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IS  バニシング・トルーパー リバース 003-004

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 「特殊任務実行部隊『ブリュンヒルデ』所属、クリストフ・クレマンしょう……っな!!」

 ドガァァン!!
 クリスの名前を聞いた瞬間、オレンジ色の量産型ゲシュペンストMK-IIはまるで発狂したかのようにバーニアを噴かしてクリスに体当たりしてきた。一瞬の油断でクリスの機体はオレンジ色の量産型ゲシュペンストMK-IIに体勢を崩され、そのまま地面に押し倒された。
 そしてクリス機の上に乗っかったまま、オレンジ色の量産型ゲシュペンストMK-IIは左腕のプラズマステークを起動させた。

 「クリスさん!!」
 「撃つな!!」
 ゲシュペンストの腕を狙撃しようとするセシリアを、クリスは慌てて制した。
 いきなり襲い掛かってきた意図は分からんが、これくらいのピンチなら自分だけでも何とかできる。前腕のウェポンラックに内蔵しているビームソードを起動して、クリスは素早く腕を振り上げた。
 一閃の後、ゲシュペンストの左腕は既に肩関節から綺麗に切り落とされた。この隙にクリスはバーニアを噴かして推力を使って下から抜け出し、ゲシュペンストを地面に押さえつけた。

 「何の真似だ!?」
 「……どうして、むかいにきてくれなかったの!」
 怒りが混じった口調でクリスはゲシュペンストを地面に押さえたまま相手の行動意図を問いかけたが、帰ってきたのは意味不明な言葉だった。
 
 「……っ!!」
 しかし、怒りや悲しみ、さらに憎しみすら感じ取れるこの声に、クリスは聞き覚えがあった。
 思い出の少女の姿が、頭の中を過ぎった。 
 ひまわり畑に囲まれた木製のハウス。庭の木にぶら下がっている古いブランコ。そして飼った羊に食べられないように、一緒に庭の隅に移した小さな花。
 鮮明に蘇った一連の幸せだった記憶に吐き気を感じ、必死に我慢するクリスの額に脂汗が滲んだ。

 その時に、ゲシュペンストのコックピットハッチは小さな機械音を立てながら開いていく。手で口元を押さえながら、コックピットの奥へクリスは注目を向けた。
 まさかとは思うが、もしこの機体のパイロットは彼女だったら、感情を制御できる自信なんてない。
 しかしそこで得たのは、クリスの予想から大きく外れた結果だった。

 「莫迦な……無人機、だと……!?」
  モニターに映したのは、誰も座っていない操縦席だった。

 *

 一方、DC残党の本拠地と化しつつあるアフリカ地区の巨大地下人工冬眠施設、アースグレイドル内部の第三格納庫は今、とても異常な光景を見せている。
 格納庫に並んでいるハンガーは今、全部新品の機動兵器に埋められている。この光景を見ていると、今までの戦力不足が嘘のように思えてくる。
 しかもDC軍が使ってきたAM(アーマードモジュール)だけでなく、連邦軍が使っているPT(パーソナルトルーパー)もかなりの割合を占めている。

 「どういうことだ、これは……」
 両側に並んでいる見たことすらない機動兵器群を見上げながら、DC軍服を着たラウラは格納庫の真ん中の道をゆっくり歩く。
 昨日の夜にアースグレイドルに到着して、今日は初めて格納庫に足を運んでみたが、予想外の光景にラウラは言葉を失いかけていた。
 第三だけじゃない。どの格納庫にもここと同じ、機動兵器に埋め尽くされている。AMやPTところか、連邦軍が開発しているはずの特機まで並んでいるのを見た。
 今は部隊が壊滅的な打撃を受けたため、戦力が決定的に不足しており、専用のガーリオンも完全に修理できてない。だがこれだけの戦力があるなら、何機か自分の部隊に配置すればすぐにまた動ける。
 無論、申請が通ればの話だが。

 そんなことを考えながら歩いていると、一機の機動兵器がラウラの視界に飛び込んだ。
 スカイブルーとホワイトに彩られ、スマートなシルエットをしている人型だった。肩に固定されいている六枚の羽根状パーツが、この機体の最も特徴的な部分になっている。
 関節などの構造を見た限りでは、AMよりはPTの構造に近い。しかしその外見からだけでは、これ以上の情報を判明できなかった。
 (ゲシュペンストやヒュッケバインには見えない。これは一体……?) 

 「あら、この機体に興味があるのかしら? ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐」

 丁度この時に、ラウラの背後から女の話し声が聞こえた。
 振り返ってみると、そこに立っているのは気怠そうにしている、桃色髪の女性だった。変わった形をしているサークレットをつけて、薄く微笑んでいるこの女性から不思議な雰囲気が漂っている。

 「貴様は……?」
 「レモン・ブロウニング、ただの反連邦主義者よ。そんなことより……」

 どこまで本気なのかまったく読めない口調で、女性は淡々と名乗りを上げた後ラウラの横を通ってその機動兵器の前に立ち止り、ラウラへ向き直した。

 「この機体は私専用の機体に改造するつもりだけれど、少佐がご興味をお持ちなら、譲ってあげても宜しくてよ?」
 「えっ……?!」

 レモンと名乗った女性から申し出た意外な提案に、ラウラはすぐに返事できなかった。