誘したのも、石田だ。
不機嫌な表情のまま灰崎は答える。
「なんだよ」
「すまない」
「あぁ?」
「勝てなくて、すまない」
チッと灰崎は舌打ちをする。謝ってもらってどうなるというのか。負けは負けだ。バカバカしい。
しかし、石田は真面目な表情のまま続ける。
「俺は勝ちたかった。バスケが好きで人一倍練習しているおまえと一緒に戦って、勝ちたかった」
「……な、なに言って」
灰崎は驚いた。あわててもいた。
なぜ、それを知っているのか。
バスケが好きなこと。
人一倍練習していること。
一方、石田は落ち着いた様子で、さらに言う。
「俺は認められたかったんだ。おまえに、一緒に戦う仲間だってな」




帝光中学校バスケ部の五人目だったころ。
あのころは、もう、はるかに遠く。
ともに戦った彼らも、はるかに遠く。

でも。

今の自分には、いる。
こんなに近くにいる。
ともに戦う仲間たちが、いる。












作品名:WJネタバレ黒バス感想集 作家名:hujio