True end.
「正解だけどね、だって僕は君を」
真っ青な空に浮かぶ雲、照りつける太陽の眩しさは仮面によって遮られている。
「ゼロ様、どうかなされましたか?」
揺れる栗色。向けられる視線。
「いいえ」
なんでも、ありません。端的に答えると、そうですかと小さな声。世界は平和になった、とは言えないかもしれない。けれど、話し合いという解決策を手に入れた。
「ゼロ様、ここからです」
お兄様が残して下さった明日を、今日という日を。
「協力して、下さいますか」
ゼロにむくアメジストの瞳。差し伸べられた手。よく、似ている…彼に。
「えぇ、ナナリー様」
その手をとり、ゼロは膝をつく。そこには居ない彼にもかしずくように。頭をたれる。
『愛しているから』
君を、愛していたから。誰よりもも、何よりも愛していた。それは時に憎しみとなり、哀しみとなったこともあったけれど。
君と過ごしてきた時間は、いつだって幸せだった。
初めて言葉をかわした日も、君がいなくなってしまった日も。一人だった僕に、手を差し伸べてくれたのはいつだって君と彼女。
「明日を、手に入れるために」
憎むべき相手は、君だった。その真実に、目を背けたい自分とほっとしている自分。君を討つのは僕だと心のきめた日。憎まれても構わない、君にどんな形であれ思われているのは嬉しかった。
「共に、歩みます」
「有り難うございます、ゼロ様」
きっと、お兄様も見守って下さっています。私は、兄に恥じぬように生きていきたい。そう思います。細く、か弱いプリンセスはもうそこにはいなかった。
凛と背筋を伸ばして、堂々と代表として前をむく彼女の姿が彼とだぶってみえる。やはり兄妹だと仮面の中で笑みを浮かべた。
君と一緒についた、この大きな嘘。
君から受けた、願いというギアス。
どちらも背負っていくよ。いつか真実を、伝える為に僕はここにいるんだと。そう思っていたいから。
終わり