繋がれた魂
「なら、とりあえずきちんと飯を食え。あとは、そうだな。ちょうどいい、それだけ時間があったら、お前の格好を見てやれる」
「ええー」
「あのな、きちんとした場にきちんとした格好をしていくことは常識だぞ。お前の世界ではどうだか知らないが」
「さっきイギリスはどんちゃん騒ぎしてもいいって言ったのに」
「それとこれとはべつだ」
アメリカの隣から抜けだしたイギリスが先に立ち上がり、キッチンのほうへと歩き出す。
ふとおかしくなってその背中に声をかけた。
「イギリスー?」
スリッパの音が止まる。
「なんだ」
「ちゃんと待っててくれるんだよね?」
「ああ」
「俺が帰ってきたときには先に寝てた、とかはやめてくれよ」
「すこし、はめを外してるかもしれないけどな」
「え、俺は家でも酔っぱらいの世話をしなきゃならないのかい」
「冗談だ。お前が帰るまでは我慢していてやるよ」
「ほんとうに?」
「ほんとうもほんとう、大マジだ」
「いぎりすぅ、君が無理やりそういう言葉を使おうとすると俺は背中がゾッとするんだぞ」
「いいから起きてこい、バカ。ある時間もなくなっちまうだろ」
「……うん」
自分もベッドから飛び降りてカーテンを開け、早速不穏な音が流れ始めたキッチンへと早足で向かいはじめる。そうしながら、やっぱりしあわせだ、と思った。