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【かいねこ】桜守 後編

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何がどう「そっくり」なのかと考えていたら、いろはの声がする。

「カイト」
「ああ、此処にいる」

声を掛けると、いろはがやってきて、隣に座った。
いろはが赤い髪飾りをつけているのに気がつき、

「これは?」
「ああ、藤ば・・・・・・旦那様から頂いたのだ。その、もう少し、女らしい格好をしろと言われて。お、おかしくはないか?」
「良く似合っている」
「そ、そうか。ふじ・・・・・・旦那様が、選んでくれたんだ」

ぎこちない呼び方に、思わず吹き出してしまう。

「なっ、何がおかしい!」
「いや、今までずっと『藤林様』とお呼びしていたのだからな、慣れていなくて当然だ」

俺が指摘すると、いろはは顔を赤くして、

「・・・・・・カイトだって、笹井様のことを呼べていないではないか」
「いや、俺は正式に話をされた訳ではないから」

わざととぼけると、いろはは急に焦った様子で座り直し、

「えっ!?あっ、で、でも、笹井様が引き取ることになるのだろう?」
「え?あ、ああ、まあ、そういうところは、気が回らない方だからな。大方、自分一人で納得しているのだろう」
「ちゃんと、確認したほうがいいのではないか?その、万が一のことがあったら」
「まあ、後できっちり話しておくつもりだが、向こうは言ったつもりなのだろう。今更、誰かへ引き渡す気のないことは、分かっているよ」
「そうか。それならいいんだ」

ほっとした顔のいろはに、何をそんなに焦っているのだろうかと思った。
いろはは、気を取り直したように足を崩す。

「ふ・・・・・・旦那様と、何を話していたんだ?」
「うん?いろはが、あの時良く思いとどまってくれたということだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「どうした?」

いろはが、急に耳まで赤くして俯く。
具合でも悪いのかと心配したら、蚊の鳴くような声で、

「・・・・・・や、約束、した、から」
「え?」
「・・・・・・手を出したら、お前の側にいられなくなる」

一瞬、何を言われたのか分からず、言葉の意味を理解した時、自分の顔が赤くなるのが分かった。


あの時の、あの約束を、忘れずにいてくれたのか。


とうに忘れられていると思っていた。
ただ、その場凌ぎで言っただけなのだと。


いろはは、覚えていてくれたのか・・・・・・。


作品名:【かいねこ】桜守 後編 作家名:シャオ