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IS  バニシングトルーパー 027

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 「……そうだな!」
 一片の曇りもない一夏の爽やかな笑顔にムカついた箒はそう言い捨てで、クリスのところに近づいてきた。
 「クレマンの実力なら文句はない。私でよければ、一緒にペアを組ませてくれ」

 「ありがとう。暫くの間はよろしくな」
 「あっ、何時の間に!!」
 皆の気づかないうちに自力で切断したロープを捨てて、椅子から立ち上がって箒に左手を差し出したクリスを見て、シャルロットは驚き声を上げる。
 「ああ、よろしく頼むぞ」
 クリスの手を箒は取って、二人は握手を交わした。

 「ごめんな。皆さんの気持ちは嬉しいけど、俺のパートナーはもう決まったから」
 誘ってくる女子達に頭を下げて保健室から退場してもらった後、クリスは箒の隣に立って、シャルロットとレオナと向き合った。
 「と、言うわけだ。健気なパートナーのためにも、優勝は俺達がいただく。手加減とか期待するなよ」
 「こっちのセリフだよ。カスタムSPの力、見せてやるからな」
 「私に一回も勝ったことないくせに、よくそんなことが言えるわね」
 レオナの言うとおり、訓練時代ではクリスがレオナに勝った試しがない。そしてシャルロットのラファール・リヴァイヴ・カスタムSPが完成したら、かなりの脅威になるでしょ。

 「おい、俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ?」
 「そうだぞ。前々から本気のクリスと戦ってみたかったぜ」
 後ろから寄ってきた男子ペアが、会話に割り込んできた。

 「お前らはまず、専用機持ちのくせに初戦で負けるなんて無様な結果だけを避けように努力しようぜ?」
 「心配ねえよ。あいつとの決着まで、負けはしねえ」
 小柄の少女の辛そうな顔を思い浮かべて、隆盛は自分の決意を固めた。それを見た一夏は、彼の肩を軽く叩いた。
 「手伝うぜ、俺も」
 「ああ、当てにさせてもらうぜ」

 「あらら、若い子っていいわね、織斑先生?」
 「……年寄りみたいな言い方で同意を求めないでくれ」
 生き生きしている生徒達を見て羨むエクセレンに薄い笑いを返して、千冬は思った。
 こいつらに任せたのは正解だったかもな、と。

 隆聖&一夏。シャルロット&レオナ。クリス&箒。
 心を囚われた少女を解放するために。
 好きな人をもっと知るために。
 友人の恋を後押しするために。

 それぞれの思いを胸に、少年少女たちは決着の日を迎えようとしていた。