二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ベン・トー~if story~ vol.3

INDEX|3ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

10部 旅行


旅行
お盆前のある日。俺と藤澤、倉敷らは駅前に集合していた。
そう、以前から倉敷らが計画していた旅行が始まるのだ。
俺と藤澤は朝9時に駅前へ到着した。
「いやー、旅行だぜ、藤島!旅行、旅行!」
どうでもいいが、藤澤のテンションが妙に高い。
「この旅行で誰か俺に惚れてくれねぇかな」
「そういう目的か」
「たりめーだろ。女子もいるんだぜ?」
「そうか」
「ま、彼女持ちのお前には関係ないだろうけどよ。で、彼女は今日は?」
「お盆近いから、実家に帰ってるよ」
「そうか。……で、どこまで行ったんだ?」
「は?」
「とぼけんなよ。槍水仙とどこまで行ったって聞いてんだよ」
「そんなの…別に、進んでねぇよ」
ここは嘘ついとくか。面倒くさそうだ。
「嘘だろ?」
「嘘じゃない」
「いや、今の間は嘘だろ」
「だから嘘じゃねぇって」
「何だよ、つまんねーな」
「お、倉敷達が来たぞ」
そんなやりとりをしていたら女子達が来た。
「ゴメンね、待たせちゃった?」
「いや、大丈夫だ。それより、新幹線に乗ろう」
「そうだね」
俺達は新幹線に乗り込む。目的地は京都だ。
これまたどうでも良いんだが、隣に座った倉敷が何かソワソワしていた。何だったんだ?
「大富豪やらない?」
トランプを持ち出して提案してきたのは鈴村茜。倉敷同様明るく活発だが、倉敷よりも大人っぽい感じを受ける。実際、男子からの人気は高い。それから稲村夕美。この二人に比べれば大人しく控えめだが整った顔立ちで、同じくクラスの男子から人気を集めている。この子達はクラスの女子からは仲良し三人組として、男子からは美少女三人組などと呼ばれていていつも一緒に行動している。
まぁ、今日来てる女子はこの三人だけなんだけど。でも、何で俺が誘われたんだ?何も三人で行けば良かっただろうに。まぁ、友達付き合いも大事だから藤澤を誘ってこうして来たわけなんだが。
「いいねぇ。藤島、やろうぜ」
「ん?あぁ、いいよ」
こうして大富豪が始まった。
結果は…俺は上手いことやって平民のままでいた。大富豪は鈴村、富豪は倉敷。貧民は稲村、そして大貧民は藤澤だった。藤澤の落ち込みよう、半端じゃなかったな。
そのうちに新幹線は京都駅に到着した。
「んーっ、着いたぁー!」
大きく伸びをしつつ鈴村が言う。
「京都か。中学の修学旅行以来だな、藤島」
「そうだな。あの時もお前と同じ班で行動したな」
歩きながら藤澤と話す。
「そうそう、お前が班長でな」
「で、確かお前が勝手な行動したもんだから自主研の時ホテルへの集合時間に遅れて先生にこっぴどく叱られたっけ」
「おいおい、それは言うなよ」
「あぁ、あれって藤島君達の班だったんだ」
倉敷が思い出したように言う。俺と藤澤は二人揃って頭に?を浮かべる。
「あれ、言ってなかった?私、二人と同じ学校の出身だよ?」
そこで一瞬の沈黙。
「あれ…そうだったか?」
「ひどーい、自己紹介の時に言ったでしょ?」
「あ、あぁ…そういえばそうだったような…?」
まずいな、言ってたか?
「まぁ、中学の時は別のクラスだったんだけどね」
「そうだったのか」
「さて、思い出話はそれくらいにして…バス乗ろう」
鈴村がそう切り出す。気付けばバス停前まで来ていた。そんな訳で俺達はバスに乗る。
「今日はこれからどうするんだ?」
藤澤が訊く。
「えっと…まず宿に行って大きな荷物を置いた後に清水寺に向かうっていう予定だけど…」
稲村が手帳を見ながら答える。ちゃんとメモっていてマメなヤツだ。ま、それが普通か。
「じゃあ決まりね」
鈴村が言って、バスを降りた後俺達はまず宿へ向かった。チェックインを済ませて部屋に荷物を置いた後、再びバスで清水寺へ向かう。

「着いたな」
「まずはこの坂を登らないとな」
清水寺に至るまでの道には坂がある。けっこう急なのだが、色んな店が立ち並んでいる。
「ねぇねぇ、色んなお店があるよ」
「茜ちゃん、お土産は後でね」
店を見ながら立ち止まる鈴村を稲村が引っ張っていく。何か、稲村がお母さんみたいだな。
「藤島、試食だってよ。ほら」
藤澤が菓子を渡してくる。お前もか。とりあえず受け取って食べる。…おっ、美味い。
そんな風にフラフラしながら坂道のてっぺんを目指す。
そして寺に到着する。
「清水の舞台って、以外と高くないよね」
「これなら落ちても上手くすれば生き残れんじゃね?」
鈴村と藤澤が清水の舞台の縁から下を覗きつつ会話する。
「だからって落ちないでよー?」
「大丈夫だって」
ここで五人で写真を取る。

「それじゃ、ここから少し自由に歩いて回らない?」
「ん、いいけど」
「じゃあ、そうしましょ」
こうして寺に到着した俺達は一旦別れて行動することにした。
「結局、いつも通りか」
「そりゃこっちの台詞だ。何が悲しくて女子がいんのにお前と二人なんだよ」
「じゃあさっき言えば良かったじゃん」
「まぁ…だな」
「とりあえず歩くか」
男二人で寺を見て回る。…何か虚しいな。

「いい、弥生。後で藤島君と二人きりにしたげるから上手くやるのよ」
「でも、どうやって?」
「藤澤君は私達が引き離してあげるから、あとはわかるわね?」
「わかるけど、自信が…」
「そんな弱気でどうするのよ。好きなら積極的に行かなきゃ!」
「弥生ちゃんなら大丈夫だよ。頑張って!」
「…うん、出来るだけ頑張ってみるね」

「おっ、見ろよ藤島。巫女さんだ」
「本当だ」
「中々の美人だな」
「ああ」
「や、お二人さん!」
巫女を見ていた俺たちの後ろから声がかかる。振り向くと鈴村と稲村がいた。
「あれ、倉敷は?」
「少し目を離した隙にはぐれちゃって。一緒に捜してくれない?」
そう言うと有無を言わさず、半ば強引に藤澤を連れて行ってしまう。そして俺には向こうを捜すように言ってくる。何なんだ?
とりあえず、捜すよう指示された方へ歩く。しばらく行くと見慣れた人影が見えた。
「倉敷、ここにいたのか」
「藤澤君…」
「珍しいな、お前がはぐれるなんて」
「捜しにきてくれたんだ?」
「ん、まぁな。鈴村に頼まれたし」
「そっか。ありがとう」
「じゃ、皆の所に行くか」
「あ、待って!」
歩きだそうとする俺を倉敷が止める。
「どうした?」
「その…せっかくだし一緒に回らない?」
「急にどうしたんだ?まぁ、歩いてればそのうち藤澤達にも会えるだろうから別にいいけどさ」
「本当?じゃあ行こっ!」
二人で寺を見て回る。
「藤島君、これ持てる?」
「何々…大錫杖。あぁ、これか。中学の時にも挑戦したけど持てなかったんだよな。小さい方の錫杖で精一杯だった。藤澤は意地になって頑張ってたけど結局無理だったな」
「すごーい。私は下駄で精一杯だよ」
「久し振りに挑戦してみるかな」
「頑張って!」
「ふんっ…!」
くそっ、相変わらず重い!90kgは伊達じゃないな。でも俺もあの時とは違う!
「くそっ、んのヤロ…!」
一瞬、浮き上がったように感じた。が、それが限界だった。下ろしてしまう。
「はぁ、はぁ…やっぱキツいな」
「でも浮き上がってたよ!凄いよ」
「後で藤澤にもやらせてみるか。今のあいつなら持ち上げるかもな」
実際、後で藤澤にやらせたところ何とか持ち上げていた。
作品名:ベン・トー~if story~ vol.3 作家名:Dakuto