ARMORED CORE Another Story
017
「ん・・・、うぁ。」
「やあ、気が付いたかい?」
「ここは・・・、どこだよ・・・?」
「・・・ん~、それ以前にキミ自身のことは分かるかい?」
ベット横の端末を操作しながら白衣の男、ドレルが口を開く。
「オレ自身・・・? っ!! そうだ、オレは墜されて・・・!」
「そこまで分かるならOKだ。キミは撃墜された、そして今はキミが襲撃したトレーラーの中さ。もしかしたらあまりの衝撃で記憶喪失にでもなってるんじゃないかと心配だったけど大丈夫みたいだね。」
そう言われ撃墜された彼、ハルベルトはハッキリし始めた頭で考え始める。
「じゃあ、オレは捕虜ってことか・・?」
襲撃先の組織に捕まったのだこの考えは至極普通だろう、しかし帰ってきた答えは違っていた。
「さぁね? それは僕の決めることじゃ無いかな? 決めるのは此処の旅団長だね。・・・ああ、因みに僕自身の答えと言うのならキミは一人の患者だね。」
「一人の患者?」
「そう、でもコレは医者としての僕の意見。旅団長がどう判断するかは僕の与り知らぬところさ。でも結局は旅団長の決定が最優先だけどね?」
「ならその旅団長とやらは呼ばなくてイイのか?」
「もう、呼んであるよそろそろ来るんじゃないかな?」
とダリルが言い終えた所でタイミングを図っていたかのようにダルシェナが入ってきた。
「目ぇ覚めたんだって?」
「ああ、さっきね。話があるんでしょ?彼に、となると僕は邪魔かな?」
「そうだな・・、済まないが少し外してくれないか?」
「OK、分かった。 終わったら呼んでくれる?」
「ああ。」
とダルシェナが答えるとダリルは治療室を後にする。
「まさかアンタみたいなのがリーダーだとはねぇ。」
「それはアタシが女だから?それとも歳の事かい?」
「どっちもだな、まあいい。・・・んで話ってなぁ、なんだい?旅団長さんよ。」
「そうだねぇ。単刀直入にいくとだ・・、雇われる気は無いかい?」
ソレを聞き怪訝な顔をするハルベルト。
「そんなに露骨に嫌がるかい?」
「嫌というわけじゃないが・・・、そんな事言われて平然としてる奴のほうが少ないと思うがな。」
「フッ、それもそうか。まあいい、で?答えは?」
「いきなり聞いてきて、いきなり答えを求めるかい・・・。」
半ば呆れ気味なハルベルトであったが。
「そんなに迷うことかい? そっちにはこれ以上ない好条件だと思うんだけど?」
確かにダルシェナの言うことも最もで、ハルベルトは本来なら捕虜として扱われていてもおかしくはない。
しかしダルシェナはソレをせず、あくまでも契約相手として交渉してきている。逆に言うとコレを蹴るのであればお前の命は無いと思えと暗に示しているのだ。
「わーった、雇ってくれ。むしろこっちにはもうソレしか道は無いからな。」
「賢明だ、それじゃ契約成立だ。怪我がある程度回復したら色々と書類書いてもらうからね。」
そう言うとお大事にと言って病室から出ていってしまった。
作品名:ARMORED CORE Another Story 作家名:TaMaNeGi