魔法少女リリカルウィッチーズvol.1
どうしたのかとそちらを見ようとスバルは首を回す。
と、次の瞬間。
「ッ!?」
スバルはエイラに突然胸を揉まれ驚く。自分が揉まれたことはあまり無いため、顔を赤くする。
「中々のサイズだナ。シャーリーには全然敵いそうにないけど」
スバルの胸を揉んだエイラは感想を口にする。
「エイラ…ダメよ」
サーニャに言われるとエイラはすぐにスバルの胸から手を離す。
「エイラちゃんも、おっぱいマニアなんだね…」
揉まれたスバルはと言えば、同志を見つけたと言わんばかりの目でエイラを見て手を差し出す。エイラもまた、「ルッキーニには敵わないけどナ〜」と言いながらその手を握り返し、堅い握手を交わした。
「あのさ、エイラちゃん達って違う世界から来たんでしょ?そこって、どんな場所なの?」
スバルがエイラ達に向けて質問する。
「私達の世界は、大陸の大半をネウロイに侵略されてるんだ。ネウロイに国を滅ぼされた人は数知れず……そして私達も、祖国を追われたんだ」
質問を受けたエイラが説明を始める。
「どうしてそのネウロイは、そんなことをするの?」
説明を聞きながらスバルは更に質問をする。
「わかりません…。ネウロイの出自や目的、何もかもが解ってなくて……研究はしてるらしいんですけど…」
それに対し、サーニャが答える。
「で、ネウロイには通常兵器があんまり効かないから私達ウィッチが対抗出来る存在として駆り出されて、ストライクウィッチーズみたいな統合戦闘航空団が各所に作られて今もネウロイの侵攻から皆を守ってる……ってとこかな」
語り終えるとエイラはジュースを口に流し込む。
「つまり、ネウロイと戦い続けてるってことだよね…」
聞き終えたスバルは、要点を纏めそう呟く。
「ま、そういうことだナ」
呟くスバルに、エイラはそんな感じだと言うように返した。
一方その頃、楽しんでいる皆からは少し離れた場所で話している美緒とミーナの姿があった。
「なぁ、ミーナ…これから私達は、どうなると思う?」
「そうね…この世界にも軍のようなものがあるみたいだし、この世界の軍に取り込まれると考えるのが妥当でしょうね」
501統合戦闘航空団の隊長と隊長格とも言える二人は今後について語っていた。
「やはりか。私も同じ考えだった」
「と言っても、私達は今まで通り対ネウロイ用の部隊になるとは思うけど…ね」
「希望的観測で物を言うのは止めておこう。この世界には、まだ私達が完全に信用出来る人間はいないんだ」
ミーナの発言に、少々厳しめに美緒が返す。
「そうね。ストライカーの整備士や格納庫、格納機材も必要になってくるわね」
「ストライカーの整備は、しばらくはシャーリーとエイラに任せることになるな。それに先程聞いた話だと、この世界では実弾の兵器を使わないそうだ。それらの武器を使う私達は、その確保にも努めなければならないな。得物無くしてネウロイとは戦えんからな」
真面目に議論していく二人。完全に空気が違っているが、部隊の今後を考えているのだ。
「……あの〜…」
と、そこへ申し訳なさそうに声をかける女性。
「あら?」
「ん?」
二人はその女性の方を見る。
「今、大丈夫ですか?」
見られた眼鏡をかけた茶髪の女性は二人にもう一度訊く。
「えぇ、問題ありませんが」
「ごめんなさい。お二人が、何だかあまりにも真剣にお話をしていたから声をかけづらくて…。私はシャリオ・フィニーノと言います。よろしくお願いします」
ミーナが答えると、シャリオと名乗った女性は自己紹介をすると頭を下げる。
「これは失礼しました。私はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。この第501統合戦闘航空団の隊長をしています。よろしくお願いします」
「私は坂本美緒。扶桑皇国海軍のウィッチで、階級は少佐だ。よろしく頼む」
ミーナと美緒も、それぞれに自己紹介をする。
「ところで……整備がどうとか言ってましたね?」
先程の二人の会話を聞いていたのか、シャリオはそう訊く。
「ん、そうだが?」
「あの、もし良ければ私に見せてもらえませんか?これでも私、管理局でデバイスの整備をやったりもしてるんです」
美緒の答えにシャリオは技術者としての血が騒ぐのか、そう提案する。
「そのデバイスというのは?」
ミーナが聞いたことのない言葉について訊く。
「デバイスっていうのは、この世界の魔導士達が使う機械のことです。これがないと、大きな魔法は使えません」
「ということは、貴女は技術者なんですね?」
「そうです」
ミーナが再度の質問をするとシャリオはそう答える。
「なるほど…でしたら、整備をお願いします。私達の方から、基本的な整備方法はお教えしますので」
ミーナは納得し、またシャーリーとエイラに全てのストライカーの整備を任せるのはやはり大変だろうと思いそう言う。
「わかりました」
自信を持った声でシャリオは答え、「あの…ところで、関係ない質問になるんですけど…」と付け足して言う。
「何だ?」
「その…どうして貴女達は皆、そんな格好なんですか?その…」
他の皆にも挨拶を終えてきて思ったのか、シャリオはウィッチ達の特徴的な格好について訊く。
ウィッチ達の服は皆、上は制服なのだが……問題は下にあった。ズボンではなく、どう見ても……
「下着…ですよね?」
そう。シャリオの言う通り、ウィッチ達は下着にしか見えないものしか下につけていないのだ。
「はっはっは。何を言っているんだ?これはズボンだ」笑いながら何を馬鹿なことをといった感じで大きく笑いながら言う美緒。
「ズ、ズボン!?」
信じられないといった風に驚くシャリオ。当然である。
「何をそんなに驚くことがある?女子は皆、これが当たり前の格好だろう」
全く恥じらいなど見せずに言い切る美緒。
「美緒?一応、ここは異世界なのよ?」
ミーナ自身も、シャリオがどうして下にあんな厚着をしているのかと思いながらも、ここが異世界だと思い美緒にそんな風に言う。
「と、とにかくその格好はマズいと思います。せめてエイラちゃんやサーニャちゃんみたいにもう一枚何か着けた方が…」
あの二人が唯一、自分の知っているズボンに近しいズボンを履いていたなと思いシャリオは提案してみる。
「あぁ、あの二人はスオムスとオラーシャの出だからな。寒い地方の出身だから仕方ないんだ」
美緒がそう説明する。
ちなみにスオムスとオラーシャは、なのは達の出身世界では順にフィンランドとロシアにあたる。同様に扶桑皇国は日本、リベリオンはアメリカ、ロマーニャはイタリア、カールスラントはドイツ、ブリタニアはイギリス、ガリアはフランスにあたる。
「そ、そうなんですか…」
とは言え、文化の違いに驚きを隠せないシャリオ。当然である。この世界ではどう考えても痴○にしかならない。
「まぁ何にしても、これが私達の世界のことだから納得してくれとしか言いようがないな」
言ってから再びはっはっは、と笑う美緒。その様子を見てシャリオもまた、それもそうかと思っていた。
作品名:魔法少女リリカルウィッチーズvol.1 作家名:Dakuto