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零崎空識の人間パーティー 7-12話

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 そう言い、男、蓬生一春は素早く両腕を振った。
 袖が異様に長いため、手は見えなかったが、四枚の手裏剣が飛び出してきた。
「手裏剣って、アンタ忍者かよー!!」
 空識はサーベルで手裏剣を弾いたが、
「ON、NOー!!!」
 四枚目の手裏剣を弾いた際にサーベルが『パキィ』と軽い音をあげて、呆気なく折れてしまったのだ。
「ちょっと、マジでー!! バトルが始まったばっかりなのにー?!」
 そんなチャンスを相手が見逃すわけなく、蓬生一春は連続で腕を振り手裏剣を投げてきた。
「くそー!!」
 空識はすぐに迷うことなく、折れたサーベルと鞘を投げて、向かってきた手裏剣を数枚落とし、残りは身体をそらしたりして回避した。
「ちっ!」
 それを見て手裏剣での攻撃は無駄と考えた一春は袖から日本刀とは少し違う、忍者刀を取り出して、空識に向って駆けていった。
「喜べ、零崎の者よ! 私の愛刀『七苦丸』の錆になれることを!!」
「なんで、あんたはそんなにザコキャラっぽいことをいうのかなー……?」
 と、不思議そうに呟きながら、空識も身体を低くして一春に向かって駆けて行った。
「かなり速いな零崎。しかし、武器を折られたおまえが何を出来るんだ!」
 そして、空識と一春は交錯した。
「なっ…………!」
 一春の言うとうり、空識はサーベルが折られ、そしてべつの武器も持ってはいなかった。
 しかし、一瞬の交錯ののち、切り裂かれていたのは一春だった。
「ど、どういうことだ……?」
 胸の部分に一文字が刻み込まれ、そこから血が噴き出している一春は、信じられないといったかんじで自分の手を見た。 そこは赤い血で染まっているだけで、握られているはずの自分の愛刀がなくなっていたんのだ。
「自分の武器がないなら、相手の武器を使えばいいだけだよー」
 突撃の勢いのまま、一春から十数メートル離れていた空識は、一本の忍者刀を肩にかけながら軽く言った。
 その、忍者刀を見て一春は出血のせいで青くなっている顔をさらに青くし、驚愕するように言った。
「そ、それは、私の愛刀『七苦丸』! なぜ、おまえが持っている?!」
 その問いに、空識は呆れるように答えた。
「俺が使っているのは、『千刀流』って名前の剣法でねー。本来は一対一の戦闘で使うじゃなくてー、数百数千の剣士が交錯する戦場で使うことを念頭においた剣法でねー、戦場にある全ての刀を自分の刀とする剣法だから、『千刀流』なんだよー。もちろん、相手の刀も自分の刀とするけどねー。ちなみに、さっきの走り方は『千刀流』独自の走法で、地抜きっていうやつなんだー」
「奪刀術というわけか……」
「だーかーらー、ただの奪刀術じゃないって言ってるじゃんー! ……って、もういいやー」
 空識は諦めるように言い、肩にかけていた忍者刀を振りかざした。
「それじゃー。ばいばいー」
「くそっ!」
 出血のせいで怨みがましく呟くだけで、動けない一春に空識は、彼の忍者刀を投げつけた。



「蓬生って確か―、『匂宮雑技団』の分家だったよなー。ってことわー『殺し屋』かー。『いーたん』さんか玖渚さんを狙っていたのかなー。まっ、どっちでもいっかー」
 そんなこと呟き空識は去って行った。
 残されたのは虫の標本のように背中に忍者刀が突き刺さった、一つの死体だけであった。




あとがき
これで零崎空識の人間パーティの第一章が終了です。
刀語要素も詰め込んだこの話。
戯言シリーズや人間シリーズの本編とは、また別のところで起こっているという話で、基本的に本編に関与はしません。
こんな話があったかもみたいな感じで読んでくれたら、とてもうれしいです!