二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

包容【大空組】

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 

いくつものあるという平行な世界の中で、自分がいる世界はどんな世界なのだろうか。
この身が悪に染まるのか、はたまた破滅をたどるのか。
しかし、すべての世界を見てきたという人間達から言わせると、
滑稽なほど自分はどの世界でも変わらなかったと言う。
白い衣装をまとった少女が朗らかに告げていた。
『綱吉はいつの世界でも、仲間を、家族を守っていました』
悪に染まることは無かった、と。常にその根本は変わることなくあり続けたのだ、と。
そう言われたとき、不覚にも十歳は離れている少女の前で泣いてしまった。
この心に巣食う不安を見透かされたかのようで、同時に許してもらえたようで。
少女の小さな手が、嗚咽をこぼす自分の頭を撫でてくれるたび、心の底から泣くことができた。
それから数日、平行世界を見渡した事があるという片割れが、何の連絡もなしにボンゴレの執務室にきたのはどういうことか。
扉を開けた時、部屋を間違ったと思って再び扉を閉めたのはいたしかたがないと思う。
一応、目の前で勝手に持参してきたマシュマロを頬張っている白蘭も自分と同じマフィアのボスなのだが、いいのだろうか。これで。
そして簡単に侵入されてしまうこのアジトも改変の余地があるとジャンニーニに伝えなければいけないな、と考えていたら、不意を突かれた。
口の中に突然広がる甘い感触。すぐにそれは口の中の熱で溶けて、半分脱水症状を起こす。
「白蘭・・・」
「呆けている君が悪いとおもうよー?」
くすくすと笑う年上の同胞に、ため息をこぼすのと同時に、これがこの男の優しさでもあり気遣いなのだと直感が告げている。
「物好きだよね」
徐に口からこぼれた言葉。けれど、これが今の本心。
「誰が?」
「お前が」
間髪入れずに答えれば、猫のような目をさらに細めて、もう一度マシュマロを差し出してきた。今度は自分で食べろ、というらしい。拒否しても突っ込んでくるだろうから、抵抗などせず口を開いた。
「そう?」
「うん」
甘いマシュマロを咀嚼しながら頷けば、白蘭は自らの手でマシュマロを自分の口へ入れていく。
「それを言うなら大概君も物好きだよ」
「そう、かな」
「うん」
にっこり、と微笑まれてしばし考える。けれど、目の前の男が言うほど、自分は物好きだとは到底思えなかった。
「たとえばね、」
そんな考えが顔に出ていたのか、白蘭が語り始める。ボスとして感情が顔に出るのはどうかと思いながら、心地いい声に耳を傾けた。
「僕やユニちゃんを君はありのまま、として受け入れているところとか。骸君を人間として扱っているところとか。あぁ、後アルコバレーノを家族として見ていること」
ね?物好きでしょ?と言われても。それがどうして物好きになるのか全くと言っていいほど理解できなかった。
「まだ、わからない?」
「うん、全然・・・お前の言っている意味が分からないよ」
「そっか」
白蘭はそういって笑うと、また一つ、マシュマロをとって俺の前に差し出した。
その時の白蘭の瞳がどこか、悲しげなそれでいて嬉しさをたたえているように見えて、どうしたのだろうと思った。こういう時に働けばいいものの、超直感とは本当に使い物にならない。
白蘭からマシュマロを受け取ると、彼は背を向けて部屋の扉の方へと歩いて行った。
「わからないのならそれはそれで君の良いところ、なんだと思うよ」
「白蘭?」
扉を開けて、こちらに背を向ける白蘭の表情はわからない。また来るね、と言い残して彼は静かに扉を閉めて行った。
「意味が・・・わからないよ・・・」


作品名:包容【大空組】 作家名:霜月(しー)