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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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「いや…、2人で行ったら単なるいじめみてぇになっちまうからなぁ…。オラそんなの気にいらねぇんだ」
「へぇ…、結構優しいほうなんだ。でも…、ということは一人ではこの僕には勝てないとでも…?」
「いいや、そんなことはねぇ。てか、別に一人で十分だけどな」
「君も結構自身があるんだね」

 魔道士が半分からかう気持ちで言う。しかし、そんなことは気にしなかった。

「さぁて行くよ!!“氷の矢(フリーズ・アロー)”!!」

―うわっ、カッコつけやがって…!!

 一人虫唾が走った人がいた。華麗にポーズをとって魔法を放ってきたからだ。

「くっ!」

 悟空は高くジャンプして回避した。氷で形成された数本の矢は地面に突き刺さる。
 そして彼は魔道士に急接近する。しかし、咄嗟に次の手段に打って出てきた。

「おっと…!!“火炎球”!!!」
「おわっっと…!!?」

 高速で火の球が接近してきた。しかし、ブレーキが効かない。避けようとしても、万が一それが壁に命中し、その瓦礫で彼の後ろの方にいるリナ達に被害を被っては…。

「だっ!!」

 悟空は片手で魔道士の方に跳ね返す。

「素手で跳ね返しただと!!?」

 それを見たゼルガディスが驚く。他の皆もそうだが。

「“氷結弾(フリーズ・ブリッド)”!!」

 それに対し彼は青白い光球を放った。2つの球は衝突して相殺し、澄んだ音を立てて消滅した。

「驚いたよ。何千度もある“火炎球”をまさか素手で僕に跳ね返してくるとはねぇ…」
「あちちちち…!! 並じゃねぇ熱さだな…!!」
「当たり前でしょうが…」

 しかし、それなりの熱さは感じていたようで、焦りに焦って一生懸命息で冷やしていた。

「じゃあこれは?“地撃衝雷(ダグ・ハウト)”!!!」

 今度は地面から岩石の槍が出現した。

「あいつ色んな魔法使ってくんな…」

 ロンがそう呟く。
 またもや“見切り”を用いて回避するが、今度は悟空が丁度着いた壁全体から無数の槍が突き出してくる。
 背後は塞がっているため、右折して回避した。

「ただ逃げるだけじゃつまらないじゃないか。もっと僕を楽しませてよ」

 やや挑発的に言い放つ魔道士。するとそれに答えたかのように、いきなり彼の目の前に悟空が現れた。

「えっ…?」
「そらぁっ!!」

 悟空が一発かます。リナ達は勝利を確信した。

「やったか!?」

 しかし、拳はその姿をすり抜け、そしてその幻は消えた。

―残像…!! あっちか…!!!

 気の感じる方に振り向くと、魔道士が立っていた。
 ちなみに彼が使ったのは“夢幻覚(イリュージョン)”という魔法である。避ける際に自分の分身、すなわち影を作り出し回避していたのだ。

「今のは少し油断した。僕がちょっとからかった途端、言われたとおりに現れたからね」
「おしかったなぁ…。もし実物だったらオラが勝ってたのにな」
「もし僕が一発でも殴られたりしたら、結界がすぐに消えちゃうからね…」

 魔道士が言う。
 この結界は魔道士独自に改良したものなのだが、一つ欠点があった。ほとんど彼が精神を集中させることで、結界が維持されている。つまり、もし一発でも彼がダメージを受けると集中が途切れ、結界が消滅してしまうのだ。

「ある意味さすがだな…。自分に自信を持ちすぎの反面、それを糧に独自の結界を維持させているというわけか」

 ゼルガディスがそう言う。ある一人、感心している場合かと思っているが。

「いいのか? そんな大事な事オラに話しても?」
「別にいいさ。勿論口封じをするし、それにこの勝負は必ず僕が勝つことになっているからね」
「そんな余裕扱いた発言はもう聞き飽きたわよ!! 悟空!! あいつに一発ぶん殴ってやんなさい!!」

 リナがそう言い放つ。

「おめぇなぁ…。ま、いっか!! そんじゃあ次はオラの番―ってあれっ…?」
「ふっ…。でも、これで僕の勝ちは決まったもんね」

 怪しげな笑みを浮かべ、勝利宣言する彼。

「うっ…、うぐぐ…」

 明らかに悟空の様子がおかしかった。

「ちょっと悟空!!?」
「どうなってんだ…? 足が動かねぇ…!?」

 悟空の足が静止している。勿論意識はハッキリとしているのだが、身体をどうしてもコントロールすることができないのである。
 リナは一瞬動揺したが、あることに気付いた。

「悟空のやつどうしたんだ?」
「“影縛り(シャドウ・スナップ)”よ…!! 悟空の足元を見て!」

 リナが答える。魔道士が既に裏をかいていたのだった。
 その呪文を発動したと同時に悟空の影にナイフが刺さっており、それと連動して彼を縛っているのである。

「はっはっは!! さっきまで調子扱いてたけど、こんなことに気付かなかったなんて、どうやら僕ほどではなかったってことだね!! 安心して、今楽にしてあげるから」

 魔道士は片手を悟空の方に差し向け、止めの準備に差し掛かっている。薄い紫の光が照らしている。それに対し悟空は歯を食いしばっている。何か方法はないのかと思索しているのだ。
 リナ達もまた思索していた。魔法を使えない今、どう対処すればいいのか。こうなれば、もう一人の今回のキーパーソンであるガウリイを介入させるとするか。

「こうなったら…、ガウリイ!! 彼をお願い!!」
「ああ、任せろ!!」
「そう急かすなってぇの」
「えっ?」

 助けに行かせようとするリナをロンが制止した。

「急かすなって、アンタ見殺しにする気!!?」
「まぁまだ終わったんじゃねぇんだから、もうちょっと見てみな」

 ロンがそう言う。勿論リナ達に納得されないままだ。
 別に見込んでいるわけではないが、興味はあった。魔術とは違うが、それに類似した術を悟空が使っていることに。何か他にあるのかもしれない。

―この術から抜けるにはどうやら、オラの影を消さねぇと…! でもどうやって…!!

 悟空は頭の中で考えていた。しかしその時間が一秒ずつ過ぎるにつれ、魔道士の片手では強大な力が貯蓄されていく。
 しかし、一つの可能性が悟空の頭を過ぎった。

―そうだ!! あの技があった!!!

「みんな!! 顔伏せろ!!」

 悟空がリナ達にそう促した。

「えっ!?」
「悟空さん、何か策を思いついたんでしょうか!?」
「じゃなきゃ俺達に注意なんか…」

―天津飯、ここにはいねぇけど借りるぜ!

 悟空は額に両手をのせた。魔道士はふと疑問に思ったか、笑みが消えた。

「“太陽拳”!!!」
「うおっ…!!?」

 彼が叫んだ次の瞬間、彼の身体が一気に光り出した。

「「「うああああっ…!!」」」
「くぅぅっ…!!」
「またおどれぇた…。“翔封界”だけじゃなく、“明り(ライティング)”までも魔法なしで使えるんか。こいつの世界は一体どんだけ逸材で満たされてんのか不思議なもんだ」
「ってそれアンタのだけかい!!」

 目を覆うリナ達とは対照に、ロンはサングラスをいつの間にか掛けていた。

「目がぁぁぁっ…!!!」