ベン・トー~if story~ vol.3
本堂を後にして俺達は音羽の瀧に向かった。
俺は健康祈願の水を飲んだ。
「倉敷はどれにしたんだ?」
「えっ、私?あ、えっと…が、学業だよ!藤島君は?」
「俺は健康祈願のにしたよ」
「そっか」
「あのね、藤島君……」
何だか倉敷が落ち着かない感じでソワソワとしている。
「どうした?」
まさか…。
「その、えーっと…わ、私ね…」
「倉敷…」
「あ…えっ、何?」
「…トイレなら、我慢しないで行ってきて良いんだぞ?」
「……へ?」
「我慢は体に良くない」
「ち、違うの!トイレじゃなくて…えぇっと…」
「おーい、藤島ー!」
「ん?」
声がかかったので視線を向ければ藤澤達が歩いてくるところだった。
「倉敷、見つかったんだな」
「あぁ」
「じゃあ、もうけっこう時間も経ったし皆でおみくじやって宿に行こっか?」
「そうだな」
「それが良いと思うよ」
「よーし決まり!じゃ、行こっ」
こうして俺達は本堂でおみくじを引いた。
「やったー!私、大吉!」
「私は小吉だったよ」
「末吉と小吉って、どっちが良いのかな…?」
「おいおい凶かよ…」
「ど、ドンマイだよ、藤澤君!」
稲村に慰められる藤澤。そして俺。
「藤島君は何だった?」
倉敷が聞いてくる。
「小吉だな」
「あ、私と一緒だね」
「そうだな」
おみくじを引き終えた俺達は宿へ向かった。
宿では美味しい料理を食べて、ゆっくり風呂に入ることが出来た。そして入浴後、卓球勝負となった。
グッパーの結果、藤澤と鈴村、俺と倉敷がダブルスを組んで試合をした。審判は稲村だった。
結果的に俺と倉敷のチームが勝った。その後、俺と藤澤でシングルス対決をした。負けた方がジュースを奢るという条件を付けてだ。結果、俺が僅差で勝利した。ここで鈴村がついでに私達にも奢ってよと言葉を発した。ヤケになった藤澤は結局、全員にジュースを奢った。稲村は申し訳なさそうにしてたけど。
その夜、女子部屋にて。
「で、弥生。上手くいった?」
「だ、ダメだったよ…」
「そっか。まぁ、あの感じからして何もなかったってことは分かったけどさ」
「ゴメンね、せっかく二人とも気を遣ってくれたのに…」
「まだ明日もあるわ。だから諦めるには早いわよ」
「そうだよ、弥生ちゃんならきっと上手くいくよ」
「ありがとう。私、頑張るね」
こうして一日目は過ぎていった。
作品名:ベン・トー~if story~ vol.3 作家名:Dakuto