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アズール湊
アズール湊
novelistID. 39418
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黒と白の狭間でみつけたもの (5)

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そういえば、何もしないでじっとしているのは、苦手だった。

「あーーっ!もう無理!」

時計はまだまだ昼時。

夕方までずいぶんある。

こんなに、時間があるならジムリーダーに挑戦するくらいできるはず!

トウコは、堪えきれずに立ち上がった。

ベルにライブキャスターで連絡しようか迷ったが、怒られそうだからやめた。

夕方頃、連絡しようと決めると、トウコはポケモンセンターを出た。

しばらく室内にいたせいか、外の明るさは新鮮さがあった。

「う~ん、気持ちいい!やっぱり外がいい!」

大きくのびをして、トウコは町の散策をはじめた。

道なりに歩いていると、おしゃれな洋館が見えてきた。

レストランみたいだ。

こんな場所にあったっけ?

窓ガラスから、中でケーキを食べている人も見えた。

なんだかお腹がすいてくるが、さっきたくさん買い物をしたばかりの、今の所持金じゃお店に入るのは厳しそうだ。

「いいなぁ」

そう思いながら、お店の名前を見ると、【サンヨウシティジム】と書かれいた。

え!こんな可愛い外装の建物が、ジム? レストランもやってるってこと?

立ち止まって、看板をまじまじと見ていると、お店のドアが開いた。

赤い髪のウェイターが、明るく声をかけてきた。

「お待ちならどうぞ、ご注文は?」

げ!お客と間違えられた!

「あ…、えーと。そうじゃなくて……」

あたふたしながら、トウコが言い始めると、ウェイターはわかったように頷いた。

「ああ…トレーナーさんね」

ほんとにここがジムらしい。

けれど、ウェイターは困り顔だった。

「悪いけど、今いないんですよ、ジムリーダー。たぶん、トレーナーズスクールにいるんだと思うけど。挑戦するなら、探してきてもらえないですか?」

「え!私が?」

ジムリーダの顔もわからないのに!?

そんな無茶な!と思った。

赤い髪ウェイターは、そんなトウコを尻目に、問題ないとばかりに説明をはじめた。

「大丈夫。青い髪の…見ればすぐわかりますよ。トレーナーズスクールは、このまま道なりに進んでいけば、すぐありますから」

ウェイターに上手く話をまるめこまれ、トウコはジムリーダーを捜しにいくことになった。

トレーナーズスクールには、言われたとおり、すぐ着いた。

来たことがないわけでもない。

まだトレーナーに慣れない頃、ベルとチェレン、トウコの3人で、ポケモンについての授業を受けたことが何度かある。

トレーナーになれない頃は、いろんなポケモンとふれあえる、数少ない場所の1つでもあったから、授業に行くのはとても楽しかったっけ。

トレーナーとして入るのは初めてだけれど。

学校内では、何かの授業があったのか、黒板には白いチョークの文字がそのまま残っている。

まだ、何人かのトレーナーも教室に残っているようだった。

青い髪のジムリーダーがいないか、探してみるが、見当たらない。

やっぱり顔も覚えていなくて、探すのは無理があるのではないだろうかと思った。

その中で、見慣れた背中がみえた。

黒板に書かれた文字を熱心に読んでいる。

チェレンだ。

てっきり、もう先に進んだのかと思っていた。

勉強中なのか、全く気づいていないチェレンの肩をトウコはたたいた。

「チェレン…」

「トウコ!?」

ようやく気づいた。

こんなに勉強に集中できる、チェレンってやっぱりすごいかも。

「もう、先に進んじゃってるのかと思った」

「そこまで、僕も順調じゃないよ。トウコはジムリーダーとは戦ったのか?」

「まだだよ。チェレンは?」

「僕もまださ。ここのジムリーダーはポケモンによって、使うタイプを変えてくるって聞いたからね。技の効果や道具の必要性について、学び直していたところだよ」

そうだったんだ。

「ねぇ、チェレン。ジムリーダーの人なんだけれど、このスクール内に来てなかった?私、探してるの」

「? ジムリーダーなら、さっき講義をすませて帰ったけれど……」

チェレンの言葉が重くのしかかった。

じゃあ、私、なんでここに来たのよ!?

「さっきまでポケモンについて、ここで話していたんだけどね……。すれ違ったんじゃないのか?」

「そうかも…」

虚しさをかんじた。

でもいいや、これで戻ればジムリーダーと戦えるんでしょ?

そう考えることにした。

「ところで、トウコ。僕と勝負しないか? 道具の必要性……授業で聞いたことを試してみたい」

ボールを構えるチェレン。

よーし、やってやるわよ。

「もちろん、いいわよ」

トウコもボールを構える。

「勝負!」

チェレンのかけ声とともに、ボールを解き放つ。

ポカブとタッくんが飛び出した!

相性は不利、どうする。

迷っている間もなく、タッくんが走り出していた。

ここはタッくんを信じよう。

「タッくん、たいあたり!」

素早い動きを活かして、タッくんのたいあたりが決まる!

「ポカッ!」

ポカブは飛ばされるが、すぐに立ち上がった。

「いつまでも、そう上手くいくと思うなよ。ポカブ、ひのこだ!」

「ッカブーー!」

ポカブが勢いよく、ひのこをはいた!

草ポケモンのタッくんには大ダメージだ!

「ジャジャー!」

タッくんは、必死でひのこをふりはらうが、ちりちりと火は燃えうつる!

尾っぽの葉っぱの火は消えたけれど、タッくんの動きは、明らかににぶくなっていた。

たいあたりしてきた、ポカブをなんとか避ける。

「ポカポカッポッカブー!」

調子に乗る、ポカブ。

その様子に苛立ったのか、タッくんはくやしそうに歯を噛みしめて、ギラリとポカブをにらみつけた。

タッくんの鋭い目つきに、ポカブは一瞬ひきつった顔を見せた。

無理はダメだ。

「タッくん、交代!」

トウコはボールに戻すと、2つ目を投げ込んだ!

「テリテリテリー!」

嬉しそうな鳴き声で、テリムが飛び出した。

泣き虫、テリム。

実は、特訓中も泣いちゃったり。

でも、弱いわけじゃない。

「テリム、かぎわけて…たいあたり!」

テリムはくんか、くんかとポカブのにおいをかぎわける。

「ポカブ!ひのこだ!」

ポカブはもう一度、ひのこをはいた!

テリムは、室内をタッタカ、タッタカ、走り回った。

うまく避けている。

恐がりなテリムは、なぜか避けることだけは、はじめからめちゃくちゃ上手かった。

ここでもそれが、活かされている。

テリムは、ポカブの後ろに回り込むと、頭から思いっきりたいあたりした!

「カブ!」

よろよろになったポカブは、オレンの実を食べ始めた。

みるみるポカブが少し元気を取りもどす。

ポカブはもう一度、ひのこをくりだした!

「リリ!」

テリムはあわてて走り出す。

またもや、器用に攻撃を避けた。

「くそ、当たらない!ポカブ、たいあたり!」

「負けないで!テリム、かみつく!」

走り出したポカブに、テリムは飛びついて、がぶりと噛みついた。

「ポカー!!」

鳴き声がひびいて、ポカブはついに膝をついて動かなくなってしまった。

チェレンはポカブをボールに戻す。