こらぼでほすと ニート15
翌日、ハイネは朝からラボへ出向いた。キラたちも、こちらに泊まりこんでいるので、朝から騒々しい。ハイネが管制室でデータのチェックをやっていたら、キラが飛び込んできた。
「ハイネ、ママは? 」
「熱は下がった。それより、キラ、この情報は、どっから拾ったやつだ? 」
蓄積されているデータに、ちょっと興味を引くものがあった。蓄積させるシステムを作ったのは、キラだ。どこからのものか調べるのも、キラのほうが早い。
「これは、プラント本国からだ。新しい機体の制御システムの開発が完了したみたいだね。でも、実用化段階には程遠い。」
「でも、これが実用化されると、かなり機体性能は上がるぜ? 」
「コストがかかりすぎ。一機ずつに、こんなにコストをかけたら、ザフトが破産する。」
「でも、プロトタイプならアリだろ? 」
「まあねぇ。ギルさんなら、やるかもしれないね。オッケー、追跡させておく。」
こちらの機体も、かなり古くなってきた。新しい技術が導入されるなら、こちらにも取り込みたい。刹那たちのMS理論に触れて、こういう方式なら、うちのも適合させられるんじゃないだろうか、とか、ハイネは、そういうことも考えるようになった。MSは年々進歩していく。ある程度は個人個人の能力で対抗できるが、機体性能から違うものになれば、それも難しい。キラが最強のMSパイロットでなければ、『吉祥富貴』は成り立たない。そのための新技術の導入というのは、スタッフも考えていることだ。少しずつ、それらをキラたちの機体に反映させていく方針を打ち立てている。
「キラ、ママニャンが礼を言ってたぜ? 刹那によく似てるってさ。」
「そう? よかった。」
キラからの贈り物について、レイが食事させた時に説明はしていた。確かに無愛想な黒猫のヌイグルミは、刹那のイメージ通りで、ニールも喜んでいたから、それを贈った本人にも告げておく。
「十月の真ん中くらいには、プラントに上がるつもりだけど、ハイネは大丈夫? 」
「なんとかなるだろう。久しぶりに制服だ。キラも赤服着るつもりか? 」
「ギルさんが、白服でもいいって言ってた。僕は、どっちでもいいけど、アスランとお揃いのほうがいいかな。」
「白? おいおい、オーヴで准将を勝手に貰ってなかったか? おまえ。」
「だって、カガリがくれたんだもん。僕が欲しいって言ったわけじゃない。」
先の大戦の時に、キラはオーヴの准将の地位を拝命している。唯我独尊に、カガリが授けたからだが、それに見合うザフトの地位となると、確かに艦長クラスが着る白服ということにはなる。なるが、そんなにほいほいと貰っていい地位ではない。どちらも、それなりの経験年数とか経歴があって拝命できる代物だ。
「いいけどな。俺の部下が、白服はおかしいだろ? 赤にしろ。」
「だから、赤でいいってば。だいたい、ザフトの服なんて変装用に使うだけなんだから、なんでもいい。」
今回はプラントのザフトレッドが、ヴェーダ周辺の警備するという名目で、ヴェーダに侵入する。それも、一種の偽装だから、なんでもいいっちゃいいのだが、某プラントの議長も、某国家元首の姉も、簡単に地位を授けるな、と、ハイネは内心でツッコミだ。軍の地位なんて、キラは興味もないから、何を授けてやっても感謝してくれないからだ。
同じく、ラボでは虎と鷹とアスランが、キラのいない時のシフトについて話し合っていた。以前、キラがプラントに遠征していた時に、ラボが手薄になって大事件が起こった。あれを踏まえて、こちらのほうも強化するつもりだ。
「とはいっても、前回みたいに大人数で乗り込むわけじゃないから、人員は確保できるでしょう。」
「俺とダコスタは、ラボで待機するが、鷹さんにはプラントまでは行ってもらおうかと思うんだ。」
キラの警護が、アスランとハイネということになっているが、実のところ、プラントではアスランも警護対象だ。面が割れているから、逆にアスランのほうが目立つということになる。アスランは、前プラント施政者の息子だ。メディアにも、度々、登場していたから、顔を覚えている人間は多い。
「そのほうが無難だろうな。キラはいいとして、おまえさんも危ないだろ? アスラン。」
「そういうことなら、あちらにはイザークたちが居ますから、頼んだほうがラボは安全じゃないですか? 」
「イザークとディアッカか、まあ、そのほうが動き易いか。」
あまりラボの人員は減らしたくない。シンとレイが動けないから、元から動ける人間が限られているからだ。緊急事態なら、沙・猪家夫夫を招聘してもいいが、そこまでの緊急性はない。あくまで、何かの突発事件に対応するためだから、待機で終わるほうが確率は高い。最悪は、シンとレイを呼び戻すほうが対応しやすい。
「地理的なことや、ザフト内のことを、フラガさんは知らないんだから、警護してもらうのは難しい、と、思いますが? 」
「確かに、そうだな。じゃあ、イザークとディアッカに打診しておく。虎さん、頼んでいいか? 」
「ああ、引き受けよう。じゃあ、鷹さんもラボで待機組だな。」
「もどきの監視係でもいいぜ? 」
「それは、アイシャがする。なるべく、リジェネ・レジェッタに人的情報は与えんほうがいい。」
「まあ、そうだな。こんな綺麗なお兄さんに、メロメロになられても困る。」
「それを、鷹さんが本気で言ってたら、俺は笑い死ぬぞ。」
それほど深刻な打ち合わせでないから、鷹はいつものように茶々を入れるし、虎もツッコミだ。キラとアスランには、山ほど敵が居る。最近は為りを潜めているが、回帰派のブルーコスモスや、亡くなったアスランの父の熱狂的な支持者たち、それから手駒として使いたい地球やプラントの政財界の人間たちなどだ。殺したい、取り込みたいという様々な思惑があるから、なるべく特区かに出ないで暮らしている。今回は、さすがにシステムのことなので、キラが出向くしかないので、警護もしっかりつける。
「出かける前に、判明しているところはサイバー攻撃を仕掛けておきます。それで、こちらから目を背けさせるつもりはしています。」
キラの情報網にひっかかっているところは、それで潰しておく。そういうところは大きな組織だから、そこいらを潰しておけば、後は大掛かりな仕掛けをされることはない。特攻精神でつっこんでくるような単発モノなら、アスランだけでも対処できる。最悪、周囲に被害を出してでもなら逃げ切るのは可能だ。死ぬことは許されない。どちらが欠けても、『吉祥富貴』の維持できないからだ。
「消せるだけ消しとけ、アスラン。ああいうウザイのは消すに限る。」
「了解です。システムクラッシャータイプのウイルスを大量に流しておきますよ、虎さん。」
こういうことには容赦しなくていい。隠れてこそこそと付け狙われるのは迷惑だ。キラもアスランも、そういうところは妥協しない。少しでも目溢しして、万が一にでも『吉祥富貴』の他のスタッフが標的にされることは避けたい。もちろん、虎と鷹も、そこいらは認めている。情報戦は先んじるのが一番だ。攻撃を仕掛けられる前に潰すのが最善だといえる。
「ハイネ、ママは? 」
「熱は下がった。それより、キラ、この情報は、どっから拾ったやつだ? 」
蓄積されているデータに、ちょっと興味を引くものがあった。蓄積させるシステムを作ったのは、キラだ。どこからのものか調べるのも、キラのほうが早い。
「これは、プラント本国からだ。新しい機体の制御システムの開発が完了したみたいだね。でも、実用化段階には程遠い。」
「でも、これが実用化されると、かなり機体性能は上がるぜ? 」
「コストがかかりすぎ。一機ずつに、こんなにコストをかけたら、ザフトが破産する。」
「でも、プロトタイプならアリだろ? 」
「まあねぇ。ギルさんなら、やるかもしれないね。オッケー、追跡させておく。」
こちらの機体も、かなり古くなってきた。新しい技術が導入されるなら、こちらにも取り込みたい。刹那たちのMS理論に触れて、こういう方式なら、うちのも適合させられるんじゃないだろうか、とか、ハイネは、そういうことも考えるようになった。MSは年々進歩していく。ある程度は個人個人の能力で対抗できるが、機体性能から違うものになれば、それも難しい。キラが最強のMSパイロットでなければ、『吉祥富貴』は成り立たない。そのための新技術の導入というのは、スタッフも考えていることだ。少しずつ、それらをキラたちの機体に反映させていく方針を打ち立てている。
「キラ、ママニャンが礼を言ってたぜ? 刹那によく似てるってさ。」
「そう? よかった。」
キラからの贈り物について、レイが食事させた時に説明はしていた。確かに無愛想な黒猫のヌイグルミは、刹那のイメージ通りで、ニールも喜んでいたから、それを贈った本人にも告げておく。
「十月の真ん中くらいには、プラントに上がるつもりだけど、ハイネは大丈夫? 」
「なんとかなるだろう。久しぶりに制服だ。キラも赤服着るつもりか? 」
「ギルさんが、白服でもいいって言ってた。僕は、どっちでもいいけど、アスランとお揃いのほうがいいかな。」
「白? おいおい、オーヴで准将を勝手に貰ってなかったか? おまえ。」
「だって、カガリがくれたんだもん。僕が欲しいって言ったわけじゃない。」
先の大戦の時に、キラはオーヴの准将の地位を拝命している。唯我独尊に、カガリが授けたからだが、それに見合うザフトの地位となると、確かに艦長クラスが着る白服ということにはなる。なるが、そんなにほいほいと貰っていい地位ではない。どちらも、それなりの経験年数とか経歴があって拝命できる代物だ。
「いいけどな。俺の部下が、白服はおかしいだろ? 赤にしろ。」
「だから、赤でいいってば。だいたい、ザフトの服なんて変装用に使うだけなんだから、なんでもいい。」
今回はプラントのザフトレッドが、ヴェーダ周辺の警備するという名目で、ヴェーダに侵入する。それも、一種の偽装だから、なんでもいいっちゃいいのだが、某プラントの議長も、某国家元首の姉も、簡単に地位を授けるな、と、ハイネは内心でツッコミだ。軍の地位なんて、キラは興味もないから、何を授けてやっても感謝してくれないからだ。
同じく、ラボでは虎と鷹とアスランが、キラのいない時のシフトについて話し合っていた。以前、キラがプラントに遠征していた時に、ラボが手薄になって大事件が起こった。あれを踏まえて、こちらのほうも強化するつもりだ。
「とはいっても、前回みたいに大人数で乗り込むわけじゃないから、人員は確保できるでしょう。」
「俺とダコスタは、ラボで待機するが、鷹さんにはプラントまでは行ってもらおうかと思うんだ。」
キラの警護が、アスランとハイネということになっているが、実のところ、プラントではアスランも警護対象だ。面が割れているから、逆にアスランのほうが目立つということになる。アスランは、前プラント施政者の息子だ。メディアにも、度々、登場していたから、顔を覚えている人間は多い。
「そのほうが無難だろうな。キラはいいとして、おまえさんも危ないだろ? アスラン。」
「そういうことなら、あちらにはイザークたちが居ますから、頼んだほうがラボは安全じゃないですか? 」
「イザークとディアッカか、まあ、そのほうが動き易いか。」
あまりラボの人員は減らしたくない。シンとレイが動けないから、元から動ける人間が限られているからだ。緊急事態なら、沙・猪家夫夫を招聘してもいいが、そこまでの緊急性はない。あくまで、何かの突発事件に対応するためだから、待機で終わるほうが確率は高い。最悪は、シンとレイを呼び戻すほうが対応しやすい。
「地理的なことや、ザフト内のことを、フラガさんは知らないんだから、警護してもらうのは難しい、と、思いますが? 」
「確かに、そうだな。じゃあ、イザークとディアッカに打診しておく。虎さん、頼んでいいか? 」
「ああ、引き受けよう。じゃあ、鷹さんもラボで待機組だな。」
「もどきの監視係でもいいぜ? 」
「それは、アイシャがする。なるべく、リジェネ・レジェッタに人的情報は与えんほうがいい。」
「まあ、そうだな。こんな綺麗なお兄さんに、メロメロになられても困る。」
「それを、鷹さんが本気で言ってたら、俺は笑い死ぬぞ。」
それほど深刻な打ち合わせでないから、鷹はいつものように茶々を入れるし、虎もツッコミだ。キラとアスランには、山ほど敵が居る。最近は為りを潜めているが、回帰派のブルーコスモスや、亡くなったアスランの父の熱狂的な支持者たち、それから手駒として使いたい地球やプラントの政財界の人間たちなどだ。殺したい、取り込みたいという様々な思惑があるから、なるべく特区かに出ないで暮らしている。今回は、さすがにシステムのことなので、キラが出向くしかないので、警護もしっかりつける。
「出かける前に、判明しているところはサイバー攻撃を仕掛けておきます。それで、こちらから目を背けさせるつもりはしています。」
キラの情報網にひっかかっているところは、それで潰しておく。そういうところは大きな組織だから、そこいらを潰しておけば、後は大掛かりな仕掛けをされることはない。特攻精神でつっこんでくるような単発モノなら、アスランだけでも対処できる。最悪、周囲に被害を出してでもなら逃げ切るのは可能だ。死ぬことは許されない。どちらが欠けても、『吉祥富貴』の維持できないからだ。
「消せるだけ消しとけ、アスラン。ああいうウザイのは消すに限る。」
「了解です。システムクラッシャータイプのウイルスを大量に流しておきますよ、虎さん。」
こういうことには容赦しなくていい。隠れてこそこそと付け狙われるのは迷惑だ。キラもアスランも、そういうところは妥協しない。少しでも目溢しして、万が一にでも『吉祥富貴』の他のスタッフが標的にされることは避けたい。もちろん、虎と鷹も、そこいらは認めている。情報戦は先んじるのが一番だ。攻撃を仕掛けられる前に潰すのが最善だといえる。
作品名:こらぼでほすと ニート15 作家名:篠義