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零崎空識の人間パーティー 7-12話

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 突然、自分の名前である『殺し名』序列二位である『闇口』を言い当てられて、美少女は目に見えて動揺し隙が生まれた。
 しかし、空識はその隙を突こうとしなかった、まるでそんなことをしなくてもいいみたいに平然としたままであった。
「……なぜ分かったんですか、私が『闇口』だと」
「なぜ分かったなど、どうでもいいじゃんー。 どうやってよりも俺がそういうことが分かる奴だということが分かっておけばいいんじゃないー?」
「……そうですね、質問を元に戻しましょう。 戯言遣いのお兄ちゃんになんの用ですか? そして、あなたは何者ですか?」
「『いーたん』さんには《人類最強の請負人》である哀川潤さんの使いで、俺はゼロスカイっていうんだ」
「明らかに偽名じゃないですか! ふざけないでください!!」
 美少女がさらにバタフライナイフを首筋に食い込まそうとした。
「なっ! えっ?!」
 だが、美少女の手にバタフライナイフが握られてなく。
「けっこう良いナイフだねー」
 なぜか、空識の手に収まっていた。
「いつの間に……」
「『いつの間に』ってついさっきだけどー? まあ大事にしなよー」
 そう言い、空識は「はい」と普通にバタフライナイフを美少女に返した。
「うじゃー、俺は『いーたん』さんと用事があるもんで、じゃあーねー」
 それだけを言い、空識は美少女の前から立ち去ろうとしたが、
「そうそう、『闇口』のお嬢さんのお名前はなんていうのー?」
 と足を止めて聞いた。
「くっ……」
 自分など簡単に無力化できるのにすぐにそれをせず質問に答え、更には脅してきた相手の名前を何事もなかったように軽く聞いてくる。
(完全に馬鹿にされている)
 その屈辱に美少女は唇を噛みしめ。 唯一のあがきのように苦々しく答えた。
「……崩子(ほうこ)です。私の名前は闇口崩子です」
 それにも空識は反応せず、
「崩子ちゃんねー、悪くない名前だねー。それじゃあ、崩子ちゃん。 改めてじゃあねー」
 と言い、今度こそ空識は美少女、闇口崩子の前から立ち去った。

<第十一話 零崎嫉妬>


 それから、空識は戯言遣いと合流し、玖渚友のマンションの前まで来ていた。
 それまでの道筋で二人は様々なことを話したのだが、それはまた別の機会に挙げるとする。
「わおー! でかいよ、でかいよー!! ビックベンだよー!!」
「――……スカイ君。ビックベンは時計塔で、これはマンションだから……。『ビック』って文字が入っているからって大きなもの全部に使えるわけじゃないからね。それよりも、玖渚に早く合わないといけないんじゃないの?」
 戯言遣いは、玖渚友の豪奢(ごうしゃ)な煉瓦造りの、マンションというよりは要塞のような建物にはしゃいでいる空識に呆れながら突っ込みというより指摘をした。
「そうでしたのかー!! +(ぷらす)そうですねー。行きましょうか」
 玄関ホールの岩のように鎮座している岩のような警備員達の視線を抜けて(戯言遣いの顔パスで)、エレベーターに乗り込んだ。
(あれー? ボタンがないなー)
 と、空識が思っていると、戯言遣いは鍵を使ってケースを開け、三十一階と三十二階のボタンを露出させ、三十二階の方のボタンを押した。
 嫌な浮遊感が、一分間ほど。
 停止したエレベーターから降りて、戯言遣いはすぐ正面にある鉄板製の扉の前まで移動して、鍵と指紋認証でその扉を開けた。
「指紋認証ー……。さすがは、玖渚機関ー」
 そんなことを呟きながら、空識は中に入っていく戯言遣いの後を付いて行った。
「玖渚―、ぼくだー、中に入ったぞー」
 戯言遣いが玖渚友を呼んでいる中、空識は「なんだこれー?」と、足もとにごろごろしている意味不明な配線やコードに目を奪われていた。
「友ー、どこにいるー?」
 そう何度か戯言遣いが読んでいると、奥から「こっちだよー」と言う声が聞こえてきた。
(あれー? 今の声女の子だよなー。玖渚友さんって男の人だと思っていたんだけどなー)
 と、空識は思いながら、戯言遣いと声のした方向に進んでいった。
 そして、五台のパソコンの前に青髪青眼の少女。
 玖渚友が座っていた、が。
「久し振りっ! いーちゃん!」
 すぐに、天然度百パーセントの笑顔で戯言遣いに抱きついて行った。
「よかったー。いーちゃん。思春期心因性皮膚硬化症は治ったんだ―」
「それは違うと言わなかったか……? それより友、離れろ。人がいるんだから、恥ずかしい」
「わわわわ、お客さんがいたんだ」
 そう言うと、玖渚友は戯言遣いから離れ、
「こんにちわ。いーちゃんの友達?」
 と、笑顔で挨拶してきた
「いえー、俺は哀川さんの使いの者でー。 これを渡しにきたんですー」
 そう言って空識は、哀川潤に渡されたフロッピーディスクを玖渚友に手渡した。
「潤ちゃんに頼んどいたやつだ! ありがとう! えっと……」
「ゼロスカイですー」
「ありがとう! ゼロスカイくん!」
「それでは、俺はこれでー」
 フロッピーディスクを渡すと、空識は、すぐに帰ろうとした。
「もう帰ちゃうの?」
「用事はすみましたしー。 お二人を邪魔するわけにいきませんからねー」
 ニタニタした笑いをうかべながら空識は部屋を出ていった。
 部屋を出る時、
「リア充は爆発しろ……」
 と、小さく恨みがましく呟いていたが……。


<第十二話 零崎交戦>

 用事を終えた空識はどこに行くというわけでわなく、歩いていた。 
 行くあてはなくとも目的はあるのだが。
 そして、空識は人目がない少し広い裏路地で立ち止まり、
「マンションからずっっと尾行してた人、出てきていいよー」
 と、言った。
「なぜ、ばれた? 気配は隠しておいたのだがな」
 すると、空識の後方少し離れたところに異様に袖が長く地面に着くほどの服に身を包んだ男が現われて、空識に問いた。
「べっつにー。そんなに殺気をぶちまけながら尾行されたら、さすがに気付くよー」
「殺気? ……そうか」
 男は毒気づくように言った。
「おまえ、『零崎一賊』の者か」
 『殺し名』序列三位の『零崎一賊』はいっとう忌避(きひ)されている。 それは、『零崎一賊』が理由なく相手を殺す殺人鬼家族であることも大きいが、それ以上に彼らの異端すぎる家族に対する仲間意識の強さが理由である。
 零崎に手を出せば、必ず、報復されるのだ。
「零崎となると、お前を殺せないではないか」
 そう忌まわしく呟く男に空識は否定した。
「別に、俺、『零崎』ではあるけど『零崎一賊』じゃないからー。勘当されちゃった身だからー。俺を殺したところで『零崎一賊』名物の皆殺し報復はないからねー」
「……それが本当だとしても、おまえがそれを教えるメリットが分からないな」
 そう男が言うと、空識は笑みを浮かべながら腰からサーベルを抜き、
「メリットはないけど、だからといってデメリットが有るわけないからねー。 ……だってあんたはもう、俺に殺されるというフラグを立てて、ルートに入ってるんだからねー。 それじゃー、零崎を開催しようー」
 そして、ゆっくりと構えた。
「ならば、私も教えてやる。蓬生一春(よもぎういちはる)。おまえを殺す者の名前だ!」