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IS  バニシングトルーパー 027

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stage-27 俺がお前の最初の仲間になってやる



 激烈な痛みに襲われている眼球は、焼かれているように熱い。天井にぶらさげている照明装置から顔面に直撃している眩しくて白い光が、瞼の隙間から入り込み、瞳孔を刺激してさらに気分を悪化させる。
 手で遮ろうにも四肢はベルトに固定されて、どんな足掻いても自由に動けない。
 手術台の上に縛られている自分は、感触を表現することが許されない。

 目が痛い。
 頭が痛い。
 体中が痛い。
 喉から、声にならない声を出して、せめての生存反応を示す。
 
 「拒絶反応か……もうダメだな」
 「あ~あ。ついてないな、こいつ。こんなで大丈夫か? このプロジェクトは」

 プラスチック製の注射器をゴミ箱に投げ込む音。
 ハサミを金属トレイに置く音。
 そして速いテンポで鳴り続ける電子機械の音の中混じってる白衣男達の声が、鼓膜に届く。

 「さあな。そもそも拒絶反応出なかったやつも、プロジェクトの目標までは届いてない」 
 「それを言わないで下さい……泣けてくるから」
 「なに、気にすることはない。こっちは大量生産できるからな。向こうは研究対象の確保すら運任せだぞ」
 「それもそうだな」
 いやらしい笑い声を発した後、男たちは作業に戻った。しばらくして、体に僅かな揺らぎを感じた。
 手術室から運び出された。

 「……っ」
 体中の痛みはまだ引いてなく、心の中では悔しさで一杯だ。
 明日からはどうなる。
 どうする、だなんて自分で決められる立場ではない。

 (だ、誰が……)
 私に、どうすればいいを。
 (教えてくれ……!)

 「……っ!!」
 ぱっと、目を覚ます。
 「ゆめ、か……」
 目の焦点を合わせて、周囲に視線を巡らせる。
 ここは……IS学園、生徒寮の個室だ。壁にある電子時計に目をやると、「AM 03:00」の文字が視界に飛び込む。
 まだ真っ暗のベランダの外から、葉揺れの音を聞こえる。
 乱れた呼吸を整えて、上半身を起こすと、体中に汗だらけになっていることに気付く。せめて顔だけでも拭いておこう と、洗面所に入って蛇口を捻った。
 冷たい水を顔に当てて、気分が少しよくなった。
顔を上げて、鏡の中の自分を見つめてみる。
 銀色の前髪の奥、左目の瞳が光を放っていた。
 金色の光を。

 「きょう、かん……」

 無意識のうちに、銀髪の少女はそう呟いた。




 「……つまりドライバーをインストールすれば、すぐに使用可能という訳ですわね?」
 スパイラル状の金髪の末端を指で弄りながら、目の前にいる大型ライフルを興味深そうな視線を向けるセシリアは隣で端末を操作しているマリオン博士に問いかけた。

 今は放課後の時間。そしてセシリアは、クリスとシャルロットと一緒に学園の整備室に来ている。
 目的は、マリオン博士からオクスタン・ライフルの受け取ること。

 「ええ。パルチザン・ランチャーの“Xモード”はないが、実弾の“Bモード”とビーム弾の“Eモード”、そして交差して撃ち出す“Wモード”はちゃんと備えているわ」
 端末から目を離さずに、マリオン博士はセシリア返事をした。
 「……これによって攻撃パターンはが増えたはずよ。とは言え、使いこなせるかどうかはあなた次第」
 「ありがとうございます。 必ず使いこなして、次はエクセレンさんを勝って見せますわよ!」
 意気を込めた声で、セシリアは整備室の隅にゲーム機で遊んでいるエクセレンへ決意に満ちた目を向ける。しかし自分の名を呼ばれて顔を上げたエクセレンは声の主を確認した後、意味深げな笑いを返した。
 「いやいや、セシリアちゃんは私なんかより先にシャルルちゃんを勝たないと」

 「シャルルさん……ですか?」
 エクセレンの言葉の意味を理解できずに、セシリアは首を傾けつつ少し離れている所で話しているクリスとシャルロットに目を向ける。

 あの二人は今、改修中のオレンジ色IS「ラファール・リヴァイブ・カスタムSP」の前に立っている。
 改修作業は昨日から始まったばっかりで、元のパーツが外された各ハードポイントにまた何も取り付いてないため、今は「ラファール・リヴァイヴ」一般機のロールアウト状態と大して変わらない。
 だが隣の加工台に固定されている巨大な杭打ち機「リボルビング・バンカー」を見ているシャルロットは、まるで子供のようにはしゃいでる。
 「凄いね……完成するのが待ち遠しいよ~」
 「……一周間くらい我慢しろよ」
 渋い顔して、クリスは返事を返す。
 シャルロットの堅持でクリスは一応曲げることにしたが、このプラン自体はあまり支持的ではない。
 特にプラズマホーンをつけようとしてる当たりは。

 「はい~でも僕、昨日から練習してないね」
 「じゃ、エクスバイン使ってみる?」
 「いいの?」
 「まぁ、AMボクサーを外せば癖のない機体だからな。専用機って訳でもないし、少しくらいなら」
 「ありがとう~!」
 自分を見上げてるその無邪気な笑顔の可愛さにやられて、クリスは思わず手をシャルロットの頭に置いて、優しく撫で始めた。クリスの手の温かさを感じて、シャルロットは気持ち良さそうな表情で目を瞑って、頭をクリスの肩に寄りかかった。

 「あの二人、イチャイチャしてますわ……」
 目に映っているあまりにも信じ難い光景に、セシリアの顔色が青くなる。
 「そ、そんな……まさかクリスさん、男の子が……!?」
 クリスとシャルロットは至って普通の恋人同士のスキンシップを取っているつもりだが、セシリアからすれば男二人がべたべたしているにしか見えない。

 「そういうこと。セシリアちゃん、どうする?」
 ゲーム機のボタンを押しているエクセレンの口元に、邪悪な笑みを浮かべる。
 オ・ノーレ。年下のくせに大人を馬鹿にする生意気なエロガキが、と心の声を胸の奥に閉じ込めて。

 「そう言えば、クリスさんが冷たくなったのもデュノアさんが来てからでしたわね……編入してから二人はずっと一緒でしたし、まさか本当に……だとすれば同じ部屋に住んでいるふたりは……!!」
 よく考えてみると、思い当たる節が多すぎる。考えれば考えるほど、疑問が確信へ変わっていく。
 「だからいつまでも私の気持ちに気付かないふりして、他の女の子にも手出ししませんでしたわね……もう、こうしては居られません!」
 トコトコと足音を立てて、セシリアは早足で寄り添っている男二人へ歩く。

 「ど、どうしたんだ? セシリア」
 微妙に怒っているような顔で迫ってくるセシリアに、クリスは慌ててシャルロットの頭から手を退いたが、シャルロットは依然とした態度でクリスから離れようとしない。

 「クリスさん!!」
 突如、セシリアはクリスの両手を握って、胸元まで持ち上げる。

 「何っ?」
 「わ、私は必ずその……クリスさんに女の子の良さを教えて差し上げますから!!」
 「……はっ?」
 「ですから、男の子同士のイチャイチャは不健康だと言っております!! シャルルさんも、クリスさん離れてくださいまし!!」
 「いやだよ。クリスは男の格好をしている子しか興味ないんだから、セシリアこそもうクリスに付きまとわないでね」
 「変な言い方すんな!!」