Keep a silence 1
「よーっし! 超久しぶりに集まったんだし、今日は夜通し飲み明かそうぜー!」
「んな事言って、キャプテンが一番弱いんスよねぇ……」
「壁山聞こえってぞー!」
相変わらずの円堂の掛け声で宴は始まった。
それぞれが忙しく、中々時間の取れない中やっとかつての雷門イレブンが揃っての飲み会だった。だが、集まったのは都心組だけで、吹雪を初めとする地方組は距離もあって参加することが出来なかった。響木監督も瞳子監督も古株氏も都合がつかず捕まえられなかった。日を改める事も考えたが、何せこの人数である。全員が都合のつく日など早々なく、特に一之瀬などは再びアメリカに渡っているので今回もたまたま日本の滞在期間に都合がついただけだった。なので地方組や監督らには悪いが雷門中OBのみで決行させてもらった。
ちなみにマネージャーら女性陣は、せっかくだから男性だけで水入らずで楽しんでほしいと自ら辞退したのだった。その裏には「酔っ払いのむさくるしい男共の相手などしてられるか」という本音が一部含まれているのだが、主催の円堂は勿論そんな意図など汲んでいない。
「あれ? 鬼道飲まないの? 飲めない方だっけ?」
「いや、俺は明日も仕事なんだ。弱くはないんだが次の日結構残る方でな」
「あーそっかぁ。明日日曜なのに……マジお疲れ。そういや親父さんから独立して会社興したって聞いたけど、マジ?」
「ああ、まあ、大体はそんなとこだな……。いずれは鬼道財閥を継ぐ予定だが、父に力を借りないで起業してみたくてな」
「うーわー。出来る奴の発言だねぇ。オレも一回言ってみたいわ。そんなセリフ」
「そういう半田君は公務員試験受かったと聞きましたが?」
「うーん、ま、オレみたいな夢の無い奴はそこらへんで充分なんだよ。安定してるしね」
「半田らしいな。そういえば目金、こないだ言ってたサッカーゲームのプロジェクトはどうなった?」
「順調ですよ。まぁ僕の勤めてる会社は大手ゲームメーカーとは程遠いのですが、今回のプロジェクトには全身全霊を込めて挑むつもりです!」
「そ、そっか。頑張れよ…」
「出来たらやらしてくれよ」
「勿論です!」
「一之瀬、来週にはアメリカ戻るらしーじゃねーか」
「そ。明日は土門と西垣に遊んでもらうから今日は程々にしなきゃ」
「言いながらどんだけ頼んでるんだよ……」
「土門と違って強いから平気だもん」
「アメリカはどうよ? 向こうはサッカーはあんま人気ねぇって聞くが」
「そうだね。アメフトとか野球に比べると天と地くらい差があるよ……でもさ、最近はアメリカでのサッカー人口結構増えてるんだよ。だから俺、アメリカでサッカー続けてんだ」
「アメリカをサッカー大国にするのが一之瀬の夢だもんな」
「ま、やりがいはありそーだよな。俺は英語全ッ然駄目だから無理だけど」
「言葉なんてどうにでもなるもんだけどなー。染岡は顔に出やすいタイプだからきっとやってけるぜ」
「確かに」
「言ってくれるじゃねーか」
「風丸さん、キャプテン随分飲んでますけど、止めなくていいんですか?」
「こないだも潰れて大変でしたし……」
「あー……まあ、円堂も久しぶりに皆揃ってて嬉しいんだろ。楽しそうだしそのままにしてやってくれよ。後始末は俺がするからさ。気遣ってくれてありがとな。少林、宍戸」
「い、いやっお礼言ってもらう程ではないです!」
「そ、そうです!」
(相変わらず風丸さんは面倒見いいっスねー)
(そうでやんすねぇ)
「影野って意外にイケるクチなんだな」
「そうそう。中々強いんだよねー」
「そう……なのかな」
「でもさ、酔うとヤバいんだよね! こないだの飲み会、豪炎寺居たっけ?」
「いや、覚えが無いが?」
「そ、その話はやめて。マックス」
「いーや、話しちゃうよ。影野ってねー、酔っ払いすぎると脱ぐんだよ!」
「……そりゃ大変だな」
「ほんっとに大変だったよ。僕と半田と染岡で一生懸命止めたんだからさ」
「ご迷惑おかけしました……」
各々思い思いに過ごし、宴の夜は更けていった。
宴もたけなわ、そんな言葉を使用するに値する頃に差し掛かっていた頃だった。
大量に頼んだ料理も酒や飲み物もそろそろまばらになってきて、最初に座っていた位置もほとんど崩れて少しだれた雰囲気が漂ってきていた。
「んな事言って、キャプテンが一番弱いんスよねぇ……」
「壁山聞こえってぞー!」
相変わらずの円堂の掛け声で宴は始まった。
それぞれが忙しく、中々時間の取れない中やっとかつての雷門イレブンが揃っての飲み会だった。だが、集まったのは都心組だけで、吹雪を初めとする地方組は距離もあって参加することが出来なかった。響木監督も瞳子監督も古株氏も都合がつかず捕まえられなかった。日を改める事も考えたが、何せこの人数である。全員が都合のつく日など早々なく、特に一之瀬などは再びアメリカに渡っているので今回もたまたま日本の滞在期間に都合がついただけだった。なので地方組や監督らには悪いが雷門中OBのみで決行させてもらった。
ちなみにマネージャーら女性陣は、せっかくだから男性だけで水入らずで楽しんでほしいと自ら辞退したのだった。その裏には「酔っ払いのむさくるしい男共の相手などしてられるか」という本音が一部含まれているのだが、主催の円堂は勿論そんな意図など汲んでいない。
「あれ? 鬼道飲まないの? 飲めない方だっけ?」
「いや、俺は明日も仕事なんだ。弱くはないんだが次の日結構残る方でな」
「あーそっかぁ。明日日曜なのに……マジお疲れ。そういや親父さんから独立して会社興したって聞いたけど、マジ?」
「ああ、まあ、大体はそんなとこだな……。いずれは鬼道財閥を継ぐ予定だが、父に力を借りないで起業してみたくてな」
「うーわー。出来る奴の発言だねぇ。オレも一回言ってみたいわ。そんなセリフ」
「そういう半田君は公務員試験受かったと聞きましたが?」
「うーん、ま、オレみたいな夢の無い奴はそこらへんで充分なんだよ。安定してるしね」
「半田らしいな。そういえば目金、こないだ言ってたサッカーゲームのプロジェクトはどうなった?」
「順調ですよ。まぁ僕の勤めてる会社は大手ゲームメーカーとは程遠いのですが、今回のプロジェクトには全身全霊を込めて挑むつもりです!」
「そ、そっか。頑張れよ…」
「出来たらやらしてくれよ」
「勿論です!」
「一之瀬、来週にはアメリカ戻るらしーじゃねーか」
「そ。明日は土門と西垣に遊んでもらうから今日は程々にしなきゃ」
「言いながらどんだけ頼んでるんだよ……」
「土門と違って強いから平気だもん」
「アメリカはどうよ? 向こうはサッカーはあんま人気ねぇって聞くが」
「そうだね。アメフトとか野球に比べると天と地くらい差があるよ……でもさ、最近はアメリカでのサッカー人口結構増えてるんだよ。だから俺、アメリカでサッカー続けてんだ」
「アメリカをサッカー大国にするのが一之瀬の夢だもんな」
「ま、やりがいはありそーだよな。俺は英語全ッ然駄目だから無理だけど」
「言葉なんてどうにでもなるもんだけどなー。染岡は顔に出やすいタイプだからきっとやってけるぜ」
「確かに」
「言ってくれるじゃねーか」
「風丸さん、キャプテン随分飲んでますけど、止めなくていいんですか?」
「こないだも潰れて大変でしたし……」
「あー……まあ、円堂も久しぶりに皆揃ってて嬉しいんだろ。楽しそうだしそのままにしてやってくれよ。後始末は俺がするからさ。気遣ってくれてありがとな。少林、宍戸」
「い、いやっお礼言ってもらう程ではないです!」
「そ、そうです!」
(相変わらず風丸さんは面倒見いいっスねー)
(そうでやんすねぇ)
「影野って意外にイケるクチなんだな」
「そうそう。中々強いんだよねー」
「そう……なのかな」
「でもさ、酔うとヤバいんだよね! こないだの飲み会、豪炎寺居たっけ?」
「いや、覚えが無いが?」
「そ、その話はやめて。マックス」
「いーや、話しちゃうよ。影野ってねー、酔っ払いすぎると脱ぐんだよ!」
「……そりゃ大変だな」
「ほんっとに大変だったよ。僕と半田と染岡で一生懸命止めたんだからさ」
「ご迷惑おかけしました……」
各々思い思いに過ごし、宴の夜は更けていった。
宴もたけなわ、そんな言葉を使用するに値する頃に差し掛かっていた頃だった。
大量に頼んだ料理も酒や飲み物もそろそろまばらになってきて、最初に座っていた位置もほとんど崩れて少しだれた雰囲気が漂ってきていた。
作品名:Keep a silence 1 作家名:アンクウ