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Keep a silence 3

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 目的のアパートに着くと、豪炎寺は車を停めて運転席から降りた。後部座席に回り扉を開けたまま風丸をまた抱き上げようと肩に手をかけた。
「………いい、もう歩ける」
だが、やや発音が聞き取りにくいがちゃんと呂律の回っている声で制止された。
「いつから起きてた?」
「……鬼道と、別れた時くらい。頭ははっきりしてたんだけど、体が言うこと聞かなくって」
「ムリしようとするな」
「………鬼道に悪いことしたな。俺に気を遣ったんだ。きっと」
豪炎寺はその言葉については何も言わずそのまま風丸の肩に手をかけようとしたが、風丸はまた制止しながら自力で立とうとした。だが、車内から出て地面に足をつけた瞬間足の力が入らずそのまま膝が折れて地面に落下しそうになった。それを反射で豪炎寺が抑えた為、体が地面と激突する事は避けられたが地面に座り込んでしまう形になった。
風丸は一瞬何が起こったかわからないように地面にへたり込んだままあっけにとられた。
「言わない事はないな」
「………ごめん」
「謝るくらいなら最初から甘えろ」
「?……何言って……っ!!」
風丸の言葉は結局終わることなく、末尾では息を飲む音だけが続いた。豪炎寺はまた「お姫様抱っこ」の形で風丸を抱え上げたのだった。
「ばっバカ! おろせって!」
「膝が笑って立てないくせに何言ってるんだ」
「そ、そうだけど、支えてくれれば立てるし歩ける! 怪我人じゃないんだから!」
「こっちの方が早い」
「お前なあ……!!」
「あまり騒ぐと近所迷惑じゃないのか?」
「!!」
その言葉に風丸は押し黙るしかなかった。幸いな事にまだ誰にも見られていないが、夜とは言え深夜というにはまだ早く、人の通りがあるかもしれない。ただでさえ目立っているのに騒げばもっと目立ってしまう。こうなったらとっとと豪炎寺に運んでもらうのが一番ましな方法だと、開き直るしかなかった。
「………お前ってたまに、いや、けっこう……いや、いつも大胆な事するよな……」
「言っとくが、こうやって運んでやったのははじめてじゃないぞ」
「はっ?」
「この間お前が酔いつぶれた時だってこうやって運んでやったんだ。その時は本当にべろんべろんだったしな。お前、俺に抱えられながら鍵もちゃんと開けてたぞ。覚えてないだろうけど」
「………………本当に、覚えが無い………………」
「だろうな。あの時は相当飲んでた」
風丸は豪炎寺の腕の上で発熱する顔を覆った。そして当分酒は飲むまいと誓ったのだった。
作品名:Keep a silence 3 作家名:アンクウ