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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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 その光は半端なく強く、悟空の影を消すだけでなく、魔道士は目を眩ましてしまった。名前の通り、太陽並みだから当然であろう。その隙に悟空は自縛から抜け出していた。

「もらったぁぁぁーーーっ!!!」
「ぐわあああああっ!!!」

 悟空は隙をついて魔道士に一発を喰らわせた。そして彼は吹き飛んで行く。
 そして彼は着地した。

「よっと。危ねぇ危ねぇ…。何せ全然使ってねぇもんだからついつい忘れちまうとこだった…。そうだ、どうだおめぇら、力が戻ってきたか?」

 悟空が彼女達に確認すると同時に、瓦礫から爆音が鳴り響いた。まだ懲りていないようだ。それどころか、こういう展開になるとは少しも思っていなかった魔道士には怒りが込み上がっていた。

 他の人から見れば、そんなしょうもない事で…と呆れそうだが。

「そんな…、そんな筈はない…。僕は最強の、最強の力を手に入れたはずだ…!! それなのに…、こんなザコ如きにぃぃぃぃっっ!!!!」

 先ほどまで余裕を誇大に示していた魔道士だが、一気にプライドが傷ついてしまったのだった。
 または本性を露わにしたようなものであった。

「おのれぇぇぇぇーーーーっ!!!!」

 悟空に一発の魔法を当てようとする。しかし…。

「“塵化滅(アッシャー・ディスト)”」
「うっ…!!! ぐわああああああ!!!!」

 急に魔道士が苦しみだし、瞬く間に黒い塵と化した。
 悟空達が一瞬の出来事に驚く。そこには杖を向けたロンが立っていた。

「“塵化滅”って…!! 黒魔術の一種…!!」

 リナが驚く。彼女曰く、黒魔術の一種で勿論上級、習得するのに長い年月がかかるそうだ。

「なぁに、ヤケになったところで勝負は見えたもんだ」

 杖を肩にかけ、ロンがそう言った。
 しかし、この時からリナ達の視線が変わった。まるで自分が実は悪者だった的な立場に置かれたように。
 この時、ロンは一瞬の焦りを感じた。

「なんだ、その黒魔術ってのは…?」
「簡単に言うと、魔族から力を貸す最強呪文のことよ!」
「なんだって?」

 リナがよく用いる“竜破斬”もその一種である。しかし、その呪文は大量のキャパシティを消費するため、使う機会が滅多にない。

「アンタ、何者…?」
「ロンだが、他に何か?」
「そこじゃなくて! …あんなヤツを、わざわざ黒魔術で仕留めることないのに…」
「ああっっっ!!!!」

 いきなりのロンの叫びがリナの言葉を遮った。

「ちょっと!! アタシの言ってる間に何事!?」
「…ボタン押した」
「…えっ…?」

 指された足元には、綺麗に平になった凸みがあった。

***

 結局今回もまた、“異界黙示録”に関する手掛かりを得ることはなかった。
 リナ達はしょんぼりとした気持ちで、既に山を囲むようにして大きなクレーターが残っている、かつて洞窟だった場所を後にした。

「結局何もありませんでしたねリナさん…」
「今日もホント最悪だわ…。いざとなってあるかと思ったら…。あんなに調子こいた魔道士なんて…、前も見たような感じはするけど…」
「ほとんどただの散歩みたいな感じだったしな…」
「全くだ…」
「アンタが言うことか?!!」

 ロンが何故か、リナ達に並んでそんな事を言ったので、一気にリナの導火線に火がついた。
 しかし相変わらず、彼は適当だった。

「ノリだよ今の」
「ノリって…、そんなことよりどうしてくれんのよ!!? 今回あんな目にあったのアンタのせいだよ!!!」
「どうやら今回は…、オレの勘が今日は調子が悪かった…、という事でいいだろ?」
「ごまかすな!! てか“勘”ってなに!? 結局アタシらは骨折り損だったってことじゃないの!!?」

 彼女はたまらず突っ込みを入れまくる。しかし、彼は適当だった。

「まぁまぁ今回は見逃してくれや。お前さん、平ったい割には心が広いヤツなんだろ?」
「“火炎球”!!!」
「あらよっと!!!」

 どんなお世辞でも少しでも自分のコンプレックスに敏感に反応する彼女であった。それよりむしろ、先ほどの発言とは明らかに矛盾が生じていた。しかし、これは彼の意図的によるものであった。
 蝙蝠杖をバットのように大きくスイングし、リナが放ってきた“火炎球”を空高く打ち上げた。その球は大きく弧を描いて落ちていき、大爆発を起こした。そこから多くの断末魔が悲鳴を上げていた。リナ達は唖然としていた。
 彼は満足したような顔つきで、杖を肩に掛けた。

「いい歓声! まぁ起死回生のホームランを打ったからな! よし、気持ちが高まったところで、それじゃあ達者でな。精々宝探し頑張りな」
「ああっ、ちょっと待ちなさいよ!!」

 もっと言いたいことが、リナのボキャブラリーにはたくさんあった。しかし、移動手段で瞬く間にロンの姿が消えた。

「行っちゃった…」
「今日もまた一本取られちゃったなぁ…。一体何だったんだ? 謎の神官といい、さすらい魔道士といい…」
「おっと、一つ言い損ねたがな」

 悟空達より遠いところにロンが立っているのに気づく一行。背中に大きな袋を背負ってきた。

「まだいたんかい!! とっととどっかに行かんかい!!」
「それ相応の勘定はさせていただいたからな」
「勘定って…、俺達は何も得てないってのに―」
「…ふえええっっ…!!」

 リナがそれを見ると急に慌てだし、ポケットなど手で探った。

「あれっ……!? なんで…!? ない…、ない…」
「おい、どうかしたんかリナ?」
「…昨日の盗賊からかっぱらってきたお金が全部ない…!!」
「「「「えええっ!!!?」」」」

 4人は驚いた。しかし、悟空の場合は別の動機づけで驚いていた。

「おめぇ、どうやってあんなでっけぇ袋を服ん中に入れたんだ!!?」
「あらっっ……!!! そういうことに戸惑ってる場合じゃないわよ悟空!!! どーすんのよ!! このままじゃあ晩飯もこの先何も食べられないじゃないの!!?」

 いつの間にかロンは、昨夜“異界黙示録”を探しに盗賊のアジトに訪れた際に奪ってきた金品全てを掏っていたのだった。

「待てぇぇ!!! このドロボーーっっ!!! てか何も得なかったってのに他人のお金を勝手に徴収しやがてぇぇっっ!!!!」

 彼女はすぐにロンを追いかけていく。しかし、彼はまったく気にせずに夕日の中へと去っていった。

「でも、いつも盗賊をいじめてるリナさん自身が言えることなのでしょうか…?」
「さぁな…」

 アメリアはリナに聞こえないぐらいの大きさでそっと呟いた。

「なんか複雑だなぁ…」

 悟空達はそんな彼女をただ見ているだけでしかしなかった。