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アズール湊
アズール湊
novelistID. 39418
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黒と白の狭間でみつけたもの (5)

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〈 第5章 初めてのジム戦 〉

サンヨウシティは、2番道路を越えた先にある。

1番道路よりは長い草むら。

タッくん達とバトルの特訓をしながら進み、何人かのトレーナーとも戦った。

今のところ連勝だ。

サンヨウシティは、この辺りでは、一番近いジムがある場所。

確か、数年前にジムリーダーが入れ替わってから、3人の兄弟が運営していると聞いている。

ジムリーダーは、専門のタイプを育てるスペシャリスト。

だから、それぞれ決まったタイプのポケモンで、勝負をしてくるのだ。

1つ1つのジムが、違ったタイプの専門トレーナーだ。

サンヨウジムの専門は、なんだっだけ?

ジムリーダーに勝つには、タイプの違いも大きく影響してくるって、チェレンも言っていた。

苦手なタイプだらけだったら、対策も考えないといけないし……。

どうしても、思い出せなくてトウコは悩みながら道を歩いていた。

「トウコ、前見て歩かないと転んじゃうよ?」

そう言ってきたのはベルだ。

2番道路の後半、さっき勝負を挑まれたばかりだ。

当然、勝負は勝ったトウコだったが、そのまま一緒にサンヨウシティにまで行くことにした。

「トウコ、やっぱり才能あるよ。あたし全然かなわないよー」

「そんな、ベルも十分、才能あるよ」

まだ冒険は始まったばかりだけれど、初めての勝負の時とは、ベルも違った。

ミジュマルのマルちゃんと息がぴったりだったし、勝負に手こずった。

ボールを取り出すのに時間がかかっているのは、相変わらずだったけれど。

「ねぇねぇ、トウコ。あたし、サンヨウシティについたら、行ってみたいところがあるんだ」

「もしかして、サンヨウジム?」

ベルは時々、抜けてるかなぁ……なんて、思った。

マイペースなベルは、時々見当はずれなことを言うことがある。

「もー、違うよぉ!」

頬をふくらませて、ベルが怒った。

見当はずれなことを言うだろうと予測した、浅はかな考えがいけなかったとトウコは反省した。

ごめん、ベル。私が悪かったわ。

「ジムにも当然、頑張りたいけど、違う場所があるじゃない?」

言われて考えてみるけれど、わからない。

悩んでいると、ベルは言った。

「新米トレーナーの遊び場所があるでしょー?夢の跡地。けっこう有名なのにー!」

「そんな場所、あったっけ?」

トウコは首をかしげた。

「もう、トウコはバトルのことしか頭にないのー?」

グサリと胸に突き刺さった。

時々、ベルは平気でひどいことを言う。

本人に自覚がないけれど……。

そんなトウコの心境も知らず、ベルは相変わらずマイペースだった。

「そこにいるポケモンを仲間にしたいんだぁ!」

うれしそうにはしゃぐベル。

もう、仲間になった時のことを想像しているみたいだ。

見てるとこっちまで楽しくなりそうな、笑顔。

これでいっつも、許す気にさせられる。

ベルってずるいかも。

「なんて、ポケモンなの?」

「えへへ、ムンナだよ」

「ムンナ?」

きっと、ベルの頭の中にはもう姿が浮かんでいるんだろう。

ベルはポケモンの絵を描くのが好きで、よくアララギ博士がもっているポケモンの写真をみせてもらっていたもの。

トレーナーとしてのポケモンバトルの知識は、きっとチェレンの方が上だけれど、ポケモンの姿や生息、性格なんかの知識に関しては、きっとベルが誰よりもわかっているはずだ。

「ピンク色の、まんまるーい、かわいいポケモンだよ」

「へぇ~、私も見てみたいな」

「じゃあ、一緒に行ってみようよ!」

見えてきた、サンヨウシティを指さして、ベルが言った。

もう着くんだ。

話していたら、あっというまだった。

ベルに手を引かれて走り出す。

ふと、ベルの後ろ姿と、Nの姿が重なった。

若草色の長い髪が揺れて、つかんできた手がとても大きいから驚いた。

ふと、あどけない笑顔で微笑むから、不思議と嫌に思えなくて……。

「トウコ?どうしたの?ぼーっとして」

「え?!」

ベルに言われてハッとした。

あれ?なんで今、思い出したんだろう。

なんなの?

胸の中がもやもやする。

「大丈夫?具合でも悪かった?」

立ち止まり、心配そうにトウコの額に触れた。

ベルの手が少しひんやりと感じた。

「大丈夫、なんでもないよ」

「そう…?遠慮しないで言ってね?トウコ、すぐ我慢するんだもん」

「ありがとう、ベル。でもね、ほんとに大丈夫だよ」

トウコが笑ってみせると、ベルはようやく安心してくれたようだった。

「やっぱり、先に少しだけ休もう!トウコ、全然休んでいないんじゃない?きっと歩き疲れちゃったんだよ」

そういえば、そうかもしれない。

「そうする」

「じゃあ、もう少しだけ頑張ろうね!」

ベルに再び手を引かれて、ゆっくりと歩き出す。

歩きながら考えていた。

あの後、彼はどうしたんだろう……。

泣いてしまいそうなNの顔を思い出した。

それから、はじめてみせた笑顔も。

変なの、なんで私、Nのこと考えているんだろう。

頭に浮かんで、少しの間、離れなかった。

サンヨウシティのポケモンセンターに到着すると、ベルはトウコに言った。

「じゃー、トウコは少し休んでてね!」

「え?ベルも休むんじゃなかったの?」

てっきり、一緒に休むものだと思っていたから、1人で休むようなかんじで言われたことに、驚いた。

「夢の跡地、一緒に行くんじゃなかったっけ?」

困惑するトウコに、ベルはいつものマイペースで、のんびりと言った。

「うん、一緒に行こうね!でも、トウコ疲れてるみたいだし、休んでいた方がいいと思うの。夢の跡地には、夕方に行くことにしよう!そうすれば、トウコだってゆっくり休めるでしょ?
あたし、ジムリーダーに挑戦もしたいし、2番道路にもどって、マルちゃんと特訓してくるから、トウコ少し待っててよ」

にこにこと言うベル。

あいかわらず、そういうところはしっかりしている。

ここでじっとしているのが嫌だと断ったって、一緒について行ったって、ベルはきっと怒るだろう。

こうした方がいいと決めたら、ベルもチェレンに負けないくらい頑固だ。

休むまで、説得されそうだわ。

「……わかったわ」

トウコがそう言うと、ベルはにっこりとして、念をおしてポケモンセンターを出て行った。

「じゃあ、また後でねー!ちゃんと休むんだよー!」

ひらひらと手を振るベルに、トウコも笑顔で返した。

少しは休むかな。

自販機で缶ジュースを買うと、トウコはポケモンセンターのソファーに座り込んだ。

足が少しじんじんする。

ベルの言うとおり、疲れは溜まっているのだとは思う。

よく考えれば、もう昼過ぎで、お母さんが持たせてくれたお弁当を少し食べたくらいで、ほとんど座っていなかった。

タッくん達の回復を待ちながら、ソファーで楽に腰かけて。

それから、タウンマップを眺めて。

サンヨウシティの観光雑誌をのぞいて……。

しばらく、じーっとしていたが、だんだんとそれが苦痛になってきた。

時間にして、40分程。