IS バニシングトルーパー 046
「凄いですね。誰にも気付かれずにこれだけのデータを取れるなんて」
「当たり前よ。プリズム・ファントムのデータと交換して開発してもらったんだもの」
電子音声みたいな声の主と、その女性は会話を続ける。
しかし、彼女の周りには他の人影が見当たらない。
「しかし、あれが織斑千冬の弟か。ちょっと可愛いけど、腕の方まだまだかな」
「そうですね。データ上では同年代の中でも普通でしたし」
「経験が浅いからかしらね。じゃ、そろそろ戻ろう」
「ラジャ!」
女性が出した指示に応じるように、その赤黒ツートンカラーのISは再び蜃気楼みたいに、空気の中へ消えていった。
まるで、最初から全ては幻影だったかのように。
作品名:IS バニシングトルーパー 046 作家名:こもも