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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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2.いきなり遭遇!? あたしが天才魔道士リナ=インバース!!


 悟空の来た世界には"魔法"が当たり前のように存在していた。またドラゴンやゴブリンなど、何処でも聞くような童話の登場人物にすぎない生物までも存在している。彼は色々な街並みを舞空術でざっと一周してきたが、自分は別世界にいるとやっと気付いた。

―でも...、この世界でもすげぇ奴がいるってことか…。

 と言っても、既に仲間や家族にお別れを言ってしまったことや、自分より強い者と闘うという不動の夢のために、元の世界に戻ろうという気は今の時点では、ない。"全く"までにはいかないが…。
 空を飛んでいるとき、腹が悲鳴を上げた。

―そういや何も食ってねぇなぁ…。仕方ねぇ、あの街に行くか!!

 そう思い、偶然視界に入った街に降り立つことを決めた。そのまま、その街の方へと入っていった。

「よっと!」

 悟空は着地し、あたりを見回した。
 そんな中、ある街中ではこんな噂が流れているのを、悟空は聞いた。最近、ここの近くの街をいつも襲っている盗賊団が姿を消したということだ。彼らはとくに有名で今まで、首長の寝所までも襲い、多額の宝などを奪いつくしたのであった。何とかしようとして対策は練ってきたものの、何度も破られ、手の施しようがないほど勢力が大きかったそうだ。
 しかし、最近になるとすっかり来なくなった。しばらく月日がたって、ようやく魔道士の仕業と確信したのであった。
 喫茶店では3人の若者がそれについて話していた。

「もしかしたら、"盗賊殺し"の仕業かもな…」
「盗賊の話と言ったら、まずそうよね…。でも、どうやって懲らしめたのかしら?」
「噂では頭から生えた触覚から眩い光線を放って、跡形もなく消し去ったそうだ…」
「怖っ!!!」

 その他にも、『人間に見えても実は何百年前に既に死んでおり、その身体を魔族が憑依してこの世の中を歩きまわっている』とか、『舌を伸ばしてハエを捕食する』とかなど、なんとも皮肉的な噂が飛び交っていた。
 そのため、盗賊よりもそのリナという魔道士の方が怖いという意見が多い。中には盗賊に襲われたほうがましだととんでもない本音を漏らす人もいたであった。

「あとさ、こういうことも聞いたんだけどさ、襲われた盗賊団のアジトからは金銭のものが蛻の殻だったんだってさ…」
「あのさ、ロバ何とかってぇのはリナ=インバースのことか?」
「そうそう、色々な面で色々叩かれてる……って」
「「わぁぁっ…!!?」」

 悟空である。その噂話に興味を持ったがために、つい勝手に話に介入してしまったのだった。

「な…、何なんだ急にお前は!!?」
「わりいわりい! オラ、そのリナってぇ奴を探してんだ。なんか知らねぇか?」
「そうか。そいつを探しに……」

 言葉が止まり、しばらく間が空いた。3人は彼の言った言葉を冷静に考えるとだんだん、彼の言ったことがある意味大事態だと感じた。

「「「ええぇぇーーーっっ!!!?」」」
「うわっ…!!?」

 度を超えた驚きの音に彼はビビった。それと同時に疑問に思った。  

「あんた、本気なの!!?」
「えっ? なんでだ? なんか悪いことでもあんのか?」
「やめときなさいよ!! 殺されるわよ!!?」

 さらに悟空の頭に疑問符が打ち込まれた。

「こっ、殺される? なんでだ? なんで、いつも盗賊からおめぇらを守ってくれてるやつが、おめぇらを殺す必要があんだ?」
「わかってないなぁ…。それは俺達を欺かせる手段の一つで…」
「実際には魔族であり、俺達の信頼を集め、世界を破滅させるつもりなんだってさ…」
「ええっ…? 魔族ってことは…、そんなに悪い奴なのか?」
「当たり前じゃん!!!」

 目撃情報か捏造か…。そういう変な噂には信憑性があるとは限らないものの、世間には深く刻み込まれていたのであった。

「ところで、会ってみてどうするつもりなの?」
「できれば戦いてぇなぁと思って…」
「戦う…。…って…」
「「「た、たたたたたたたた戦うっ!!??」」」
「どわっ!!?」

 3人の驚きの音が綺麗に重なり、悟空に詰め寄った。今度は彼はその迫力によって後ろにこけてしまった。

「おめぇら、ちょっとは落ちつかねぇか…!」

 悟空はゆっくりと身体を起こしながら注意した。しかし、そうはいかなかった。

「落ち着いてられるか!!! 何寝ぼけたこと言ってんだバカ!!!」
「バカっておめぇ…」
「戦うって…、魔道士でないくせにどう立ち向かうつもりなんだよ!?」

―まいったなこりゃ…。…仕方ねぇ、オラ1人で探すか…。

 とにかくこの若者達の話には当てにならない…。そう思った挙句の果てに、もう話を終わらせて自分で探索しようと決めたのだった。

「どうだ? これで頭が覚めただろ?」
「おめぇらの言いたいことはだいたいわかった。とにかくあぶねぇ奴だってことだな?」
 
 3人は今の彼の言葉を聞いてホッとした。これで行く気が失せたのだろうと安堵していたが、実際悟空の心は変わらぬままであった。

「でも…、やっぱ会ってみねぇとわかんねぇか!!」
「ええっ!!? おい、ちょっと……!」

 そして悟空は走っていき、舞空術を使い、空に飛び立っていった。3人は目を丸くしながら見送っていた。

「今…、そっ、空を飛んでなかったかしら…?」
「ああ…、飛んでた…」
「もしかして…、今まで俺達は魔道士の目の前で悪口を言いたい放題言っていたのかよ!!?」
「まさかね…。ハハハ…」

 3人は見合わせながら、焦りを抑えようとしていた。しかし、その意志とは裏腹に冷や汗をかくばかりであった。









 ところ変わって、ここはある盗賊団のアジト。ここでもまた、例の件が発生していた。アジトのほとんどは既に壊滅状態であった。ちなみに、起こってからたった5分後のことである。

「な…、何なんだこのガキは…!!?」
「"火炎球(ファイヤー・ボール)"!!」
「ぐわあああああああっ!!!」

 盗賊団に火の球が直進して命中し、爆発した。あたりはもう火の海であった。

「ううっ…。なにもんだお前は…」

 盗賊の1人の視線の先には、何者かが自分を見下ろすような視線を与える姿が目に入った。栗色の長髪で額に黒いバンダナを付け、世界を股にかける1人の少女であった。
 彼女こそ、あくまで自称ではあるが、あの天才美少女魔道士―――リナ=インバースであった。
 リナはいつも盗賊達を日常茶飯事的に殲滅しまくっていたのだった。"悪い奴の音を絶やすため"と謳っているものの、実際の目的は資金の調達である。リナのような魔道士は、"魔術"の研究などのために多額の経費を消費していたのだった。

「「「うりゃあああああっ!!!」」」
「はっ…!!」

 後ろから盗賊の一味が剣を振りおろしてくる。

「はぁっ!!!」
「「「ぐわあああっ…!!」」」」

 しかし、第3者の介入によって防がれた。黄色の長髪で、美形の剣士がリナに並んで立っていた。

「あたしは、あんた達盗賊を成敗しに来た美少女天才魔道士、リナ=インバースよ!!」
「そして俺はこいつの保護者、ガウリイ=ガブリエフだ!」