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アズール湊
アズール湊
novelistID. 39418
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黒と白の狭間でみつけたもの (2)

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トウコとベルは抱えていたツタージャとミジュマルを。

チェレンはボールから出したポカブをみせた。

「あら、すごーい!ポケモン勝負をしたからかしら。もうポケモン達も君たちを信頼しはじめた……そんな感じがするわね!ところで、ニックネームはつけてみた?」

あ、そういえば私たち、ポケモン勝負に夢中でつけてない。

「ニックネームをつけると、より信頼感が高まるわよ。もちろん、つけなくてもいいんだけれどね」

どうする?とアララギ博士は聞いてきた。

じゃあねぇと、始めに切り出したのはベル。

「あなたはマルちゃん。ミジュマルのマルちゃんよ」

「ミジュマ!」

ベルに名前を付けられて、ミジュマルはすごく嬉しそう。

ツタージャは、ぼくはどうするの?といった様子でみつめてきた。

どうしよう、トウコは悩んだ。

「僕は、このままにします」

チェレンはそう言った。

ポカブもそれでいいようで、コクンと頷いた。

2人とも、決めるの早いよう!

「トウコは?トウコは何にするの?」

「私は……。私は」

ええーっと……。

いいかな、これでいいかな?

「タッくんじゃ、いや?」

このツタージャ、男の子みたいだし。

「タージャ!」

ツタージャは気に入ったようで、トウコに向かって微笑んだ。

よかったぁ。

「ふふ、すごく良い名前ね!さぁて、本題に入るわよ!あなた達にポケモンを渡したのも、ちょっとお願いしたいことがあってのことなの」

そう言って、博士はトウコ、ベル、チェレン、それぞれに1つずつ何かを手渡した。

「これって、ポケモン図鑑!?」

チェレンが興奮気味に言った。

「ポケモン図鑑って、あの有名な?」

「すごーい。本物はじめてみた」

「そう、大当たり!これはポケモン図鑑。出会ったポケモンのことが自動的にわかるし、捕まえるとさらに詳しいことがわかるのよ。あなた達には、イッシュ地方を巡って、この図鑑の完成をお願いしたいの。お願いできるかしら?」

「もちろんです!」

「おもしろそう」

「はぁーい、あたしもやりたい!」

大賛成の3人の反応に、博士も満足そうだった。

「博士、ポケモンから図鑑まで本当にありがとうございます」

「本当にありがとうございます。博士のおかげでトレーナーになれたし」

「こんなにかわいい、ミジュマルもらえて幸せです」

「喜んでもらえたならよかったわ。じゃあ、図鑑の完成を目指して……。いいえ、もちろんそれだけが目的じゃなくて、これからいろんなことが旅の中であると思うけれど、それぞれ頑張って良いトレーナーになってね!」

アララギ博士に見送られ、トウコ達は研究所を後にした。

研究所を出ると、そこにはなぜかトウコとチェレンとベルの3人のお母さんとお父さんが待っていた。

ベルのパパだけは、いなかったけれど……。

「ポケモン図鑑の完成を頼まれたんだって?すごいじゃない……なんてね、実はその話、既に知ってることなのよね。」

トウコのお母さんはにやにやしながらそう言った。

「なんで?」

「実はね、前々から博士に頼まれてたの。だから知ってるってわけ。ほら、旅に出るなら地図は必需品でしょ?これをもっていきなさい」

お母さんは、タウンマップを手渡してくれた。

「ありがとう、お母さん」

チェレンもベルも、お母さんからタウンマップをもらっているようだった。

「大変だよ?ポケモントレーナー。でも、たくさんの出会いがあるわ。旅はきっとトウコにいろんな事を教えてくれる。頑張ってらっしゃい」

「はい」

ありがとう、お母さん。

町を出て行くのが、少しだけ寂しくて、切なくなった。

絶対に帰ってくることを約束して、それぞれの家族に見送られながら、トウコ、ベル、チェレンは歩き出した。

町はずれの1番道路。

草むらの生い茂る道。

きっと野生のポケモンも飛び出てくる。

そう思うと、不安と緊張と嬉しさが入り交じった。

「ねぇねぇ、最初の一歩は3人で一緒に行こうよ」

ベルが良いことを言い出した。

「いいね」

「ベルもたまには良いこというじゃない」

「もう、たまにってひどいよ、トウコ……」

「ほら、喧嘩しないでみんなで行こうよ」

チェレンがコホンと咳をした。

「じゃあ、私がかけ声するからね!」

ベルの指示に従って、3人は草むらに向かって横一列に並んだ。

「じゃあ行くよ!」

ベルが大きく息を吸った。

「せーのっ!!」

ベルのかけ声に会わせて、3人は大きな始めの一歩を踏み出した。