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Keep a silence 2

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「風丸も、いっそ女だったらよかったのになぁ」
「は? なんでだよ」
土門の言葉に染岡は素直な反応をした。
「女だったら、円堂についていく事も出来るでしょ」
その説明は本末転倒ではあるが、妙に説得力のある言葉だった。
「……あー、まあな」
「男が男に一緒について行きたい、なんて言い出せないもんな」
「まぁ、男だったからこそ今の関係があるんだろうけどねー」
人と人との出会いに「もしも」の事など考え出しても仕方の無いことだ。それでも「もしも…」と考えずにはいられない。
「風丸の気持ちもわかるよ。男とか女とか関係なく、円堂には人としてすごく惹かれるから」
かつて円堂と自分はよく似てると、幼馴染みから言われた一之瀬がぽつりと言った。その言葉には誰も反論しない。それは紛れも無い事実だった。ここに居る全ての人間が円堂という男の人間性に惹かれ、そして集った。
「円堂の代わりになる奴なんて早々居ねーからな。体の半分持ってかれるようなもんだ。風丸にとっては」
「代わりかぁ……」
染岡の言葉に、土門が話題を変えた。
「さっきさぁ、風丸が豪炎寺と……ええっと、キスした後さ、風丸なんて言ったか聞こえた?」
「え? 何か言ってた?」
「俺も気づかなかったが」
半田と染岡が首を傾げる。
「いつもと同じ味、だっけ?そんな事言ってたね」
松野が頬杖をつきながら少し愉快そうに言った。
「マックス耳ざといなオメー」
「染岡が鈍いんだよ」
「うるっせ。俺は正直あんな場面見てそれどこじゃなかったんだよ」
「いつもと同じって……」
「…………」
その言葉が含む意味を深く考えて、皆黙り込んでしまった。いつもと同じ。つまりはいつも同じ事をする機会があるということだ。
皆暫く同じ事を考えて沈黙を保ったが、どうやら一之瀬だけがそうではなかったらしい。
「多分、煙草の味がするんじゃない? 豪炎寺吸ってるみたいだから」
どうやら難しい顔をして考え込んでいたのはその事らしく、皆がくりと体がずれた。
「お前、突っ込みどころそこかよ……」
「えっ? なんで?」
「だから、問題なのは風丸と豪炎寺が"いつも"してるってことだよ」
「んー……ああ! そういうこと」
一之瀬はやっと合点がいったらしく、軽く手を叩いた。
「こないだ目金があの二人怪しいって言ってたけど、やっぱそういう関係なのかなあ……」
「考えなくてもわかんだろ。あんなところ見せられりゃ」
「確かに、あの雰囲気は普通じゃないね。空気がピンク色だったもの」
「発想がおっさんだねぇ。マックス」
土門にそう言われると、松野は煙草を吹かすような仕草をやってみせた。
「でも風丸が執着してんのは円堂だろ。なんで?」
「だからさぁ、風丸には円堂にそんな事出来ないんだって。誰よりも大事な人だもん」
「もしかしたら円堂に対するそういう気持ちを、豪炎寺にぶつけてるっていうか、受け止めてもらってるのかもね」
「何か心理学者みたいな解釈だな。一之瀬」
「あっちの知り合いでも何人かそういう奴居たからさ」
「豪炎寺の事だからその辺解ってるんだろうなー」
「だろうね。豪炎寺が風丸の事好きなのかは解らないけど」
「しっかし、そうだとしたらドラマや映画みたいな話だよな。まさか自分の身内にそんな事起きるとは夢にも思わなかったぜ」
染岡の一言に周囲は目が覚めたようにはっとなった。ここで話された事はあくまで噂や推測の域を出ない。要は自分らは不毛な議論を続けているということだ。だが他人の噂とは妙に面白い。自分が蚊帳の外ならばなおさら。
その後も延々と噂話に花は咲き、当人らが居ないまま色々な憶測や推測が飛び交いながら二次会は進んでいったのだった。
作品名:Keep a silence 2 作家名:アンクウ