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Keep a silence 2

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「着いた」
「円堂の家、久しぶりだな」
「子供の頃以来だな……円堂。おい、円堂」
「やっぱり起きないか……」
「仕方ない。また抱えるしかないか」
「ああ、俺も手伝う」
寝息というかいびきをかき続ける円堂を二人がかりで運ぶ。チャイムを鳴らすと円堂の母が応待し、二人に息子がここまで迷惑かけた事を詫びた。
「本当にごめんなさいねぇ。守っ起きなさい! 守っ! もう!」
「いいですよお母様。寝かせてやってください」
「全くこの子は〜……。本当にごめんなさいね。飲むたんびにお世話になっちゃって……。あっよかったらお茶でも飲んでいって」
「あ……すみません。車に風丸を残してるので、俺らはこのまま帰らせてもらいます」
「あらあら、そうだったの、ごめんなさい。そういえばいつもは風丸君が送ってくれるのよねぇ」
「今日は風丸もちょっと……」
「あら、珍しい。風丸君がつぶれちゃうなんて」
豪炎寺はぼかして言ったつもりだったが、円堂の母はお見通しだった。二人は丁重に挨拶すると円堂を託して車に戻った。

「豪炎寺」
「ん?」
豪炎寺と鬼道、それに風丸三人に減った車内で、鬼道が豪炎寺に話しかけた。
「駅でおろしてくれ」
「なぜだ? お前も送る」
「俺の家はここからだと風丸のアパートより遠い。だからタクシーで帰るさ」
「いや、でも……」
「どうせ俺を送った後行くつもりだったんだろう? 風丸の部屋に」
「………悪い。送ると言ったのに却って気を遣わせたな」
「気にするな。店よりは大分近いから、さほど金もかからん。乗せてくれて助かってる」
「そうか……」

 駅前のタクシー乗り場につくと鬼道は豪炎寺の車を降りた。
「じゃあ、俺はここで。ありがとうな」
「いや、俺の方こそ助かった。気をつけて帰れよ」
「ああ。風丸をよろしくな」
「………ああ」
鬼道は一度車から降りるとふと何か思いついたように立ち止まり、運転席の方へ回ると窓越しに豪炎寺に話しかけた。
「風丸に、あまり思い詰めないよう言っておいてくれ。俺が言ったことは伏せてな」
「ああ……伝えておく」
「それと、お前もな」
豪炎寺はそれが一瞬何のことがわからずに、鬼道の顔を見上げた。
「あまり考えすぎても、煮詰まるだけだ。お前達は真面目すぎるから」
「………お前が言うのか」
豪炎寺は苦々しく、笑った。
「お前も仕事、頑張れよ。倒れない程度にな」
「もちろん。限界は見極めているさ」
鬼道は夜の駅の中に消えていった。駅前の喧騒がどこか遠くに聞こえる。豪炎寺は乗員が随分減った車を降りて、少しだけ夜風に当たった。後部座席を覗き込んだが、風丸は相変わらず健やかな寝息を立てているように見える。
遠くの夜空を見上げると、晴れている為か薄雲がところどころ帳のように空に覆いかぶさっているのが解る。星は見えない。
豪炎寺はまた車に乗り込み、目的の場所まで車を走らせたのだった。





3に続きます。
作品名:Keep a silence 2 作家名:アンクウ