IS バニシングトルーパー 032-033
「見切った!!」
ガキンッ!!
金属バットとボールが衝突する音が響き渡り、ボールが三塁へ勢いよく飛んでいくのと同時に箒はバットを捨てて走り出す。
「ふん、私の領域に飛んできた貴様の不幸を呪うがいい」
三塁を守っているラウラは不敵な笑みを浮かて、直撃してくるボールを素早い動きでグローブに収めた。
「アウト!!」
アウト判定された箒は残念そうな顔で休憩場へ戻っていき、ラウラは期待に満ちた目で一塁にいる隆聖を見る。そして隆聖が親指を立てた後、ラウラは嬉しそうに笑った。
夫婦というより犬と飼い主だな。
次の打者は美菜。打席に立って深呼吸して一礼し、彼女はバットを構えた。投球パワーから見れば、油断はできない。ジャーダの合図に頷いて、桜花はボールを投げた。
ガキンッ!!
「なんですって!?」
第一球から美菜はバットを振った。そして澄んだ打撃音が空気に響き渡り、ボールは遠くへ飛んでいく。
「こっち来た!!」
外野まで飛んできたボールを追って、クリスは走る。しかしボールは一向に落ちてくる気配がなく、そのままフェンスを越えて川の中に落ちた。
一瞬の静かの後、敵チームの休憩場が沸いた。
「……いきなりホームラン?!」
北村美菜という少女のハイスペックっぷりに、クリスは驚かずにいられなかった。
作品名:IS バニシングトルーパー 032-033 作家名:こもも